39 / 146
記憶編
39.休日の始まり
しおりを挟む
翌朝、起きるとレオの綺麗な顔。あぁ、俺たち昨日……。思い出して、恥ずかしくなってシーツを引っ被った。
「……っくく、おはよう、カイ。かくれんぼ?」
「………………おはよ。……っ、けほ」
目だけ出して答えると、レオはにこにこしていた。よ、余裕なのが腹立つ……!
「ああ、喉が……。身体はどう? 辛くない?」
ちょっと覗き込んで、俺の丸まった身体を撫でてくる。ずるいぞ……。
顔が近くにあったから、俺からちゅっとしてやると、レオが嬉しそうに目を細めた。
「レオ、昨日ありがと……最高の誕生日になったよ。でも、ごめん。俺すごいわがまま言った……。」
俺のためを思ってくれてのことに泣いたりとか……。うっ、ないわ……。いたたまれなさすぎる。に、逃げたい!
逃げたさに悶えていると、レオはきょとんとしている。
「あんな可愛いおねだり、何回されてもいいぐらいだけど? 俺、今世では甘やかすつもりでいるから全然気にしなくていいよ。」
「~~ッ! あ、甘すぎないか……。俺ダメ人間になっちゃうよ。俺は甘いだけじゃなくて、ちょっと厳しい顔してるレオも好きなんだけどな……。」
「…………。そうか、カイはそういう方面も好きなんだ……?」
甘やかしすぎるなって言いたかったんだけど、なんか変な勘違いしてない? 大丈夫?
「まあ、甘やかしすぎないようにな? 飴と鞭ってやつだよ。あ、ちょっと俺、シャワー浴びてくる。」
「あっ危ないと思……」
「ふえっ」
ベッドから降りようとしたら、俺の間抜けな声とともに崩れ落ちる身体……。こ、腰が!
「遅かったか。今日はベッドにいた方がいいと思うよ。」
ふわりと抱えられ、ベッドに戻されてしまった。チリンとベルが鳴らされる。
「清めの魔法は掛けておいたから、気持ち悪さはないと思うけど……。あとは朝食か。すぐ用意させる。」
「はあ、無力……。泣ける。」
少しするとジュリオが来た。
「おはようございます。朝食はこちらで?」
「おはよう。ああ。喉の通りがいいものと、冷たい果実水を。」
「かしこまりました。」
………………。
あっ。朝から二人でいて、かつ俺の喉がやられてるって、しかも昨夜声出ちゃってた。あれ、致したことバレてるのでは?
「………………なあ、致したこと、皆にバレてるの?」
「まあ、察しが良ければ。」
「み、みんな良さそ~~……。」
少しすると朝食が運ばれてきた。具がくたくたになるまで煮込まれたスープと、やわらかいパン。それとフルーツだ。さて食べようとスプーンを探すが見当たらない。あれ?
「はい、あーん。」
「じ、自分で食べるから!」
レオがスプーンを構えている。いつの間に!!
「あれ、ケーキの時は食べてくれたのに?」
「うっ、あれは無意識というか……!」
「いいから、ほら。」
口元にスプーンをちょんちょんとつけられる。
「甘い空気を楽しんでもいいだろう? 大人しくお世話されていなさい。」
レオが嬉しそうにしてるから、俺はおずおずと口を開けるのだった……。
(俺、チョロすぎだろ!)
結局全部あーんしてもらった。なんてことだ。今日だけだからな!
