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記憶編
10.ゆれる
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家に着くと、レオが帰りが遅い俺を心配して待っていた。ごめん、と会話もそこそこに夕飯作りに没頭する。何かしてないと落ち着かなかったんだ。
夕飯を作る時も、食べるときも、シャワーを浴びている時も……ずっと悶々としていた。どうしてこうなった!
一つ言えることは、もうここにはいられないってこと。グラートが言うことが確かなら、もしも俺関連で何か起こった時、このままだと確実にレオに迷惑をかけてしまう。それは嫌だ。
レオは何も言わずにここに置いてくれているけれど、もうこの世界に来てほぼ3週間。依頼にも慣れてきたし、知り合いも増えてきた。毎日楽しいけれどずっと甘えてるわけにもいかない。やっぱり、今がここを出る時なんだろうな。
ベッドに入り、カーテンの隙間から空を見上げると、細い月が淡く輝いていた。ああ、ここに来た時は綺麗な満月だったな。初めて会った時のレオは、とてもびっくりしていたっけ。
「……眠れない?」
声がした方に向くと、綺麗な翡翠の瞳が俺を見ていた。綺麗だなぁ。
「──なんでそんな顔してる。帰ってからずっと何か考えてるね? どうした?」
レオの左手が俺の頬に触れた。心配そうに親指が頬を撫でる。
「え。……俺なんか変な顔してる?」
「なんだか、今にも消えてしまいそうだよ」
「はは、何言ってんの……」
まぁ、間違ってはいない、かな。
レオの前から消えた方がいいって思ってるんだから。
闇が全てを包み込んでしまいそうなしんとした空気。月の光が弱々しく差し込んでいる。
——少しの間の沈黙。レオは俺が話し出すのを待っているようだった。話すなら、早い方がいいかな? でも。
………………。
「……今日、王都の神官さんに話しかけられてさ。この間の、俺が治癒した人。俺みたいな異世界人は何かしら力を持っていて、人目を引く。争いの種になったりもする。神殿でも把握をしたいから来て欲しいんだって。5日後に会うことになってる。王宮にも呼ばれるかもしれない。……それと、俺絡みで何か起こった場合、ここにいたらレオを巻き込むかもしれない。それは嫌だし、俺もこの世界にきてだいぶ慣れた、から、そろそろここを出るべきかな、って思ってる。」
ああ、言ってしまった。
「それ、は……。」
レオはびっくりしている。そうだよな、急にこんなこと。俺だってまだ飲み込みきれてないよ。それでもやっぱり大事な事だから、すぐに伝えたかった。
はぁ。言うだけで何でこんなに心が苦しいんだろう。
「まぁ、まだ次どこ行くかも決めてないから、もうちょっとお世話になるけど、居座っちゃってごめんね?」
「気にすることないよ、俺は今の生活気に入っているし。いていい。」
「レオ………ありがと。」
レオは優しい。こんな話聞いてもいていいって言ってくれる。なんでこんなに優しいんだろう。なんだか泣けてきそうだよ
やっぱり、もうちょっと一緒にいたいなぁ。
俺は寂しい気持ちと暖かい気持ちと……いろんな思いをない混ぜて眠りについた。
「——————カイ……」
◆
「————イ」
ん……何?まだ眠いよ……あと少し……
「——カイ」
ふわふわと頭を撫でられている? はわ、きもちい……もっと撫でて欲しい。
「えへへぇ……んむ……」
「こら、もう起きるよ。頭撫でられるの、好き?」
「……ん、すき…………」
「………………」
………………………………。
……ん? ……レオ? ………………!?!?
「へあッ!? お、俺…えっ???」
がばっと起き上がると、寝そべりながら頬杖をついたレオが蕩けるような瞳で俺を見ていた。
俺は撫でられたところを手で抑えている。えっどういう…??? ってか今! 俺、甘えて……!? んんぁぁあぁ~~!!
「おはよう、カイ。今日は洞窟まで行かないとだからもう起きないと。朝ごはん作ったから食べよ?」
「え……あ、うん??」
「今日はハムと卵のサンドとスープだよ。着替えたらおいで。」
端正な顔に甘やかな笑みを浮かべて俺の頬をひと撫ですると、部屋を出ていった。いつにも増してキラキラしてるな……?
でもレオは至って普通だな。少し甘い感じはするけど。でも俺は……うっ……あんな甘えてめちゃめちゃ恥ずかしい!
うあぁ…と心の中で叫びながら、もそもそと着替えてキッチンへ行く。テーブルにはすでに準備がされていた。
「あ、来たね。じゃあ食べようか」
いただきます、とスープをひと口。あったかおいしい~! 体と心に染みる…
「はぁ、おいし。レオ料理うまいよね」
「そう? 簡単なものしか作れないけどね。口に合ったならよかった。」
おいしくて一瞬で平らげてしまった。まだ俺がここにいる間、俺もレオにおいしいもんいっぱい食べて欲しいから料理頑張ろう。
さて、お腹もいっぱいだし張り切って行きますか!!
