NO天気

向上心

　向上心。
　向上心ほど私にない心はないと思う。それとやる気。

　子供の頃、空が飛べたらいいのにな、と思ったことがある人は多いと思う。でも私は、空が飛べたらいいではなく、頑なに宙に浮けたらいいのになと思っていた。つまり飛びたくはないのだ。自分の意思や力で方向を選びたくない。ただ単に、浮いていたい。無気力全開だったと思う。雲をどれほど羨んでいたか、今思えばわりと希望に満ちていたのかもしれない。しかし、学校で水循環という仕組みを知ったせいで、その希望も儚く散った。

　だって、雲になったら一生死ねないではないか！
　無機物である時点で命とは無縁のものなのだが、循環という言葉に強く刺激を受けてしまった。

　次に私が選んだものは、クラゲ。体の98％が水分でできているものもいるらしい。心臓もなければ脳もない。しかも生物なので死ぬ！　その上基本水流のおかげで動けている。海の雲と勝手に命名したクラゲを一時期推していたが、彼らは一番「不老不死」に近い存在だと知ってしまった。基本はクラゲ社会の中での普通の繁殖をするのだが、命の危機に陥ると、細胞を変化させ、「若返る」ことができるとどこかで知ってしまった。彼らよりDNA的にクローンに近い存在は今のところいないとのこと。
　
　そんなの大変そうだ！

　それなら受精を虫任せにしている種類の花の方が性に合っているような気がする。子供の頃、私はよく入院していて、点滴がとても好きだったのを覚えている。まるで植物のように、その頃は水だと思っていたのだが、透明な液体を身体に取り入れるだけで、ベッドからは動けず、木になった気分を楽しんでいた。その頃なぜ木になりたくなかったかというと、彼らはわりと長生きするからだ。私が木になったらきっと不健康で、人間からしたら切り倒したくないような木になる気がした。

　最近は人間が一番私に適していると思ったり……