「ごちそうさまでした。レオは今日仕事は?」
随分のんびりしているけど大丈夫なのかな。俺は夜会翌日だからってことでおやすみだ。
「ん、全部終わらせたから3日くらい休みだよ。」
「えっ、あんなに忙しかったのに??」
「ああそれは、休みを取るための忙しさだね。だいぶ詰め込んだからなぁ。」
「そっかぁ。お疲れさま! 休み満喫できるといいな。時々俺も構ってくれよ?」
レオって休日何してんのかな。読書しながら優雅に紅茶啜ってそう(偏見)。最近王子様の顔しか見てないから妄想が偏る。
「時々も何も、休日は全部カイに使うつもりなんだけど……。」
「えっ? そうなの?」
「カイのしたいこと、全部聞いてあげられたらって思って。」
えっえっ、何それ聞いてないよ。
「ほら、慣れない世界で目まぐるしい生活だったろ? だから息抜き……うーん気晴らし? 出来ればいいなと。」
「そんなこと考えてくれてたの……。」
「うん。何かしたい事ある? なんでもいいから言ってみて。」
そこまで考えてくれてるとは思わなくて、固まってしまった。やりたいこと……やりたいこと、ある。
「えっと……。レオとたくさん話がしたい、レオと魔物狩りに行きたい、んーと、レオとどこかに行きたい。」
指を折りながら一つずつあげていくと、レオが優しい声で言った。
「全部、俺と一緒がいいの?」
「あっ! …………うん、だめ?」
ほんとだ、全部に『レオと』ってつけてた……。恥ずかしい……。
「だめなわけない。むしろ、カイが俺を求めてくれて嬉しいよ。……じゃあ今日は、たくさん話をしようか。」
「ん。……レオ、ありがと……。」
「いや、このために寂しい思いさせちゃったから、お礼言われるようなことはないよ。」
レオは俺の後ろに回ると、俺を自分に寄りかからせた。レオの手は、俺の腹の上で組まれている。
(俺をダメにするソファの完成じゃないか……)
そのままたくさんたくさん話をした。
「……っくく、おはよう、カイ。かくれんぼ?」
「………………おはよ。……っ、けほ」
目だけ出して答えると、レオはにこにこしていた。よ、余裕なのが腹立つ……!
「ああ、喉が……。身体はどう? 辛くない?」
ちょっと覗き込んで、俺の丸まった身体を撫でてくる。ずるいぞ……。
顔が近くにあったから、俺からちゅっとしてやると、レオが嬉しそうに目を細めた。
「レオ、昨日ありがと……最高の誕生日になったよ。でも、ごめん。俺すごいわがまま言った……。」
俺のためを思ってくれてのことに泣いたりとか……。うっ、ないわ……。いたたまれなさすぎる。に、逃げたい!
逃げたさに悶えていると、レオはきょとんとしている。
「あんな可愛いおねだり、何回されてもいいぐらいだけど? 俺、今世では甘やかすつもりでいるから全然気にしなくていいよ。」
「~~ッ! あ、甘すぎないか……。俺ダメ人間になっちゃうよ。俺は甘いだけじゃなくて、ちょっと厳しい顔してるレオも好きなんだけどな……。」
「…………。そうか、カイはそういう方面も好きなんだ……?」
甘やかしすぎるなって言いたかったんだけど、なんか変な勘違いしてない? 大丈夫?
「まあ、甘やかしすぎないようにな? 飴と鞭ってやつだよ。あ、ちょっと俺、シャワー浴びてくる。」
「あっ危ないと思……」
「ふえっ」
ベッドから降りようとしたら、俺の間抜けな声とともに崩れ落ちる身体……。こ、腰が!
「遅かったか。今日はベッドにいた方がいいと思うよ。」
ふわりと抱えられ、ベッドに戻されてしまった。チリンとベルが鳴らされる。
「清めの魔法は掛けておいたから、気持ち悪さはないと思うけど……。あとは朝食か。すぐ用意させる。」
「はあ、無力……。泣ける。」
少しするとジュリオが来た。
「おはようございます。朝食はこちらで?」
「おはよう。ああ。喉の通りがいいものと、冷たい果実水を。」
「かしこまりました。」
………………。
あっ。朝から二人でいて、かつ俺の喉がやられてるって、しかも昨夜声出ちゃってた。あれ、致したことバレてるのでは?
「………………なあ、致したこと、皆にバレてるの?」
「まあ、察しが良ければ。」
「み、みんな良さそ~~……。」
少しすると朝食が運ばれてきた。具がくたくたになるまで煮込まれたスープと、やわらかいパン。それとフルーツだ。さて食べようとスプーンを探すが見当たらない。あれ?
