小説家と少女

ぐり

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少女と日常

少女と屋上の神社5

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「なるほどだから姿を見せたと」
「これはどうしましょう?普通に本人に伝えるのがいいですかね?」
「それがいいだろう。変に取り繕っても仕方ない」

 翌日、私たちはトレミさんにことのあらましを話した。

「そう、ですか。あの方はもう消えたいと」

 私でもわかる。嫌な失恋の仕方をしたと。元々神様と人との恋なんておかしなことだが彼女は本気だった。しかしその相手が消えたがっているなんてあまりにも。

「・・・わかりました。話してくれてありがとうございます。五穀様もありがとうございます」
「なんてことはない。してお主これからどうするのだ?」
「あの人は幽霊になってまでこの街を守っていたんですよね。私彼の力になりたいです!こんな初恋おかしいと思われるかもしれないけど私にとっては本当に初めて出会った運命の人なんです!だから、なんとか、力に」

 今にも泣きそうだ。

 そうか初恋だったのか。それがこんな顛末じゃ辛いよね。

「わかった。わしが力を貸してやる。そこまで術に詳しいわけではないが文献をただ読むよりわしのアドバイスがあったほうがよいじゃろ」
「あり、がとう、ございます」

 そこからトレミさんと五穀の術の勉強が始まった。図書館を漁りそれでも足りないから大学の資料を引っ張り出し五穀の指導の元、術を勉強した。いっかく教のみんなも手伝ってくれた。元々あの神社を壊したくないという理念のもと集まったお爺さんお婆さんの集会だ。話をしたら快く受け入れてくれた。

 そして術の勉強もでき、あの幽霊さんが作った術の解析も終わり貼り直すことができるようになった。

 今日は術を貼り直す日だ。
 メンバーは私、先生、五穀、トレミさん。
 今屋上の神社の前にいる。

「よし。始めるぞ!」
「「「はい!」」」

 術を貼り直すための道具もいろいろ用意してきた。

「リュヌ!それはもうちょっとこっちじゃ!」
「わかった」
「ウサギ!どうした?手が止まっておるぞ?」
「・・・ねぇ。五穀。この術が貼り直されたらさ。もう五穀と会えないの?」
「それは・・・どうじゃろな。わしからは見えてもお主らからは見えなくなるかもしれん」
「・・・そっか」

 黙々と作業を続ける。

 五穀と会えなくなる。それは寂しい。けどトレミさんの方がもっと辛いはずだ。ここで私が泣いたらいけない。

「よし!術を起動する準備が整ったぞ!あとは起動するだけじゃ!」
「誰が起動させるのだ?私たちはもちろんトレミ君も霊力なんて持ってないぞ?」
「そうじゃな。わしがやろう。巫女になるために儀式を行っておる。そのため霊力は微弱ながら持っている」
「微弱なの?大丈夫?」
「別に術の機動にそんな莫大な霊力はいらん。必要なのは術を起動させるための準備じゃ。そりゃ平安時代の鬼どもを退治するとなれば話は別じゃがこれは一種の結界のようなもの。元々あった人と神などの異形のものとを分ける境界が存在していて、それを強化するだけ。そんなに霊力は使わん」
「なるほど」
「では起動するぞ!」

 五穀が手を合わせたあと両手を地面に置き術を発動させる(見た目がどうみても手合わせ錬成である。どこで覚えたのやら)
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