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3章
二人の王女
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「自分が住んでるこの国の名前くらい教えておけよ」
とローランドはノバに言いました。
テーブルには麦のパンにハチミツ、いつもの山羊の乳のシチューにサラダ、そして茹で上がった山盛りの腸詰めが湯気を立てています。
ローランドの前には新鮮なニンジンとワインです。
「特に必要なかったんだよ」
とノバは困ったように言いました。
実はフォノンが生まれた時、三人の魔女に予言を受けており、外の世界の話をしてフォノンが興味を持つと、どこかへ行ってしまうのではないかと漠然とした不安を持っていたのです。
いえ、いつかはフォノンはここから旅立つ日が来るのは間違いありませんし、それを望んでもいるのですが、その時を思うとどうしても寂しくなってしまうのです。
「さて、私たちのことは知っているようだから、君たちの名前から教えてもらってもいいかな?」
とノバはユニとシンに向かって言いました。
二人は頷きました。
「俺は……私の本当の名前はユニゾンと言います」
とユニゾンと名乗った者は言いました。
「そしてこっちが」
とシンの方を向きました。
シンは帽子を脱ぎました。するとどうでしょう。見事な長い銀髪が流れるように出て来ました。
「私の本当の名前はシンフォニーと言います」
とても涼やかな声です。
「君達ってもしかして」
フォノンはビックリして言いました。
「女の子?」
「どこから見ても女の子でしょ」
とマリアがピシャリと言います。
「でも、ユニゾンとシンフォニーの姉妹と言えばこの国の……」
マリアには心当たりがあるようです。
「ええ、王女になります」
とユニゾンは言いました。
「え!お姫様!!」
ノバとローランドはビックリしました。
フォノンはピンと来ていません。
ノバとマリアとローランドは跪こうとしました。
フォノンも立たせて手を引っ張ります。
ユニゾン姫とシンフォニー姫は慌ててそれを止めました。
「お願いがあるのはこちらです。どうぞお座り下さい」
ノバは言いました。
「そうでしたね。お話を伺う約束です。話を続けて下さい」
みんな椅子に座り直してユニゾン姫とシンフォニー姫の方を向きました。
ユニゾン姫は話を始めました。
兆しは十三年前からありました。私は二歳であまり覚えていないのですが、当時、運命の子が生まれると宮廷魔法使いが騒いでいました。いつどこで生まれるのかは正確にはわからないのですが、お父様はたいそう心配していました。何故ならその運命の子は世界を終わらす力があるというからです。
ですがその子がどこで生まれたのか、またはこれから生まれて来るのかは、結局分からずじまいだったのです。
そして妹のシンフォニーが生まれました。
お母様はとても喜びました。私も妹が生まれとても嬉しかったのです。
しかしお父様は予言された運命の子であることを少し疑っていたようです。
私たち王家の人間は時折不思議な能力を持って生まれることがあります。
お母様と私はどんな音でも、その高さを言い当てることがきます。
シンフォニーはどんな楽譜もスラスラ読むことができます。
お父様はさまざまな楽器を弾くことに長けていらっしゃり、よく四人で演奏して歌ったものです。
しかしシンフォニーには別の力もありました。
巫女体質だったのです。
五年前、女神様が降臨され預言をなされました。
影の国の女王の呪いでオクタビア王妃は病で死に、トライトン王に不幸が訪れると。それは終わりの前兆だとも言いました。
お父様はそれを聞き、内にこもるようになりました。
そしてその預言を変えるよう、さまざまな魔法使いや呪術師を探し出しました。その中のヤマ・ハーンという西方の呪術師は、魔王に力を借りれば良いと助言しました。
恐ろしいことです。お母様はお父様の事を心配しつつ重い病で一月前に倒れてしまいました。お父様は預言をした女神とその巫女であるシンフォニーを恨んでいるようです。
私はシンフォニーの生命が狙われているのを感じて、逃げる事を決意しました。
今のお父様には魔王が巣喰い、とても話を聞いてくれるとは思えなかったのです。
でもどこに逃げればいいかサッパリ見当もつきません。
そこで、とシンフォニー姫が言葉を引き継ぎます。
私は女神さまにもう一度預言を頂こうと思い、ご祈祷をしました。
すると女神様がふたたび降臨して下さったのです。
「何?
あたしを呼んだ?呼んでない?どちらでもいいわ
ヒントが欲しいのね
あーなるほど
予言がいっこ足りないわね
いい、そこから南の方のカルマートの森に行きなさい
ノバとマリアに会うの
そこに星産みのおとのこでおとこのこがいるから
一緒に北の魔女に会いなさい
あー時間だわ
じゃあねうまくやんなさい」
女神様が言ったカルマートの森の、ノバとマリアについて、唯一信頼出来る味方である、宮廷魔法使いのスパイスに相談したら教えてくれました。
ノバ様はかつてハルモニアの遠征騎士団長をなさってて、私達の叔母様に当たるマリア様と、王都を離れてカルマートの森に隠れ住んでいると聞きました。書簡を書くからきっと邪険にはされないだろうとも言われました。
ふたたびユニゾン姫が話を引き取ります。
「王都からここまで二十日間かかりました」
と言い、カバンから書簡を出しました。
「スパイスからです」
ノバは書簡を受け取ると中身を黙読しました。
「確かにスパイスからだ。まだ生きてたんだな。内容も聞いた通りだったよ。」
「じゃあ君達を追っていたのは……」
とローランドはが聞きます。
「おそらくヤマ・ハーンの手先かと思います。」
ノバは言いました。
「女神様の預言では星産みの子と一緒に北の魔女に予言を受けろとのことだったな」
「はい。それはもしかして……」
「フォノンだ」
フォノンは三日考えさせて欲しいと言いました。
本当なら直ぐにでも行きたいという気持ちもありましたが、少し冷静に考える必要があると思ったのです。
自分が生まれた時に三人の魔女から予言を受けたことはノバとマリアから聞いていました。が、全てを終わらす力を持っているという予言は受けていません。もしかしたら来なかった北の魔女が持っていた予言かもしれません。
だったら自分はどうするべきなんだろうか。
予言を聞くべきか否か。
そもそも僕が旅に出たら誰が家の手伝いをする?
剣の修行はどうする?
翌朝、一人で散歩して道すがら鳥や動物たちに相談するのでした。動物達は行かないで、というばかりです。
こういう時は木や岩なんかの意見も参考になるかもしれません。ところが木や岩は動かないので、旅をしたことがありません。
仕方なく日課の素振りを始めました。いつもは木剣振っているうちに何も考えなくなるのに、今日はいろいろ考えてしまいます。
答えはなかなか出て来ません。
二日目の朝、美しい歌声で目が覚めました。
ユニゾン姫とシンフォニー姫が歌っていたのです。故郷を思う鷹の歌ですが小鳥達も合わせるように囀っていました。
その歌はフォノンが聞いたどの歌よりも透明で、それなのに感情的で情景が伝わってくるのでした。
フォノンは気づかず涙を流していました。
いつの間にかフォノンの周りに多くの小鳥達が集まって歌っていました。
朝日を浴びて神々しい感じがしました。
「フォノンは鳥達とおしゃべりできるのね」
とシンフォニー姫がフォノンのベッドに腰掛け話しかけてきました。
「わかるの?」
とビックリしてフォノンは言いました。
「私も鳥達と一緒に歌うからなんとはなく、ね」
立ち上がり言いました。その指先にも小鳥がとまっていました。
「素敵な森だわ。こんな気持ちになれたの久しぶり」
フォノンの目を覗き込みます。
「あなたがどんな決断を下そうとも、私は従います」
約束の三日目です。
日課の素振りを終えて小屋の外のベンチにフォノンは座っていました。
するとユニゾン姫がやって来ました。
ユニゾン姫は言いました。
「俺、いや私、ここに来てわかった、わ。良いところだ。ノバ様もマリア様も良い人だし。ローランドもおま、あなたのことを心配している。わ。私たちはあなたの決断に従う、わ」
フォノンは笑って言いました。
「変な話し方。普通に前みたいに話してよ」
「あー、やっぱりわかるか。俺はこっちの方がいいんだ。服も男物の方が好きだしな」
「変装ってわけでもなかったのか」