「はい、あーん。」
「じ、自分で食べるから!」
レオがスプーンを構えている。いつの間に!!
「あれ、ケーキの時は食べてくれたのに?」
「うっ、あれは無意識というか……!」
「いいから、ほら。」
口元にスプーンをちょんちょんとつけられる。
「甘い空気を楽しんでもいいだろう? 大人しくお世話されていなさい。」
レオが嬉しそうにしてるから、俺はおずおずと口を開けるのだった……。
(俺、チョロすぎだろ!)
結局全部あーんしてもらった。なんてことだ。今日だけだからな!
「ごちそうさまでした。レオは今日仕事は?」
随分のんびりしているけど大丈夫なのかな。俺は夜会翌日だからってことでおやすみだ。
「ん、全部終わらせたから3日くらい休みだよ。」
「えっ、あんなに忙しかったのに??」
「ああそれは、休みを取るための忙しさだね。だいぶ詰め込んだからなぁ。」
「そっかぁ。お疲れさま! 休み満喫できるといいな。時々俺も構ってくれよ?」
レオって休日何してんのかな。読書しながら優雅に紅茶啜ってそう(偏見)。最近王子様の顔しか見てないから妄想が偏る。
「時々も何も、休日は全部カイに使うつもりなんだけど……。」
「えっ? そうなの?」
「カイのしたいこと、全部聞いてあげられたらって思って。」
えっえっ、何それ聞いてないよ。
「ほら、慣れない世界で目まぐるしい生活だったろ? だから息抜き……うーん気晴らし? 出来ればいいなと。」
「そんなこと考えてくれてたの……。」
「うん。何かしたい事ある? なんでもいいから言ってみて。」
そこまで考えてくれてるとは思わなくて、固まってしまった。やりたいこと……やりたいこと、ある。
「えっと……。レオとたくさん話がしたい、レオと魔物狩りに行きたい、んーと、レオとどこかに行きたい。」
指を折りながら一つずつあげていくと、レオが優しい声で言った。
「全部、俺と一緒がいいの?」
「あっ! …………うん、だめ?」
ほんとだ、全部に『レオと』ってつけてた……。恥ずかしい……。
「だめなわけない。むしろ、カイが俺を求めてくれて嬉しいよ。……じゃあ今日は、たくさん話をしようか。」
「ん。……レオ、ありがと……。」
「いや、このために寂しい思いさせちゃったから、お礼言われるようなことはないよ。」
レオは俺の後ろに回ると、俺を自分に寄りかからせた。レオの手は、俺の腹の上で組まれている。
(俺をダメにするソファの完成じゃないか……)
そのままたくさんたくさん話をした。
0
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
どのみちヤられるならイケメン騎士がいい!
あーす。
BL
異世界に美少年になってトリップした元腐女子。
次々ヤられる色々なゲームステージの中、イケメン騎士が必ず登場。
どのみちヤられるんら、やっぱイケメン騎士だよね。
って事で、頑張ってイケメン騎士をオトすべく、奮闘する物語。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜
にゃーつ
BL
大きなお屋敷の蔵の中。
そこが俺の全て。
聞こえてくる子供の声、楽しそうな家族の音。
そんな音を聞きながら、今日も一日中をこのベッドの上で過ごすんだろう。
11年前、進路の決まっていなかった俺はこの柊家本家の長男である柊結弦さんから縁談の話が来た。由緒正しい家からの縁談に驚いたが、俺が18年を過ごした児童養護施設ひまわり園への寄付の話もあったので高校卒業してすぐに柊さんの家へと足を踏み入れた。
だが実際は縁談なんて話は嘘で、不妊の奥さんの代わりに子どもを産むためにΩである俺が連れてこられたのだった。
逃げないように番契約をされ、3人の子供を産んだ俺は番欠乏で1人で起き上がることもできなくなっていた。そんなある日、見たこともない人が蔵を訪ねてきた。
彼は、柊さんの弟だという。俺をここから救い出したいとそう言ってくれたが俺は・・・・・・
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
病んでる愛はゲームの世界で充分です!
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。
幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。
席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。
田山の明日はどっちだ!!
ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。
BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる