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東琴子・八
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目の前には頼子がいた。布団に突っ伏して泣いている姿を前に琴子は呆然と立ちつくした。
周りを見回す。広い部屋の真ん中に、ぽつんと引いてある大きな布団。枕もとにはテレビでしか見たことのないような行燈が置いてあって、ゆらゆら小さな灯が揺れていた。四方は襖で囲まれていて、あたりは恐ろしいほどに静かだ。ときおり風が吹く音がする。すきま風となって少し吹き込んでくる風は冷たくて、琴子は震えた。
頼子は琴子がいることなど気づきもしないような様子でただ泣き続けている。琴子は足もとを見た。自分の足はしっかりと畳を踏みしめている。足の裏には畳の感触が間違いなく伝わってきている。
「……あの」
琴子は声をかけた。頼子の泣き声が止まった。しかし頼子は顔を上げはせず、そのまま凍りついたように動かなくなった。琴子はそっと、頼子の背に手を置いた。その背の温かさ、質量を感じられることを確認した。そしてそっと声をかける。
頼子は体を起こし、ゆっくりと振り返る。そして琴子を見たが、しかし琴子が考えていたほどには驚かなかった。
「どなた?」
琴子は迷った。目の前の頼子の左目の下には、行儀よく並んだふたつのほくろがある。それに目を注ぐと、頼子もまた琴子の同じ場所に目を注いでいることに気がついた。
「あなた、どうしてここにいらっしゃるの?」
「え、と……」
頼子は涙を流しながら、しかし大きく目を見開いて琴子を見ていた。頬を伝う涙はやがて止まり、驚かせてしまったかも知れないが、彼女の悲しみが少しでも薄れたのならそれはよかったと思った。
「私も、あの……よく、わかんないけど……」
頼子は何度かまばたきをした。その瞳から、また涙が零れ落ちた。それを目に、琴子は慌てて言った。
「ねぇ、頼子さん」
琴子が頼子の名を呼んだことに、やはり頼子はあまり驚かなかった。濡れた瞳をまた大きく見開いただけで、それ以上の驚きの表情は見せなかった。
「どうして言わないの? 祐馬さんに言えばいいじゃないの。お父さんに、その……」
「信じていただけるかしら」
自虐的な口調で頼子は言った。その、人を疑う心など一片もないような柔和な頼子の口からそのような言葉が漏れるとは、意外だった。
「わたくしを信じていただければよろしいけれど、信じていただけなかったら? そのとき私はどうなるかしら……」
不安に顔を染めた頼子に琴子は慌てた。頼子の隣にぺたりと座り、彼女の顔を覗き込むような体勢で、なおも繰り返した。
「でも、祐馬さんは信じたがってるんじゃないの? あなたがお父さんに……されたって言えばいいんじゃないの。お父さんはあんな気の弱そうな人だし、頼子さんが強く出たらあっちが折れるんじゃないかと思うんだけど」
「そうかしら」
頼子は言って、目を伏せた。それに琴子は自分の言葉を後悔した。徳治が気の弱そうな男であるのは見かけだけ、息子の嫁を手込めにして知らない顔をしていられる厚顔無恥は、確かに琴子が思うように気の弱い男の持つ心根ではないかも知れない。
「そう言って、どうなるかしら」
大きくため息をついて、琴子はつぶやいた。
「言えば……わたくしは、少しでも救われるのかしら」
そして、すがるように琴子を見た。頼りなくふわふわした印象の頼子が、突然現れた琴子に大して驚きもせず、受け入れていることが不思議だった。自分が逆の立場ならどのように反応していただろう。驚きに悲鳴を上げていたかも知れないし、下手をすると不審な侵入者があると警察を呼んでいたかも知れない。
しかし同時にそうではないかも知れないとも思う。なんの前触れもなく頼子を目の前にしたとき、琴子はどう思うだろうか。夢に初めて現れた頼子を見た琴子は、彼女をどことなく親しみの持てる相手だとは思わなかっただろうか。見たこともないはずなのにどこかで会ったことのあるような気がする、それはやはり、同じところにあるほくろのせいなのだろうか。
同時に自分が、この異様な空間にいて大して驚きもしていないこともまた不思議だった。映画やテレビでしか見たことのないような光景の中にいて、琴子の気にかかるのは頼子の心で、自分の置かれている場所ではない。ここからもとの場所に戻れるだろうかと心配すべきなのかも知れないが、しかし琴子の心にはそういう懸念は生まれてこなかった。
頼子は、琴子をじっと見た。琴子が気後れするほどにじっと見つめ、そしてつぶやいた。
「あなたはわたくしの味方なのかしら。それとも、あなたもわたくしを責めるのかしら?」
琴子が首を横に振ると、頼子は嬉しそうな顔をした。しかしその表情は、すぐにふっと沈んでしまう。
「わたくし、どうしていいのかわからないの。真実を言えばいいのかしら、耐えればいいのかしら。それとも……ほかに道があるのかしら」
頼子は顔を上げた。泣き濡れた顔は琴子の胸をぎゅっと掴んだ。まるで、琴子がその答えを持っているとでもいうように、頼子はなおも疑問を重ねた。
「わからないわ。どうして……わたくしがこのような目に遭うのかも」
なすべきさまもわからずに迷い、ただ泣く頼子の弱さを苛立たしく思う心はなかった。それは、頼子を決して他人と思えない心のゆえばかりではない。自分ではどうしようもない状況のもどかしさを、琴子自身何となくわかるような気がしたからだ。
長い夜だった。しかしその夜も明け、やってきた朝日が琴子の目を覚まさせる。眠っていたのか起きていたのか、自分でもよくわからない長い夜は終わったのだということがどうにも実感できないまま、まだぼんやりする体を無理矢理起こす。
琴子は部屋を出た。キッチンには梨枝がいて、朝食の準備をしていた。いつも通りに朗らかに挨拶をしてきた梨枝は、今にも割ろうとしていた卵を琴子に向けた。
「食べる? 一緒に焼くけど」
「うん……、ありがと」
寝起きの琴子の頭を、フライパンの立てる小気味いい音が覚醒してくれた。ここは日向家ではなく、畳も襖も行燈もなく、嘆く頼子もいない。琴子の日常、毎日暮らしているアパートなのだということをその音が思い出させてくれる。フライパンの立てる音を聞いていると昨夜の夢が遠いところのものに感じられる。
ともすれば、あれは本当に単なる夢だったのかも知れないとまで思った。
ぼんやりしていた琴子の頭に梨枝の声が飛び込んできた。梨枝は、スキャンダルを目の前にした雑誌記者のような顔をして琴子を覗き込んできていた。
「ねぇねぇ、琴子。唯果のこと知ってるよね。岸田唯果」
琴子はうなずいた。彼女の名を前に琴子の反応にいささか鈍いところがあったことは、梨枝には伝わらなかったようだ。梨枝はますます嬉しそうな表情をして、琴子に顔を寄せてきた。
「あの子、綱島先生とつきあってるんだってよ」
琴子は目を見開いた。そんな琴子の反応を喜ぶように、梨枝はますます表情をほころばせた。
「なんでそんなこと知ってるの?」
「情報ソースは秘密です」
梨枝は悪戯めいた表情でそう言った。綱島のことを好きなのか、と尋ねられたときの唯果の顔を思い出す。そのときの焦燥した思いは事実だが、かといって琴子に綱島を想う気持ちがあったのかと言われるとそれは少し違うと思う。今、琴子の抱いている喪失感は、頼れる人間を失ったという気分なのだ。
琴子の症状に同情を示してくれた綱島の相手が唯果だというから、喪失感はますます強くなった。琴子のことをよく思っていない唯果が、琴子を理解してくれた綱島とそれほどの仲であるということ。それは琴子から、綱島の優しさを嬉しく受け取る気持ちを萎えさせてしまった。
あのときの唯果の意地の悪さは、自分の恋人と仲良くする相手をやっかんでのことだったのだろうか。それならば唯果の言うことはただの憎まれ口、決して琴子に問題があるというわけではないのかも知れない。琴子はふと、そう思った。そう思うと、心のわだかまりが晴れた。
「そういうのって……まずいんじゃないの?」
琴子の反応を楽しみにするような梨枝に、琴子は首をかしげてそう言った。梨枝は当たり前だと、なおも楽しそうな表情のまま言った。
「だから、誰にも言わないでね。琴子は言いふらしたりしないと思ってるから言ったんだもん」
それでいて梨枝は、新しく手に入れたその情報を誰かに言いたくてたまらないという様子だった。その様子に思わず琴子は、梨枝の腕にそっと触れた。梨枝は振り返る。
「ねぇ、梨枝。そういうこと……あんまり言わないほうがいいんじゃない?」
琴子の言葉に、梨枝はふと表情を変えた。今までの好奇心一杯の表情から、琴子の言葉に明らかに気を悪くしたという様子を見せた。それにしまったとは思ったが、しかし口は止められなかった。
「どういうことよ」
「だからね、先生が学生とつきあってるからとか。それってまずいじゃない?」
「そりゃ、そうでしょうね」
いささか冷ややかな声で梨枝は言った。そんな梨枝の反応に、自分から話を持ち出したくせにとむっとした琴子は、いささか声を尖らせて言った。
「それに、そんなこと言って回ったって誰の得にもならないじゃない。梨枝がおしゃべりだと思われちゃうだけだよ」
「別に、私だって誰彼なしに言って回ってるわけじゃないよ」
梨枝は気を悪くしたようだった。そして先ほどとはまったく違う、不機嫌な調子で声を尖らせた。
「なんでそういうこと、琴子に言われなくちゃいけないわけ? 琴子に偉そうに言われる理由なんて、ないと思うけど」
梨枝は、腕に触れている琴子の手をいささか乱暴にふりほどいた。梨枝は、なおも怒りの顔で琴子を見た。
「琴子って、ときどきそうよね。そういう説教口調で言われるの、ムカつく」
そして梨枝は、手早く自分のぶんの食事を整えると盆に載せ、琴子の方は見ずにふいと踵を返して行ってしまった。それを琴子は呆然と見送った。調理台の上には、きれいな色に焼けた目玉焼きが寂しく皿に載って置いてあった。
梨枝の言葉は唯果の言葉を思い出させる。綱島とのことがあるから唯果がことさら意地悪く琴子に当たったのではないかという考えは、やはり琴子の逃げだったのか。数少ない親しい相手である梨枝にまで同じことを突きつけられて、琴子は思わず自分の胸を押さえた。
「……」
なぜ梨枝の言葉がここまで自分に衝撃を与えるのかを懸命に考えた。友達と少し、行き違ってしまっただけだ。それだけのことだ。それがこんなにショックなのは、昨夜の夢でのことが原因に違いない。頼子の悲しみを目の前に見たから。ひとりぼっちに悲しむ頼子の姿が、梨枝に背中を向けられた自分と重なるから。だからに違いない。
そう考えながら部屋に戻った琴子の目は、ベッドの脇に置いてある薬の袋に向いた。
食事のあとに飲めと言われている薬だが、一回くらいなら大丈夫だろう。精神安定剤というくらいだから、心を落ち着けるのに効くはずだ。今の、このもやもやしたいやな気分、今にも泣き出してしまいそうな気分を楽にしてくれるかも知れない。
琴子は規定量の倍を口に入れ、水と共に飲み下した。ややあって、頭がぼんやりと重くなる。そのまま押しつぶされそうな感覚は、どこかあの発作のときのものと似てはいたが、今回のものは柔らかく優しかった。そういえば睡眠薬や精神安定剤を大量に飲むという自殺方法もあるが、そのときはこのような感触なのだろうか。
もらった薬は一番効き目の弱い精神安定剤だと言っていたから、まさか死ぬことはないだろうが、しかし水に溺れるあの苦しさに比べればこちらのほうが死ぬ手段としてはましだろう。どこか遠いところ、そのようなことを考えていた。
そうやって眠ると夢を見る。ここは日向家の頼子の部屋だというのは、もう驚くまでもなくわかる。
琴の音色が響いている。目の前には頼子がいて、熱心に琴を弾いていた。頼子はふと顔を上げ、琴子に気がつくとつま弾く手を止めた。静寂が広がり、遠く、さやさやと木々の触れ合う音がするばかりだった。
「あなたは、わたくしが心弱くなるときに現れるのね」
そう言って、頼子は微笑んだ。頼子がじっと琴子の顔を見つめてくるので、目線を合わせようとかがみ込んだ琴子の姿勢は、自然畳に座る形になった。頼子の目は虹彩の色が濃く、瞳孔と溶け合って見える。それが頼子を黒目がちで神秘的な顔立ちに見せた。
「あなたはきっと、わたくし自身ね」
頼子は薄く微笑んで言った。体を起こし、指を伸ばしてきた。左目の下に、細く白い指が触れてきて琴子は体を震わせた。頼子の指先ははっきりとした質量を持って琴子の頬に触れた。夢だとは思えないほどにはっきりとした感覚だった。
「同じところにほくろがあるもの。同じところに印を持つふたりは同じ魂の持ち主なんですって。どこかでそのようなこと、読んだことがあるわ」
頼子はにっこりと微笑んだ。目もとと口もとを緩めて微笑む上品な笑みは琴子の周りの人間には決して見ないものだ。琴子の目から見れば芝居がかったように見えるそんな微笑からも、頼子は琴子とは違い世界の住人なのだと知らしめてくれた。
「だから、わたくしのことを心配してくださるのかしら。嬉しいわ」
しかしそれでいて、まるで同じ家に育ってきた者同士のような親しみを感じる。心の底から嬉しそうに、頼子は琴子に話しかける。話の相手を得て喜んでいるというふうの頼子の態度に、それほど彼女は心弱りしているのだと思った。
「頼子さんは……私のこと、知ってるの?」
琴子が尋ねると、頼子は首を左右に振った。
「でも、あなたはわたくしのことをご存じなのね。名前も、きっとわたくしの置かれた立場も」
その口調には少し自虐的なものが混ざった。頼子は顔を上げて琴子を見、そして手を伸ばしてきた。頼子の、白く柔らかい手が琴子の手を握った。ほのかに冷たいそれは、頼子が確かに目の前で生きている存在であるということをまざまざと思い知らせてくれる。
「あなたはどう思われるかしら。ええと……」
「琴子」
頼子がこちらの名を聞きたいのだと気がついた琴子は口早にそう言った。頼子は、ああとうなずいた。
「琴子さん。わたくしにどこか悪いところがあるの……お気づき? わたくしの何がいけないのかしら? 何かいけなくて、このようになってしまうのかしら?」
「それは……」
それはわからないと思った。それは自分が唯果や梨枝を不愉快にしてしまっていること同様、琴子にはわからない。それはきっと本人には気がつかないことなのだ。しかし琴子はともかく、頼子には他人を不愉快にさせるような態度など見あたらないと思う。琴子の知る限り、どこまでも人当たりのいい、いい意味での本当のお嬢様なのに。
しかし琴子が口を濁すのを、頼子は琴子が言いにくいことを口ごもったのだと思ったらしい。頼子はじっと、期待するように琴子を見た。琴子は困惑して、取られた手をほどこうとしたが頼子は離そうとはしなかった。
そのとき、襖の向こうから足音が聞こえた。頼子の部屋の前で衣擦れの音がし、そして声が聞こえた。
「頼子さん」
徳治だ。頼子ははっと体をこわばらせた。しかし頼子は徳治の訪問を拒まず、開いた襖から徳治の太った体が現れた。琴子は身の置き場に迷ったが、徳治は確かに琴子の立っている場所を見たのに何の反応も示さなかった。琴子が見えていないのかも知れない。
「お加減はいかがですか」
猫なで声で徳治は言った。そしてどうぞとも言われないのに勝手に部屋の奥に入り込み、乱暴に部屋の真ん中に腰を下ろした。そして八重は晩餐会に出かけていると言った。
「祐馬もしばらくは帰ってこられないようです。お勤めに励むのはいいことだが、置いて行かれる新妻にしてはたまったものではありませんね」
妻も息子も不在にしている家で、息子の嫁の部屋に来た徳治が何を求めてきたかは明らかだった。頼子は顔を伏せ、琴子は不快に顔を歪めた。徳治は頼子をじっと見ていて、仮に琴子が見えていても気づくことすらない様子だった。
「正直、あなたが八重や祐馬に言いつけるのではないかと思っていたのだが。あなたは八重や祐馬に疑われて自分を犠牲にしても、私の名を出さなかった……これは」
徳治は微笑んで頼子を見た。その笑みは歪んでいた。頼子は顔を伏せたまま、琴子にはもどかしいほどにおとなしい様子だった。徳治は椅子から立ち上がり、そんな頼子の前の前に座り直してあぐらをかいた。頼子の顎に太い指を絡め、上を向かせる。頼子は、その黒目がちの目を見開いた。
「あなた自身、後ろめたいところがあるらしい。それとも、ここに来る前書生に無体をされたというのは……あなた自身のご意志だったのですか?」
「お父様!」
頼子は悲鳴を上げ、徳治はくつくつと笑った。顎を上向かせ、そのまま咽喉を指が滑り落ちる。頼子の白い咽喉もとに徳治の太い指が滑るのは、白く可憐な花を醜い芋虫が食い荒らす様子を連想させた。
「ほら……あなたはいやがらない」
「おやめください、お願いにございます……!」
必死に体をひねる頼子だが、徳治の力の方が強い。そして意志の強さもまた、徳治の方が上だった。
「しかし、あなたは私をこうやって招き入れてくれた。こんな、夜更けに」
「それは……」
痛いところを突かれた頼子はびくりと身を震わせた。いかに多少太り愚鈍であるとしても、深窓の令嬢の頼子を組み伏せることぐらいは簡単だったらしい。
「あなた自身、悪しからず思っているところがあるということでしょう」
徳治の体が頼子に重なる。琴子は強く目をつぶり、顔を背けた。頼子の噛み殺した呻きが耳に入ってくるのを懸命にふりほどこうとした。
どうして抵抗しないの。琴子はそう思いながらも、しかし頼子が徳治のなすがままになってしまうその心は理解できないものではないとも思っている。
味方を失うのが怖いのだ。孤立するのが恐ろしいのだ。八重には嫌われ祐馬に誤解されたまま、徳治にさえ去って行かれれば頼子には寄る術はなくなる。徳治を厭ってはいても、頼子は徳治の機嫌を損ねることを恐れた。この家での唯一の味方を失うことを恐れた。