「いや、変装もあって一石二鳥だな。変だろう?」
フォノンは不思議でした。
「何が?とても似合ってるし、それに好きなんでしょう?何も変なところがないよ」
「いやでも俺は女の子好きだしな」
とボソッと言います。
「僕だってローランド好きだよ。男も女も、好きな人も苦手な人もいるよ。それが普通じゃない?」
「ちょっとニュアンス違う気もするが、まあいっか。ありがとうな。この事は俺たちの秘密でよろしく。そうだ、それと俺たちのことは、これからもユニとシンって呼んでくれ。気に入ってるんだ」
「もし、僕が一緒に行かなければどうするの?」
フォノンは唐突に聞きました。
「そうだな……それでも俺たちは二人で北の魔女に会う」
ユニは言いました。
「それしか手がかりが無いからな」
フォノンは立ち上がって言いました。
「僕、一緒に行くよ!北の魔女に会いに行こう!」
「いいのか」
とユニは言いました。
「もう戻れないかも知れないぜ」
「僕は帰ってくるよ。それよりもワクワクが止まらないんだ」
フォノンは目を輝かせて言いました。
「こんな気持ちになれるなんて幸せだ!」
「お父さんとお母さんに言ってくる!」
と駆け出して行きました。
ノバとマリアはフォノンの意見に賛成してくれました。
どうやら結論はわかってたみたいです。
「こんなに早く旅立ちの時が来るなんて」
「かわいい子には旅をさせろだ」
「心配するな」
といつの間にかローランドが来ていました。
「俺もついていく」
ローランドも来てくれるの!とフォノンは大喜びです。
ローランドは腕を組んで胸を張ります。
「忘れたのか。俺は旅の剣士だ」
「やったー!」
「それに気になることもあるしな」
とローランドは一人つぶやきました。
とローランドはノバに言いました。
テーブルには麦のパンにハチミツ、いつもの山羊の乳のシチューにサラダ、そして茹で上がった山盛りの腸詰めが湯気を立てています。
ローランドの前には新鮮なニンジンとワインです。
「特に必要なかったんだよ」
とノバは困ったように言いました。
実はフォノンが生まれた時、三人の魔女に予言を受けており、外の世界の話をしてフォノンが興味を持つと、どこかへ行ってしまうのではないかと漠然とした不安を持っていたのです。
いえ、いつかはフォノンはここから旅立つ日が来るのは間違いありませんし、それを望んでもいるのですが、その時を思うとどうしても寂しくなってしまうのです。
「さて、私たちのことは知っているようだから、君たちの名前から教えてもらってもいいかな?」
とノバはユニとシンに向かって言いました。
二人は頷きました。
「俺は……私の本当の名前はユニゾンと言います」
とユニゾンと名乗った者は言いました。
「そしてこっちが」
とシンの方を向きました。
シンは帽子を脱ぎました。するとどうでしょう。見事な長い銀髪が流れるように出て来ました。
「私の本当の名前はシンフォニーと言います」
とても涼やかな声です。
「君達ってもしかして」
フォノンはビックリして言いました。
「女の子?」
「どこから見ても女の子でしょ」
とマリアがピシャリと言います。
「でも、ユニゾンとシンフォニーの姉妹と言えばこの国の……」
マリアには心当たりがあるようです。
「ええ、王女になります」
とユニゾンは言いました。
「え!お姫様!!」
ノバとローランドはビックリしました。
フォノンはピンと来ていません。
ノバとマリアとローランドは跪こうとしました。
フォノンも立たせて手を引っ張ります。
ユニゾン姫とシンフォニー姫は慌ててそれを止めました。
「お願いがあるのはこちらです。どうぞお座り下さい」
ノバは言いました。
「そうでしたね。お話を伺う約束です。話を続けて下さい」
みんな椅子に座り直してユニゾン姫とシンフォニー姫の方を向きました。
ユニゾン姫は話を始めました。
