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少女と日常
少女と初恋の結果
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術が発動した。
その術発動の途中神社から着物を着た男の幽霊が現れた。
その人は、笑っていた。
「あ、あの!」
術が完全に起動するまでの最後の数秒。トレミさんと彼の最後の時間。
「私、あなたを一目見た時からずっと、その、好きでした!」
彼はトレミさんの頭に手を乗せて少し撫でると。
「あ、り、がとう」
それだけ言って消えてしまった。
「私こそ。あなたにそんな気はないのかもしれないけど慰めてもらったり愚痴を聞いてもらったり本当にありがとうござい、まし、た」
誰もいなくなった神社の前でお礼を言い泣き崩れる。
初恋の味は甘酸っぱくて少し苦いというけれどこれは少し苦すぎる。
恋なんて縁遠い私だけれど本気で人を好きになったら私もトレミさんみたいになるのかな。周りが全部見えなくなって盲目で真っ直ぐで誰の意見も聞かない。そんな恋の病に陥るのかな。
何か、何か彼女に言えることはないか。なんでもいい何か。
トレミさんに駆け寄ろうとする私を先生は止める。
「それはやめた方がいい」
「でも!」
「彼女は何もかも本気だった。本気でぶつかった結果がこれだ。一人で噛み締める時間も必要だろう」
「・・・わかりました」
それから数日経って。いっかく教は、解散していない。彼がいなくなったことを伝えはしたがせめて生きた証だけは残そうと今新たな場所へ神社の移動を訴えかけているらしい。
今日は彼女の様子を見にいっかく教本部(別に支部とかないけどね)へと顔を出しに行った。
「こんにちは」
「天上さん!こんにちは!」
元気そうに振る舞う彼女だが空元気に見えてしまう。考えすぎかな。
「元気そうでなによりだ」
「えぇ。確かに彼のことは私の中で大きなことです。生涯忘れることはないでしょう。ですが!私の心にこんな傷を残していったんです!来世にでも出会わなければ割に合わないでしょう?だから来世に期待します!」
「ずいぶんポジティブな考えだが私たちが考えていたより元気そうでどうやらこちらの杞憂だったようだ」
「えぇ。・・・ところで五穀様はあれからどうなさいました?やっぱり見えなくなって」
「いや、その、えっと」
「?どうかしたんですか?やっぱり見えなくなっちゃったんですか?そういえばお二人とも顔色が優れないよですが」
「そういうわけじゃなくて」
「やけに言い切らないですね。何かあったんですか?」
「うん」
「い、一体何が!」
「今家でゲームしてる」
「え」
どういうことかというと五穀は術を張るとき自分だけは人間にも見えるように調整したのだ。術は五穀の管理下にある。
つまり五穀は自由自在に出たり引っ込んだりできるし他の神や妖怪などの異形のものを私たち普通の人間にも見えるように調整できる。
なんというわがまま。さすが神様。
「夜中もずっーとゲームしてるから流石にうるさくてね。私たち二人とも寝不足なんだ」
「えぇ。ま、まぁ見えなくなったわけじゃなくてよかったじゃないですか」
「そうだなハハハ」
これにてトレミさんの初恋物語は終わった。
初恋。いつか私もするのかな?そしたらどんな味がするのかな?やっぱり甘酸っぱい?それとも苦い?どちらにせよ男性恐怖症を治さなきゃ!でも恋をするって楽しくてでも苦しくてなんだか不思議だ。
その術発動の途中神社から着物を着た男の幽霊が現れた。
その人は、笑っていた。
「あ、あの!」
術が完全に起動するまでの最後の数秒。トレミさんと彼の最後の時間。
「私、あなたを一目見た時からずっと、その、好きでした!」
彼はトレミさんの頭に手を乗せて少し撫でると。
「あ、り、がとう」
それだけ言って消えてしまった。
「私こそ。あなたにそんな気はないのかもしれないけど慰めてもらったり愚痴を聞いてもらったり本当にありがとうござい、まし、た」
誰もいなくなった神社の前でお礼を言い泣き崩れる。
初恋の味は甘酸っぱくて少し苦いというけれどこれは少し苦すぎる。
恋なんて縁遠い私だけれど本気で人を好きになったら私もトレミさんみたいになるのかな。周りが全部見えなくなって盲目で真っ直ぐで誰の意見も聞かない。そんな恋の病に陥るのかな。
何か、何か彼女に言えることはないか。なんでもいい何か。
トレミさんに駆け寄ろうとする私を先生は止める。
「それはやめた方がいい」
「でも!」
「彼女は何もかも本気だった。本気でぶつかった結果がこれだ。一人で噛み締める時間も必要だろう」
「・・・わかりました」
それから数日経って。いっかく教は、解散していない。彼がいなくなったことを伝えはしたがせめて生きた証だけは残そうと今新たな場所へ神社の移動を訴えかけているらしい。
今日は彼女の様子を見にいっかく教本部(別に支部とかないけどね)へと顔を出しに行った。
「こんにちは」
「天上さん!こんにちは!」
元気そうに振る舞う彼女だが空元気に見えてしまう。考えすぎかな。
「元気そうでなによりだ」
「えぇ。確かに彼のことは私の中で大きなことです。生涯忘れることはないでしょう。ですが!私の心にこんな傷を残していったんです!来世にでも出会わなければ割に合わないでしょう?だから来世に期待します!」
「ずいぶんポジティブな考えだが私たちが考えていたより元気そうでどうやらこちらの杞憂だったようだ」
「えぇ。・・・ところで五穀様はあれからどうなさいました?やっぱり見えなくなって」
「いや、その、えっと」
「?どうかしたんですか?やっぱり見えなくなっちゃったんですか?そういえばお二人とも顔色が優れないよですが」
「そういうわけじゃなくて」
「やけに言い切らないですね。何かあったんですか?」
「うん」
「い、一体何が!」
「今家でゲームしてる」
「え」
どういうことかというと五穀は術を張るとき自分だけは人間にも見えるように調整したのだ。術は五穀の管理下にある。
つまり五穀は自由自在に出たり引っ込んだりできるし他の神や妖怪などの異形のものを私たち普通の人間にも見えるように調整できる。
なんというわがまま。さすが神様。
「夜中もずっーとゲームしてるから流石にうるさくてね。私たち二人とも寝不足なんだ」
「えぇ。ま、まぁ見えなくなったわけじゃなくてよかったじゃないですか」
「そうだなハハハ」
これにてトレミさんの初恋物語は終わった。
初恋。いつか私もするのかな?そしたらどんな味がするのかな?やっぱり甘酸っぱい?それとも苦い?どちらにせよ男性恐怖症を治さなきゃ!でも恋をするって楽しくてでも苦しくてなんだか不思議だ。
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