それはいやらしい計算だったかも知れない。唾棄すべき下心だったかも知れない。しかしその気持ちがわかると、琴子は思った。
周りを見回す。広い部屋の真ん中に、ぽつんと引いてある大きな布団。枕もとにはテレビでしか見たことのないような行燈が置いてあって、ゆらゆら小さな灯が揺れていた。四方は襖で囲まれていて、あたりは恐ろしいほどに静かだ。ときおり風が吹く音がする。すきま風となって少し吹き込んでくる風は冷たくて、琴子は震えた。
頼子は琴子がいることなど気づきもしないような様子でただ泣き続けている。琴子は足もとを見た。自分の足はしっかりと畳を踏みしめている。足の裏には畳の感触が間違いなく伝わってきている。
「……あの」
琴子は声をかけた。頼子の泣き声が止まった。しかし頼子は顔を上げはせず、そのまま凍りついたように動かなくなった。琴子はそっと、頼子の背に手を置いた。その背の温かさ、質量を感じられることを確認した。そしてそっと声をかける。
頼子は体を起こし、ゆっくりと振り返る。そして琴子を見たが、しかし琴子が考えていたほどには驚かなかった。
「どなた?」
琴子は迷った。目の前の頼子の左目の下には、行儀よく並んだふたつのほくろがある。それに目を注ぐと、頼子もまた琴子の同じ場所に目を注いでいることに気がついた。
「あなた、どうしてここにいらっしゃるの?」
「え、と……」
頼子は涙を流しながら、しかし大きく目を見開いて琴子を見ていた。頬を伝う涙はやがて止まり、驚かせてしまったかも知れないが、彼女の悲しみが少しでも薄れたのならそれはよかったと思った。
「私も、あの……よく、わかんないけど……」
頼子は何度かまばたきをした。その瞳から、また涙が零れ落ちた。それを目に、琴子は慌てて言った。
「ねぇ、頼子さん」
琴子が頼子の名を呼んだことに、やはり頼子はあまり驚かなかった。濡れた瞳をまた大きく見開いただけで、それ以上の驚きの表情は見せなかった。
「どうして言わないの? 祐馬さんに言えばいいじゃないの。お父さんに、その……」
「信じていただけるかしら」
自虐的な口調で頼子は言った。その、人を疑う心など一片もないような柔和な頼子の口からそのような言葉が漏れるとは、意外だった。
「わたくしを信じていただければよろしいけれど、信じていただけなかったら? そのとき私はどうなるかしら……」
不安に顔を染めた頼子に琴子は慌てた。頼子の隣にぺたりと座り、彼女の顔を覗き込むような体勢で、なおも繰り返した。
「でも、祐馬さんは信じたがってるんじゃないの? あなたがお父さんに……されたって言えばいいんじゃないの。お父さんはあんな気の弱そうな人だし、頼子さんが強く出たらあっちが折れるんじゃないかと思うんだけど」
「そうかしら」
頼子は言って、目を伏せた。それに琴子は自分の言葉を後悔した。徳治が気の弱そうな男であるのは見かけだけ、息子の嫁を手込めにして知らない顔をしていられる厚顔無恥は、確かに琴子が思うように気の弱い男の持つ心根ではないかも知れない。
「そう言って、どうなるかしら」
大きくため息をついて、琴子はつぶやいた。
「言えば……わたくしは、少しでも救われるのかしら」
そして、すがるように琴子を見た。頼りなくふわふわした印象の頼子が、突然現れた琴子に大して驚きもせず、受け入れていることが不思議だった。自分が逆の立場ならどのように反応していただろう。驚きに悲鳴を上げていたかも知れないし、下手をすると不審な侵入者があると警察を呼んでいたかも知れない。
しかし同時にそうではないかも知れないとも思う。なんの前触れもなく頼子を目の前にしたとき、琴子はどう思うだろうか。夢に初めて現れた頼子を見た琴子は、彼女をどことなく親しみの持てる相手だとは思わなかっただろうか。見たこともないはずなのにどこかで会ったことのあるような気がする、それはやはり、同じところにあるほくろのせいなのだろうか。
同時に自分が、この異様な空間にいて大して驚きもしていないこともまた不思議だった。映画やテレビでしか見たことのないような光景の中にいて、琴子の気にかかるのは頼子の心で、自分の置かれている場所ではない。ここからもとの場所に戻れるだろうかと心配すべきなのかも知れないが、しかし琴子の心にはそういう懸念は生まれてこなかった。
頼子は、琴子をじっと見た。琴子が気後れするほどにじっと見つめ、そしてつぶやいた。
「あなたはわたくしの味方なのかしら。それとも、あなたもわたくしを責めるのかしら?」