兆しは十三年前からありました。私は二歳であまり覚えていないのですが、当時、運命の子が生まれると宮廷魔法使いが騒いでいました。いつどこで生まれるのかは正確にはわからないのですが、お父様はたいそう心配していました。何故ならその運命の子は世界を終わらす力があるというからです。
ですがその子がどこで生まれたのか、またはこれから生まれて来るのかは、結局分からずじまいだったのです。
そして妹のシンフォニーが生まれました。
お母様はとても喜びました。私も妹が生まれとても嬉しかったのです。
しかしお父様は予言された運命の子であることを少し疑っていたようです。
私たち王家の人間は時折不思議な能力を持って生まれることがあります。
お母様と私はどんな音でも、その高さを言い当てることがきます。
シンフォニーはどんな楽譜もスラスラ読むことができます。
お父様はさまざまな楽器を弾くことに長けていらっしゃり、よく四人で演奏して歌ったものです。
しかしシンフォニーには別の力もありました。
巫女体質だったのです。
五年前、女神様が降臨され預言をなされました。
影の国の女王の呪いでオクタビア王妃は病で死に、トライトン王に不幸が訪れると。それは終わりの前兆だとも言いました。
お父様はそれを聞き、内にこもるようになりました。
そしてその預言を変えるよう、さまざまな魔法使いや呪術師を探し出しました。その中のヤマ・ハーンという西方の呪術師は、魔王に力を借りれば良いと助言しました。
恐ろしいことです。お母様はお父様の事を心配しつつ重い病で一月前に倒れてしまいました。お父様は預言をした女神とその巫女であるシンフォニーを恨んでいるようです。
私はシンフォニーの生命が狙われているのを感じて、逃げる事を決意しました。
今のお父様には魔王が巣喰い、とても話を聞いてくれるとは思えなかったのです。
でもどこに逃げればいいかサッパリ見当もつきません。
そこで、とシンフォニー姫が言葉を引き継ぎます。
私は女神さまにもう一度預言を頂こうと思い、ご祈祷をしました。
すると女神様がふたたび降臨して下さったのです。
「何?
あたしを呼んだ?呼んでない?どちらでもいいわ
ヒントが欲しいのね
あーなるほど
予言がいっこ足りないわね
いい、そこから南の方のカルマートの森に行きなさい
ノバとマリアに会うの
そこに星産みのおとのこでおとこのこがいるから
一緒に北の魔女に会いなさい
あー時間だわ
じゃあねうまくやんなさい」
女神様が言ったカルマートの森の、ノバとマリアについて、唯一信頼出来る味方である、宮廷魔法使いのスパイスに相談したら教えてくれました。
ノバ様はかつてハルモニアの遠征騎士団長をなさってて、私達の叔母様に当たるマリア様と、王都を離れてカルマートの森に隠れ住んでいると聞きました。書簡を書くからきっと邪険にはされないだろうとも言われました。
ふたたびユニゾン姫が話を引き取ります。
「王都からここまで二十日間かかりました」
と言い、カバンから書簡を出しました。
「スパイスからです」
ノバは書簡を受け取ると中身を黙読しました。
「確かにスパイスからだ。まだ生きてたんだな。内容も聞いた通りだったよ。」
「じゃあ君達を追っていたのは……」
とローランドはが聞きます。
「おそらくヤマ・ハーンの手先かと思います。」
ノバは言いました。
「女神様の預言では星産みの子と一緒に北の魔女に予言を受けろとのことだったな」
「はい。それはもしかして……」
「フォノンだ」
フォノンは三日考えさせて欲しいと言いました。
本当なら直ぐにでも行きたいという気持ちもありましたが、少し冷静に考える必要があると思ったのです。
自分が生まれた時に三人の魔女から予言を受けたことはノバとマリアから聞いていました。が、全てを終わらす力を持っているという予言は受けていません。もしかしたら来なかった北の魔女が持っていた予言かもしれません。
だったら自分はどうするべきなんだろうか。
予言を聞くべきか否か。
そもそも僕が旅に出たら誰が家の手伝いをする?
