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第2章 vs陸王
第2章18話 氷室vs坤 逆転の一手
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南部でスタークとソフィアが巽を撃破したころ、氷室は坤の戦略により窮地に立たされていた。
「ほら、どんどん倒さないと数が増える一方よ。早く本物の私を見つけないと。」
「クソっ、数が多いうえに攻撃しようとした方向に冷夏たちを連れてくるから攻め切れねぇ。」
坤は霧で大量の魔物を呼び出し、その魔物を自分と同じ姿にして氷室を撹乱していた。さらに、氷室が攻撃しようとした方向にロボット型の魔物が視界に入るため全力で攻めきれなかった。
「あなたの戦い方の特徴は広範囲かつ正確な冷気の操作。でも、その範囲に守るべきものがあれば範囲も狭まり威力も落ちる。かわいそうだわ、こんなことで攻め切れないなんて。」
「どうにかしないとな。」
「妹ちゃんに意識がそがれて、背後ががら空きよ。」
「しまっ。」
大量の敵と冷夏たちに意識がそがれていた氷室の背中に回り込んでいた坤が、氷室の背中に手痛い一撃を与えた。
「お兄ちゃん!」
「今戦ってるのは私なのよ。集中してもらわないと。」
「大丈夫、今助けるからそこで待ってて。」
「健気ね。お前たちやってしまいなさい。」
坤の合図と共に、大量の魔物たちは一斉に氷室を襲った。氷室は最初は何とかガードしていたが、あまりの数に守り切れず押し切られてしまった。
「いいわ、殺しなさい。」
「いやー!お兄ちゃん!」
魔物にやられている兄の姿を見て冷夏は号泣した。その瞬間、凄まじい冷気が魔物達を氷漬けにした。
「何が起きたの?」
「ごめんな冷夏、心配かけて。」
「お兄ちゃん?」
氷漬けの魔物の中から出てきたのは自身の体の右半分が氷で覆われ、氷の片翼を生やしたまるで悪魔のような姿の氷室だった。
「あなた何なのその姿は?」
「『クロセル』。覚悟しろよ今までの俺とは一味違うぞ。」
氷室は一瞬で坤の懐に潜り、氷で覆われた拳で初めて坤に手痛い一撃を与えた。
『クロセル』。『ニブルヘイム』の力を敵にではなく自身に使うことにより爆発的に身体能力を上昇させる技。しかし、この技を使っているときは自身を冷やし続けるため使用時間は約3分のみとなっている。
「制限時間付きの自己強化。『ギフト』にそんな使い方があるとはね。いいわ研究のし甲斐があるわ。」
坤は先程より多くの魔物を呼び出し、そのすべての魔物をキメラ型に改造した。
「制限時間があるなら稼げばいいことよ。」
氷室は呼び出し続ける魔物を次々と倒していく。
「冷気の操作精度も上がってるのね。いいわもっとデータ頂戴。」
氷室は呼び出される魔物を次々と倒していき、ついに坤と1対1になった。
「あとはお前だけだ坤!」
「来なさい。『ハヌマーン』の力見せてあげる。」
氷室と坤は激しくぶつかり合った。
坤は自身の体の一部を武器や動物に変えながら戦い、氷室は冷夏たちに被害が及ばないように最大限の注意を払いながら戦っていた。互角の勝負を繰り広げていたが、氷室の予想以上の強化に坤が押され始め、あと一歩のところまで追い詰められた。
「これで終わりだ。」
氷室が止めを刺そうとした瞬間、寸前のところで『クロセム』がとけてしまった。
「クソっ、ここでか。」
「もう少しだったのに残念だったわね。でも誇っていいわよ、私をここまで追い詰めたのだから。安心しなさい。妹と一緒に実験してあげるから一生離れることがないのだから。」
坤が氷室に止めを刺そうと拳を振り上げた瞬間、坤の後方から『ドン』と大きく鈍い音が鳴り響いた。
「何の音?」
坤が後ろに目線を向けるとそこにはバラバラに壊されたロボット型の姿と捕らえられていた子供たちを抱えた新田の姿があった。
「氷室師団長。市民の避難及び救助が完了しました。」
「よくやった荒太。そのままその子たちを連れて遠くへ逃げろ。」
「承知しました。」
「良くもやったわね。私の実験体を返しなさい。」
坤が新田たちを追いかけようとした時、坤の足元が凍り付いた。
「行かせねぇよ。お前の相手は俺だろ他に目移りするなんて浮気性なんだな。」
氷室はほとんど意地で立ち上がった。
「無理しちゃっていいわ。まずはあなたからやってあげる。」
坤はそれまで飄々としていた体を肥大化させて大猿のような体に自身を変形させた。
「最後は力で捻り潰してあげる。」
「かかってこい。人の家族に手を出したことを後悔させてやる。」
「粋がらなくてもいいわよ。その様子だと、もうさっきの自己強化技は使えないでしょ。」
坤が言ったように氷室はもう『クロセル』を使うことができない。それどころか、立っているだけでやっとな状態なのである。
「行くわよ。」
坤が猛スピードで氷室に突っ込んでいった。だが、冷夏たちが氷室から離れた今、力を抑える要因がなくなり全力を出せるようになっていた。
「遅いな、でかくなりすぎたんじゃないのか?」
氷室は地面をうまく凍らせて坤の攻撃をよけていく。しかし、坤の攻撃が当たらないのはそれだけではなかった。
「体がうまく動かない。まさか、冷気による身体能力の低下か!」
「良く気付いたな。『八寒地獄 虎虎婆《ここば》』この技は相手を凍らせるのではなく相手の運動能力を低下させる。『頞部陀』より攻撃範囲は狭くなるがな。」
氷室の技である『八寒地獄』には8段階が存在し、段階が進むごとに範囲は狭くなり自身への影響が大きくなるがその分威力や相手への影響も絶大な効果を発揮する。
「言ったろ、人の家族に手を出したことを後悔させるってな。」
氷室はゆっくりと歩いて坤に近づいていった。
「今のお前の状態だと抵抗するまでの体力は残っていないだろ。この技はここまで近づかないと使えないから不便なんだ。」
「やめな・・。」
『八寒地獄 摩訶鉢特摩《まかはどま》』
坤は抵抗できないまま氷漬けとなった。
『摩訶鉢特摩 大紅蓮』
氷室は氷の剣を作って氷漬けの坤を粉々に切り刻んだ。
「これで少しは手向けになったかな。」
「ほら、どんどん倒さないと数が増える一方よ。早く本物の私を見つけないと。」
「クソっ、数が多いうえに攻撃しようとした方向に冷夏たちを連れてくるから攻め切れねぇ。」
坤は霧で大量の魔物を呼び出し、その魔物を自分と同じ姿にして氷室を撹乱していた。さらに、氷室が攻撃しようとした方向にロボット型の魔物が視界に入るため全力で攻めきれなかった。
「あなたの戦い方の特徴は広範囲かつ正確な冷気の操作。でも、その範囲に守るべきものがあれば範囲も狭まり威力も落ちる。かわいそうだわ、こんなことで攻め切れないなんて。」
「どうにかしないとな。」
「妹ちゃんに意識がそがれて、背後ががら空きよ。」
「しまっ。」
大量の敵と冷夏たちに意識がそがれていた氷室の背中に回り込んでいた坤が、氷室の背中に手痛い一撃を与えた。
「お兄ちゃん!」
「今戦ってるのは私なのよ。集中してもらわないと。」
「大丈夫、今助けるからそこで待ってて。」
「健気ね。お前たちやってしまいなさい。」
坤の合図と共に、大量の魔物たちは一斉に氷室を襲った。氷室は最初は何とかガードしていたが、あまりの数に守り切れず押し切られてしまった。
「いいわ、殺しなさい。」
「いやー!お兄ちゃん!」
魔物にやられている兄の姿を見て冷夏は号泣した。その瞬間、凄まじい冷気が魔物達を氷漬けにした。
「何が起きたの?」
「ごめんな冷夏、心配かけて。」
「お兄ちゃん?」
氷漬けの魔物の中から出てきたのは自身の体の右半分が氷で覆われ、氷の片翼を生やしたまるで悪魔のような姿の氷室だった。
「あなた何なのその姿は?」
「『クロセル』。覚悟しろよ今までの俺とは一味違うぞ。」
氷室は一瞬で坤の懐に潜り、氷で覆われた拳で初めて坤に手痛い一撃を与えた。