琴子が首を横に振ると、頼子は嬉しそうな顔をした。しかしその表情は、すぐにふっと沈んでしまう。
「わたくし、どうしていいのかわからないの。真実を言えばいいのかしら、耐えればいいのかしら。それとも……ほかに道があるのかしら」
頼子は顔を上げた。泣き濡れた顔は琴子の胸をぎゅっと掴んだ。まるで、琴子がその答えを持っているとでもいうように、頼子はなおも疑問を重ねた。
「わからないわ。どうして……わたくしがこのような目に遭うのかも」
なすべきさまもわからずに迷い、ただ泣く頼子の弱さを苛立たしく思う心はなかった。それは、頼子を決して他人と思えない心のゆえばかりではない。自分ではどうしようもない状況のもどかしさを、琴子自身何となくわかるような気がしたからだ。
長い夜だった。しかしその夜も明け、やってきた朝日が琴子の目を覚まさせる。眠っていたのか起きていたのか、自分でもよくわからない長い夜は終わったのだということがどうにも実感できないまま、まだぼんやりする体を無理矢理起こす。
琴子は部屋を出た。キッチンには梨枝がいて、朝食の準備をしていた。いつも通りに朗らかに挨拶をしてきた梨枝は、今にも割ろうとしていた卵を琴子に向けた。
「食べる? 一緒に焼くけど」
「うん……、ありがと」
寝起きの琴子の頭を、フライパンの立てる小気味いい音が覚醒してくれた。ここは日向家ではなく、畳も襖も行燈もなく、嘆く頼子もいない。琴子の日常、毎日暮らしているアパートなのだということをその音が思い出させてくれる。フライパンの立てる音を聞いていると昨夜の夢が遠いところのものに感じられる。
ともすれば、あれは本当に単なる夢だったのかも知れないとまで思った。
ぼんやりしていた琴子の頭に梨枝の声が飛び込んできた。梨枝は、スキャンダルを目の前にした雑誌記者のような顔をして琴子を覗き込んできていた。
「ねぇねぇ、琴子。唯果のこと知ってるよね。岸田唯果」
琴子はうなずいた。彼女の名を前に琴子の反応にいささか鈍いところがあったことは、梨枝には伝わらなかったようだ。梨枝はますます嬉しそうな表情をして、琴子に顔を寄せてきた。
「あの子、綱島先生とつきあってるんだってよ」
琴子は目を見開いた。そんな琴子の反応を喜ぶように、梨枝はますます表情をほころばせた。
「なんでそんなこと知ってるの?」
「情報ソースは秘密です」
梨枝は悪戯めいた表情でそう言った。綱島のことを好きなのか、と尋ねられたときの唯果の顔を思い出す。そのときの焦燥した思いは事実だが、かといって琴子に綱島を想う気持ちがあったのかと言われるとそれは少し違うと思う。今、琴子の抱いている喪失感は、頼れる人間を失ったという気分なのだ。
琴子の症状に同情を示してくれた綱島の相手が唯果だというから、喪失感はますます強くなった。琴子のことをよく思っていない唯果が、琴子を理解してくれた綱島とそれほどの仲であるということ。それは琴子から、綱島の優しさを嬉しく受け取る気持ちを萎えさせてしまった。
あのときの唯果の意地の悪さは、自分の恋人と仲良くする相手をやっかんでのことだったのだろうか。それならば唯果の言うことはただの憎まれ口、決して琴子に問題があるというわけではないのかも知れない。琴子はふと、そう思った。そう思うと、心のわだかまりが晴れた。
「そういうのって……まずいんじゃないの?」
琴子の反応を楽しみにするような梨枝に、琴子は首をかしげてそう言った。梨枝は当たり前だと、なおも楽しそうな表情のまま言った。
「だから、誰にも言わないでね。琴子は言いふらしたりしないと思ってるから言ったんだもん」
それでいて梨枝は、新しく手に入れたその情報を誰かに言いたくてたまらないという様子だった。その様子に思わず琴子は、梨枝の腕にそっと触れた。梨枝は振り返る。
「ねぇ、梨枝。そういうこと……あんまり言わないほうがいいんじゃない?」
琴子の言葉に、梨枝はふと表情を変えた。今までの好奇心一杯の表情から、琴子の言葉に明らかに気を悪くしたという様子を見せた。それにしまったとは思ったが、しかし口は止められなかった。
「どういうことよ」
「だからね、先生が学生とつきあってるからとか。それってまずいじゃない?」
「そりゃ、そうでしょうね」
いささか冷ややかな声で梨枝は言った。そんな梨枝の反応に、自分から話を持ち出したくせにとむっとした琴子は、いささか声を尖らせて言った。
「それに、そんなこと言って回ったって誰の得にもならないじゃない。梨枝がおしゃべりだと思われちゃうだけだよ」