剣の修行はどうする?
翌朝、一人で散歩して道すがら鳥や動物たちに相談するのでした。動物達は行かないで、というばかりです。
こういう時は木や岩なんかの意見も参考になるかもしれません。ところが木や岩は動かないので、旅をしたことがありません。
仕方なく日課の素振りを始めました。いつもは木剣振っているうちに何も考えなくなるのに、今日はいろいろ考えてしまいます。
答えはなかなか出て来ません。
二日目の朝、美しい歌声で目が覚めました。
ユニゾン姫とシンフォニー姫が歌っていたのです。故郷を思う鷹の歌ですが小鳥達も合わせるように囀っていました。
その歌はフォノンが聞いたどの歌よりも透明で、それなのに感情的で情景が伝わってくるのでした。
フォノンは気づかず涙を流していました。
いつの間にかフォノンの周りに多くの小鳥達が集まって歌っていました。
朝日を浴びて神々しい感じがしました。
「フォノンは鳥達とおしゃべりできるのね」
とシンフォニー姫がフォノンのベッドに腰掛け話しかけてきました。
「わかるの?」
とビックリしてフォノンは言いました。
「私も鳥達と一緒に歌うからなんとはなく、ね」
立ち上がり言いました。その指先にも小鳥がとまっていました。
「素敵な森だわ。こんな気持ちになれたの久しぶり」
フォノンの目を覗き込みます。
「あなたがどんな決断を下そうとも、私は従います」
約束の三日目です。
日課の素振りを終えて小屋の外のベンチにフォノンは座っていました。
するとユニゾン姫がやって来ました。
ユニゾン姫は言いました。
「俺、いや私、ここに来てわかった、わ。良いところだ。ノバ様もマリア様も良い人だし。ローランドもおま、あなたのことを心配している。わ。私たちはあなたの決断に従う、わ」
フォノンは笑って言いました。
「変な話し方。普通に前みたいに話してよ」
「あー、やっぱりわかるか。俺はこっちの方がいいんだ。服も男物の方が好きだしな」
「変装ってわけでもなかったのか」
「いや、変装もあって一石二鳥だな。変だろう?」
フォノンは不思議でした。
「何が?とても似合ってるし、それに好きなんでしょう?何も変なところがないよ」
「いやでも俺は女の子好きだしな」
とボソッと言います。
「僕だってローランド好きだよ。男も女も、好きな人も苦手な人もいるよ。それが普通じゃない?」
「ちょっとニュアンス違う気もするが、まあいっか。ありがとうな。この事は俺たちの秘密でよろしく。そうだ、それと俺たちのことは、これからもユニとシンって呼んでくれ。気に入ってるんだ」
「もし、僕が一緒に行かなければどうするの?」
フォノンは唐突に聞きました。
「そうだな……それでも俺たちは二人で北の魔女に会う」
ユニは言いました。
「それしか手がかりが無いからな」
フォノンは立ち上がって言いました。
「僕、一緒に行くよ!北の魔女に会いに行こう!」
「いいのか」
とユニは言いました。
「もう戻れないかも知れないぜ」
「僕は帰ってくるよ。それよりもワクワクが止まらないんだ」
フォノンは目を輝かせて言いました。
「こんな気持ちになれるなんて幸せだ!」
「お父さんとお母さんに言ってくる!」
と駆け出して行きました。
ノバとマリアはフォノンの意見に賛成してくれました。
どうやら結論はわかってたみたいです。
「こんなに早く旅立ちの時が来るなんて」
「かわいい子には旅をさせろだ」
「心配するな」
といつの間にかローランドが来ていました。
「俺もついていく」
ローランドも来てくれるの!とフォノンは大喜びです。
ローランドは腕を組んで胸を張ります。
「忘れたのか。俺は旅の剣士だ」
「やったー!」
「それに気になることもあるしな」
とローランドは一人つぶやきました。
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