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しおりを挟むある大きく豪華な屋敷。
数ある部屋の一室。
クローゼットの奥の隅に。
膝を抱えながら、身を潜めて震えている者がいた。
あの方と朝交換したドレスに身を包み。時が過ぎるのを、待っていた。(夜まで。今さえ乗り越えれば。あの方が、上手くやってくれるはず。)
部屋の前で、数名の足音が止まった。
ドアの開く音がした。
部屋の中に入ってきたのは、一人のようだ。
声が聞こえた。
私は震えながら、唇をギューっと噛み締め声を出さないようにした。
(なんで。なんで。冴えない私に執着するのよ。)
「どこにいるんだい?早く出ておいで。」
私を呼んでいる声を…聞かないように。
手で耳を塞ぎ(早くいなくなって)
と。心の中で、願っていた。
呼ぶ声のトーンが。優しい→低い声でイライラ感に変化していた。
怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。
その願いも虚しく。
足音は、クローゼット前で止まった。
足で [バァ~ン] と乱暴に開けられ奥にドスドスと入ってきた。
銀色の髪の正装したアルトが、黒い笑顔をしなが「見つけたよ。ユリアナ。今日がどんな日で。どれだけ大事な日か、知っての行動かな?」ユリアナの服装を見て。「あ~ぁ。早く着替えないと。リュカにも早く、見つけたと安心させないと大変な事になるよ。」とアルトが私の右足首に手をかざした。
「熱い」とユリアナが言うと。
アルトは、ユリアナを横抱きにして歩き出した。
金色の髪で。アルトと同じく正装をした、リュカが走ってきた。
(もう…逃げられない。)
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