「別に、私だって誰彼なしに言って回ってるわけじゃないよ」
梨枝は気を悪くしたようだった。そして先ほどとはまったく違う、不機嫌な調子で声を尖らせた。
「なんでそういうこと、琴子に言われなくちゃいけないわけ? 琴子に偉そうに言われる理由なんて、ないと思うけど」
梨枝は、腕に触れている琴子の手をいささか乱暴にふりほどいた。梨枝は、なおも怒りの顔で琴子を見た。
「琴子って、ときどきそうよね。そういう説教口調で言われるの、ムカつく」
そして梨枝は、手早く自分のぶんの食事を整えると盆に載せ、琴子の方は見ずにふいと踵を返して行ってしまった。それを琴子は呆然と見送った。調理台の上には、きれいな色に焼けた目玉焼きが寂しく皿に載って置いてあった。
梨枝の言葉は唯果の言葉を思い出させる。綱島とのことがあるから唯果がことさら意地悪く琴子に当たったのではないかという考えは、やはり琴子の逃げだったのか。数少ない親しい相手である梨枝にまで同じことを突きつけられて、琴子は思わず自分の胸を押さえた。
「……」
なぜ梨枝の言葉がここまで自分に衝撃を与えるのかを懸命に考えた。友達と少し、行き違ってしまっただけだ。それだけのことだ。それがこんなにショックなのは、昨夜の夢でのことが原因に違いない。頼子の悲しみを目の前に見たから。ひとりぼっちに悲しむ頼子の姿が、梨枝に背中を向けられた自分と重なるから。だからに違いない。
そう考えながら部屋に戻った琴子の目は、ベッドの脇に置いてある薬の袋に向いた。
食事のあとに飲めと言われている薬だが、一回くらいなら大丈夫だろう。精神安定剤というくらいだから、心を落ち着けるのに効くはずだ。今の、このもやもやしたいやな気分、今にも泣き出してしまいそうな気分を楽にしてくれるかも知れない。
琴子は規定量の倍を口に入れ、水と共に飲み下した。ややあって、頭がぼんやりと重くなる。そのまま押しつぶされそうな感覚は、どこかあの発作のときのものと似てはいたが、今回のものは柔らかく優しかった。そういえば睡眠薬や精神安定剤を大量に飲むという自殺方法もあるが、そのときはこのような感触なのだろうか。
もらった薬は一番効き目の弱い精神安定剤だと言っていたから、まさか死ぬことはないだろうが、しかし水に溺れるあの苦しさに比べればこちらのほうが死ぬ手段としてはましだろう。どこか遠いところ、そのようなことを考えていた。
そうやって眠ると夢を見る。ここは日向家の頼子の部屋だというのは、もう驚くまでもなくわかる。
琴の音色が響いている。目の前には頼子がいて、熱心に琴を弾いていた。頼子はふと顔を上げ、琴子に気がつくとつま弾く手を止めた。静寂が広がり、遠く、さやさやと木々の触れ合う音がするばかりだった。
「あなたは、わたくしが心弱くなるときに現れるのね」
そう言って、頼子は微笑んだ。頼子がじっと琴子の顔を見つめてくるので、目線を合わせようとかがみ込んだ琴子の姿勢は、自然畳に座る形になった。頼子の目は虹彩の色が濃く、瞳孔と溶け合って見える。それが頼子を黒目がちで神秘的な顔立ちに見せた。
「あなたはきっと、わたくし自身ね」
頼子は薄く微笑んで言った。体を起こし、指を伸ばしてきた。左目の下に、細く白い指が触れてきて琴子は体を震わせた。頼子の指先ははっきりとした質量を持って琴子の頬に触れた。夢だとは思えないほどにはっきりとした感覚だった。
「同じところにほくろがあるもの。同じところに印を持つふたりは同じ魂の持ち主なんですって。どこかでそのようなこと、読んだことがあるわ」
頼子はにっこりと微笑んだ。目もとと口もとを緩めて微笑む上品な笑みは琴子の周りの人間には決して見ないものだ。琴子の目から見れば芝居がかったように見えるそんな微笑からも、頼子は琴子とは違い世界の住人なのだと知らしめてくれた。
「だから、わたくしのことを心配してくださるのかしら。嬉しいわ」
しかしそれでいて、まるで同じ家に育ってきた者同士のような親しみを感じる。心の底から嬉しそうに、頼子は琴子に話しかける。話の相手を得て喜んでいるというふうの頼子の態度に、それほど彼女は心弱りしているのだと思った。
「頼子さんは……私のこと、知ってるの?」
琴子が尋ねると、頼子は首を左右に振った。
「でも、あなたはわたくしのことをご存じなのね。名前も、きっとわたくしの置かれた立場も」