『クロセル』。『ニブルヘイム』の力を敵にではなく自身に使うことにより爆発的に身体能力を上昇させる技。しかし、この技を使っているときは自身を冷やし続けるため使用時間は約3分のみとなっている。
「制限時間付きの自己強化。『ギフト』にそんな使い方があるとはね。いいわ研究のし甲斐があるわ。」
坤は先程より多くの魔物を呼び出し、そのすべての魔物をキメラ型に改造した。
「制限時間があるなら稼げばいいことよ。」
氷室は呼び出し続ける魔物を次々と倒していく。
「冷気の操作精度も上がってるのね。いいわもっとデータ頂戴。」
氷室は呼び出される魔物を次々と倒していき、ついに坤と1対1になった。
「あとはお前だけだ坤!」
「来なさい。『ハヌマーン』の力見せてあげる。」
氷室と坤は激しくぶつかり合った。
坤は自身の体の一部を武器や動物に変えながら戦い、氷室は冷夏たちに被害が及ばないように最大限の注意を払いながら戦っていた。互角の勝負を繰り広げていたが、氷室の予想以上の強化に坤が押され始め、あと一歩のところまで追い詰められた。
「これで終わりだ。」
氷室が止めを刺そうとした瞬間、寸前のところで『クロセム』がとけてしまった。
「クソっ、ここでか。」
「もう少しだったのに残念だったわね。でも誇っていいわよ、私をここまで追い詰めたのだから。安心しなさい。妹と一緒に実験してあげるから一生離れることがないのだから。」
坤が氷室に止めを刺そうと拳を振り上げた瞬間、坤の後方から『ドン』と大きく鈍い音が鳴り響いた。
「何の音?」
坤が後ろに目線を向けるとそこにはバラバラに壊されたロボット型の姿と捕らえられていた子供たちを抱えた新田の姿があった。
「氷室師団長。市民の避難及び救助が完了しました。」
「よくやった荒太。そのままその子たちを連れて遠くへ逃げろ。」
「承知しました。」
「良くもやったわね。私の実験体を返しなさい。」
坤が新田たちを追いかけようとした時、坤の足元が凍り付いた。
「行かせねぇよ。お前の相手は俺だろ他に目移りするなんて浮気性なんだな。」
氷室はほとんど意地で立ち上がった。
「無理しちゃっていいわ。まずはあなたからやってあげる。」
坤はそれまで飄々としていた体を肥大化させて大猿のような体に自身を変形させた。
「最後は力で捻り潰してあげる。」
「かかってこい。人の家族に手を出したことを後悔させてやる。」
「粋がらなくてもいいわよ。その様子だと、もうさっきの自己強化技は使えないでしょ。」
坤が言ったように氷室はもう『クロセル』を使うことができない。それどころか、立っているだけでやっとな状態なのである。
「行くわよ。」
坤が猛スピードで氷室に突っ込んでいった。だが、冷夏たちが氷室から離れた今、力を抑える要因がなくなり全力を出せるようになっていた。
「遅いな、でかくなりすぎたんじゃないのか?」
氷室は地面をうまく凍らせて坤の攻撃をよけていく。しかし、坤の攻撃が当たらないのはそれだけではなかった。
「体がうまく動かない。まさか、冷気による身体能力の低下か!」
「良く気付いたな。『八寒地獄 虎虎婆《ここば》』この技は相手を凍らせるのではなく相手の運動能力を低下させる。『頞部陀』より攻撃範囲は狭くなるがな。」
氷室の技である『八寒地獄』には8段階が存在し、段階が進むごとに範囲は狭くなり自身への影響が大きくなるがその分威力や相手への影響も絶大な効果を発揮する。
「言ったろ、人の家族に手を出したことを後悔させるってな。」
氷室はゆっくりと歩いて坤に近づいていった。
「今のお前の状態だと抵抗するまでの体力は残っていないだろ。この技はここまで近づかないと使えないから不便なんだ。」
「やめな・・。」
『八寒地獄 摩訶鉢特摩《まかはどま》』
坤は抵抗できないまま氷漬けとなった。
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「これで少しは手向けになったかな。」
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