昨夜の憂いは、今は忘れて居られそうだ。
夕飯を作る時も、食べるときも、シャワーを浴びている時も……ずっと悶々としていた。どうしてこうなった!
一つ言えることは、もうここにはいられないってこと。グラートが言うことが確かなら、もしも俺関連で何か起こった時、このままだと確実にレオに迷惑をかけてしまう。それは嫌だ。
レオは何も言わずにここに置いてくれているけれど、もうこの世界に来てほぼ3週間。依頼にも慣れてきたし、知り合いも増えてきた。毎日楽しいけれどずっと甘えてるわけにもいかない。やっぱり、今がここを出る時なんだろうな。
ベッドに入り、カーテンの隙間から空を見上げると、細い月が淡く輝いていた。ああ、ここに来た時は綺麗な満月だったな。初めて会った時のレオは、とてもびっくりしていたっけ。
「……眠れない?」
声がした方に向くと、綺麗な翡翠の瞳が俺を見ていた。綺麗だなぁ。
「──なんでそんな顔してる。帰ってからずっと何か考えてるね? どうした?」
レオの左手が俺の頬に触れた。心配そうに親指が頬を撫でる。
「え。……俺なんか変な顔してる?」
「なんだか、今にも消えてしまいそうだよ」
「はは、何言ってんの……」
まぁ、間違ってはいない、かな。
レオの前から消えた方がいいって思ってるんだから。
闇が全てを包み込んでしまいそうなしんとした空気。月の光が弱々しく差し込んでいる。
——少しの間の沈黙。レオは俺が話し出すのを待っているようだった。話すなら、早い方がいいかな? でも。
………………。
「……今日、王都の神官さんに話しかけられてさ。この間の、俺が治癒した人。俺みたいな異世界人は何かしら力を持っていて、人目を引く。争いの種になったりもする。神殿でも把握をしたいから来て欲しいんだって。5日後に会うことになってる。王宮にも呼ばれるかもしれない。……それと、俺絡みで何か起こった場合、ここにいたらレオを巻き込むかもしれない。それは嫌だし、俺もこの世界にきてだいぶ慣れた、から、そろそろここを出るべきかな、って思ってる。」
ああ、言ってしまった。
「それ、は……。」
レオはびっくりしている。そうだよな、急にこんなこと。俺だってまだ飲み込みきれてないよ。それでもやっぱり大事な事だから、すぐに伝えたかった。
はぁ。言うだけで何でこんなに心が苦しいんだろう。
「まぁ、まだ次どこ行くかも決めてないから、もうちょっとお世話になるけど、居座っちゃってごめんね?」
「気にすることないよ、俺は今の生活気に入っているし。いていい。」
「レオ………ありがと。」
レオは優しい。こんな話聞いてもいていいって言ってくれる。なんでこんなに優しいんだろう。なんだか泣けてきそうだよ
やっぱり、もうちょっと一緒にいたいなぁ。
俺は寂しい気持ちと暖かい気持ちと……いろんな思いをない混ぜて眠りについた。
「——————カイ……」
◆
「————イ」
ん……何?まだ眠いよ……あと少し……
「——カイ」
ふわふわと頭を撫でられている? はわ、きもちい……もっと撫でて欲しい。
「えへへぇ……んむ……」
「こら、もう起きるよ。頭撫でられるの、好き?」
「……ん、すき…………」
「………………」
………………………………。
……ん? ……レオ? ………………!?!?
「へあッ!? お、俺…えっ???」
がばっと起き上がると、寝そべりながら頬杖をついたレオが蕩けるような瞳で俺を見ていた。
俺は撫でられたところを手で抑えている。えっどういう…??? ってか今! 俺、甘えて……!? んんぁぁあぁ~~!!
「おはよう、カイ。今日は洞窟まで行かないとだからもう起きないと。朝ごはん作ったから食べよ?」
「え……あ、うん??」
「今日はハムと卵のサンドとスープだよ。着替えたらおいで。」
端正な顔に甘やかな笑みを浮かべて俺の頬をひと撫ですると、部屋を出ていった。いつにも増してキラキラしてるな……?
でもレオは至って普通だな。少し甘い感じはするけど。でも俺は……うっ……あんな甘えてめちゃめちゃ恥ずかしい!
うあぁ…と心の中で叫びながら、もそもそと着替えてキッチンへ行く。テーブルにはすでに準備がされていた。
「あ、来たね。じゃあ食べようか」
いただきます、とスープをひと口。あったかおいしい~! 体と心に染みる…
「はぁ、おいし。レオ料理うまいよね」
「そう? 簡単なものしか作れないけどね。口に合ったならよかった。」
おいしくて一瞬で平らげてしまった。まだ俺がここにいる間、俺もレオにおいしいもんいっぱい食べて欲しいから料理頑張ろう。
さて、お腹もいっぱいだし張り切って行きますか!!
昨夜の憂いは、今は忘れて居られそうだ。
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