その口調には少し自虐的なものが混ざった。頼子は顔を上げて琴子を見、そして手を伸ばしてきた。頼子の、白く柔らかい手が琴子の手を握った。ほのかに冷たいそれは、頼子が確かに目の前で生きている存在であるということをまざまざと思い知らせてくれる。
「あなたはどう思われるかしら。ええと……」
「琴子」
頼子がこちらの名を聞きたいのだと気がついた琴子は口早にそう言った。頼子は、ああとうなずいた。
「琴子さん。わたくしにどこか悪いところがあるの……お気づき? わたくしの何がいけないのかしら? 何かいけなくて、このようになってしまうのかしら?」
「それは……」
それはわからないと思った。それは自分が唯果や梨枝を不愉快にしてしまっていること同様、琴子にはわからない。それはきっと本人には気がつかないことなのだ。しかし琴子はともかく、頼子には他人を不愉快にさせるような態度など見あたらないと思う。琴子の知る限り、どこまでも人当たりのいい、いい意味での本当のお嬢様なのに。
しかし琴子が口を濁すのを、頼子は琴子が言いにくいことを口ごもったのだと思ったらしい。頼子はじっと、期待するように琴子を見た。琴子は困惑して、取られた手をほどこうとしたが頼子は離そうとはしなかった。
そのとき、襖の向こうから足音が聞こえた。頼子の部屋の前で衣擦れの音がし、そして声が聞こえた。
「頼子さん」
徳治だ。頼子ははっと体をこわばらせた。しかし頼子は徳治の訪問を拒まず、開いた襖から徳治の太った体が現れた。琴子は身の置き場に迷ったが、徳治は確かに琴子の立っている場所を見たのに何の反応も示さなかった。琴子が見えていないのかも知れない。
「お加減はいかがですか」
猫なで声で徳治は言った。そしてどうぞとも言われないのに勝手に部屋の奥に入り込み、乱暴に部屋の真ん中に腰を下ろした。そして八重は晩餐会に出かけていると言った。
「祐馬もしばらくは帰ってこられないようです。お勤めに励むのはいいことだが、置いて行かれる新妻にしてはたまったものではありませんね」
妻も息子も不在にしている家で、息子の嫁の部屋に来た徳治が何を求めてきたかは明らかだった。頼子は顔を伏せ、琴子は不快に顔を歪めた。徳治は頼子をじっと見ていて、仮に琴子が見えていても気づくことすらない様子だった。
「正直、あなたが八重や祐馬に言いつけるのではないかと思っていたのだが。あなたは八重や祐馬に疑われて自分を犠牲にしても、私の名を出さなかった……これは」
徳治は微笑んで頼子を見た。その笑みは歪んでいた。頼子は顔を伏せたまま、琴子にはもどかしいほどにおとなしい様子だった。徳治は椅子から立ち上がり、そんな頼子の前の前に座り直してあぐらをかいた。頼子の顎に太い指を絡め、上を向かせる。頼子は、その黒目がちの目を見開いた。
「あなた自身、後ろめたいところがあるらしい。それとも、ここに来る前書生に無体をされたというのは……あなた自身のご意志だったのですか?」
「お父様!」
頼子は悲鳴を上げ、徳治はくつくつと笑った。顎を上向かせ、そのまま咽喉を指が滑り落ちる。頼子の白い咽喉もとに徳治の太い指が滑るのは、白く可憐な花を醜い芋虫が食い荒らす様子を連想させた。
「ほら……あなたはいやがらない」
「おやめください、お願いにございます……!」
必死に体をひねる頼子だが、徳治の力の方が強い。そして意志の強さもまた、徳治の方が上だった。
「しかし、あなたは私をこうやって招き入れてくれた。こんな、夜更けに」
「それは……」
痛いところを突かれた頼子はびくりと身を震わせた。いかに多少太り愚鈍であるとしても、深窓の令嬢の頼子を組み伏せることぐらいは簡単だったらしい。
「あなた自身、悪しからず思っているところがあるということでしょう」
徳治の体が頼子に重なる。琴子は強く目をつぶり、顔を背けた。頼子の噛み殺した呻きが耳に入ってくるのを懸命にふりほどこうとした。
どうして抵抗しないの。琴子はそう思いながらも、しかし頼子が徳治のなすがままになってしまうその心は理解できないものではないとも思っている。
味方を失うのが怖いのだ。孤立するのが恐ろしいのだ。八重には嫌われ祐馬に誤解されたまま、徳治にさえ去って行かれれば頼子には寄る術はなくなる。徳治を厭ってはいても、頼子は徳治の機嫌を損ねることを恐れた。この家での唯一の味方を失うことを恐れた。
それはいやらしい計算だったかも知れない。唾棄すべき下心だったかも知れない。しかしその気持ちがわかると、琴子は思った。
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