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6. 真実2

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 はっと思考を戻しメイルティンに視線を向ければ、
メイルティンは口元に綺麗な弧を描き、ふふと笑みを溢した。

「あの人はね、アタシの為に貴方の監視を買って出てくれたのよ。ねえ、彼は優しかったのかしら? あなたに唯一付いてきてくれた護衛騎士。あなたも逃げ出さずずっと一緒にいたのだものね、惚れちゃったんじゃない? でも手は出され無かったんでしょう? 当然ね、あの人はアタシに一目惚れして公爵家に入ってきた、アタシの信者なんだもの」

「……え……」

 呆然とメイルティンの顔を見つめる。
 確かにテレスフィオがメイルティンの婚約者候補だと言う話は聞いていた。けれど彼が公爵家に来た経緯までは、確かに知らない……
 勝ち誇った様に歪むメイルティンの顔に、自分は一体どんな風に映っているのか。

「ふふ、やっぱりちょっとは好きになってたんでしょう? もしかして彼が自分の為に付いてきてくれたんだって勘違いでもしてたのかしらあ? そんな訳ないじゃ無い! 誰も彼も無愛想で頭の固いあんたより、可愛いアタシの方がいいに決まってる! あの宿屋の常連客だってあっさりアンタを突き出したじゃない? アタシが頼んだからよ! 教えてあげる、あなたの持っているものは、全部アタシのものって、アタシが公爵令嬢になった時から決まってるのよ! きゃはは!」

「おい、煩いぞ。そのくらいにしておけ」

「はあい、ロレン。ねえもしかして妬いた? 大丈夫よ、アタシはあなただけの妻なんだから!」

 そう言ってロレンフィオンにしがみつくメイルティンを、オーリーは呆然と見つめた。

(テレスフィオも……メイルティンの為に……)

 逃げなければという思考が抜け落ちると共に身体が鉛のように重くなった。そんな中でも繋がる思考がオーリーの胸を抉る。
 テレスフィオはメイルティンの為に……ああそうか……だから……

(だから急にロレンフィオン様達が現れたのね……長く宿屋を離れていたのも、メイルティンに会いに行ってたから……?)

 今までの事も、全部、全部……

(私の為じゃなくて、メイルティンの為だったのね……)

「嫌だー、泣かないでよ。辛気臭いわねえ」

「……お前のせいだろう」

 呆れた様子の二人を気にする事も出来ず、オーリーは道中涙を流し続けた。
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