小説家と少女

ぐり

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少女と日常

少女とお泊まり会6(神様13)

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「ふぅー気持ちよかった」

全員がお風呂に入り終えた。

「さていい時間だしそろそろ寝るか」
「そうねー私ももう眠くて」

みーちゃんがあくびをする。

今日はいろいろなことがあって疲れた。でも楽しかった。
明日遊べるように早く寝よう。

「そうだね。寝ようか」
「じゃ俺の寝室こっちだから」
「おやすみー」
「私たちも寝ましょ」

布団を敷き寝支度をする。

「さてこのまま寝るのも味気ないし何かお話ししましょ!」

突然言い出したみーちゃん。

確かにお泊まり会といえば夜更かししながら何かお話しをするというのが定番みたいなことあるけど。

「お話しって何話すの?」
「・・・恋バナとか?」
「こいばな?」
「恋バナって私男性恐怖症だし恋なんてしたことないよ。みーちゃんは?」
「・・・私もない。五穀ちゃんは?」
「恋はしたことないのう」

うん。そうだよね。私は恋とは無縁だし、みーちゃんもしたことない。五穀はそういうのとは私と違う意味でなさそうだ。

「うーん。じゃあ質問会は?」
「質問会?」
「そう!お互いに知りたいことを質問してくの!私五穀ちゃんのこともっと知りたいし、五穀ちゃんも私たちに何か聞きたいこととかあるんじゃない?」
「そうじゃの。確かに気になることはある」
「でしょ?それを聞いていくのよ!もちろん答えたくないことには答えなくていいわ!」
「わかった。ではわしから。うーん。うーん」

必死に考えている姿。かわいい。

「聞きたいこと。今パッと思い浮かばないのう」
「じゃあ私聞いていい?五穀ちゃんのその狐耳と尻尾って最初からついてたの?」

あ、それめっちゃ気になる。

「これか?実は最初からついていたわけじゃないのじゃ」
「へー!そうなんだ」
「わしは人間から神になった身でのう。大手の神様と違い、その土地で信仰されてて人々の信仰心から神になったのじゃ」
「てことは五穀は人間だったってこと?」
「そうじゃ。最初は土いじり。つまり農業じゃな。それが好きで色々やっておったら農業の知識が身についてのう。村の連中がわしの知識は神から与えられたものだとか言い始めて、その土地の農業の巫女として崇められ始めたのじゃ」

なんか。ちょっと寂しそう。

「それから村が疫病で全滅してそのままわしも死んだ。で、そのあと疫病がなくなってまたそこに村ができ、残っていた社に新たな人々が信仰をするようになり、今に至る」
「狐耳や尻尾は?」
「農業の神として有名なのがあるじゃろ?稲荷様じゃ。わしも農業の神として崇められていたので人々の頭の中に農業の神様は狐というのがあったのじゃろう。気がついたら生えておった。別段邪魔でもないしこのままにしておる」
「そうなんだ」
「それじゃあ次ね!この部屋というか社は五穀ちゃんの好きにできるの?」
「そうじゃの。基本好きにできる。わしの頭の中で想像できるものならなんでもできる」
「逆に想像できないものは作れないってこと?」
「それは当然じゃろ。考えがまとまったものでないと作れはせん」
「でも五右衛門風呂とかリビングとか作れてたじゃん」
「それは、昔教えてくれたものがいての。ほら言ったじゃろ?書物が奉納されていたって」
そういえば言ってたな。
「随分前じゃったか。二人ほどわしの姿が見える奴がいての。そやつらに書物と一緒に色々教えてもらったのじゃ」
「その言い方だと五穀は見えない人には見えないってこと?」
「基本そうじゃ。わしが自ら姿を現すこともあるがわしの力なしに見える人間は少ない」
「じゃあ私が見れたのって」
「偶然じゃの。何かが噛み合ったのじゃろ」
偶然ねぇ。本当にそうなのかな。
「ふわぁ~。そろそろ眠くなってきたわね」
「そうだね。そろそろ寝よっか」
「それじゃおやすみー」

向こうの部屋楽しそうだな。いやでも男一人で女の子三人の部屋に入るわけには。くー!でも楽しそうな声聞くとなんか寂しくなってくるな。はぁ。寝よ。

・・・なんか眠れない。水でも飲もう。あれ?五穀がいない。リビングにもいない。外かな。

時間の止まった空間で、一人佇む少女の姿があった。なんとも儚い姿だろうか。

「五穀?」
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