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2日目続き!

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「はい、午前中はここまで。お昼にしましょう」

 ヴァージニアは自身の疲労具合からもう夕方なのではと思っていたので、まだ昼だったことに驚いた。
 彼女は緊張感で体中が強ばりながら歩き回っていたため余計に疲れてしまったらしい。

(そういえば、まだ昼食を食べていなかった……)

 ヴァージニアは慣れないことをしていたため空腹を忘れていた。

「わーい! ご飯だー! 」

 ヴァージニアは疲労困憊だが、マシューは全く疲れていないのか元気よく大きな声を出した。

「ありがとうございました」

 ヴァージニアが目を閉じてふぅと息を吐くと体中の強ばりが薄まり、彼女が目を開けるといつの間にかギルドに戻って来ていた。

「コロッケ定食食べなきゃ! 」
「えっ、昨日も食べたわよね。本当にジャガイモが好きなのね」

 キャサリンは少し引いている。
 マシューは他のメニューも食べはするが、一番ご機嫌になるのはコロッケ定食だ。

「お芋は色んな食べ物に変身するから凄い食べ物だよ」
「そうねぇ。種類によってはぷるぷるの食べ物にもなるものね」
「ぷるぷる? スライムみたいに? 」

 マシューはキャサリンからぷるぷるの芋料理について話を聞いているが、ヴァージニアは疲労感が強くて話を聞いている余裕がなかった。
 ヴァージニアは午後も動かねばならないのに大丈夫だろうかと不安になった。

「そんなお芋もあるんだね」
「ダイエットにも良いそうよ。ま、あなた達二人には関係無いでしょう」

 マシューは適正体重だしヴァージニアに至っては痩せ気味なのでダイエットとは無縁である。
 話しているうちに食堂に到着したので、三人は昼食を頼んだ。

「え? ヴァージニア、貴女サンドイッチだけでいいの? あんなに動いたのに? 」
「疲れ過ぎちゃってあんまり食べられそうにないんです」
「そんなんだから体力がつかないのよ! 私が奢るからもっと食べなさい! 」

 キャサリンは追加で山盛りのミートボールを注文した。
 マシューはどさくさに紛れてフライドポテトを頼みそうになったので二人で阻止した。

「マシュー君、いいえ、マシュー。いい? 美しさを保つには食べ過ぎちゃダメなのよ」
「僕は美しくなくていいから、もっと沢山食べたいよ」

 実にマシューらしいセリフだ。

「ぬあっ! せっかく恵まれた容姿をしているのに、何てことを言うの! 」

 マシューはキャサリンから美について語られたが、彼はそれっぽく相槌を打って聞いているふりをしていた。
 ヴァージニアは二人の会話を聞いているだけで、相槌を打つ元気もなかった。

「ヴァージニア、貴女も何か言ってやってちょうだい」
「え、……マシュー、お芋が好きなのは分かるけど、食べ過ぎたら体が丸くなっちゃうんだよ」

 ヴァージニアは話を聞いてはいたが、内容は把握していなかったので適当に返した。

「とうめいみたいに? 」
「そうだよ。とうめいはスライムだから丸くていいけど、マシューは人間だからまん丸になったら変でしょう? 」
「変ってことはあんまりいないってことだよね。だったら珍しいと思われて人気者になるかも」

 キャサリンは何でそうなるのだと怒っている。

「そうだねぇ。なるかもねぇ……」

 ヴァージニアにはもう考える体力が残されていない。

「ちょっと、説得する気あるの? 」
「ジニー……大丈夫? おねむなの? 」
「そうかも……」

 ヴァージニアは椅子に座ったら、一気に睡魔が襲いかかってきたので今必死で戦っている。

「どんだけ体力ないのよ」
「すみません……」

 ヴァージニアはテーブルの下で手をつねっているが効果がなく、上下の瞼がくっつきそうだ。

「ジニー、もうすぐでご飯が来るから頑張って」
「赤ちゃんみたいに食べながら寝ないでね。赤ちゃんなら可愛いけど、大人は心配になるわ」

 赤ちゃんなら皆は微笑むだろうが、大人がそんなことになったら誰もが心配になるだろう。

「……キャサリンさんは子どもいるの? 」

 マシューは子どもながらに疑問に思ったようで、大人が聞きにくいことを聞いた。
 ヴァージニアはその驚きで少し目が覚めた。

「……いるわよ。なんなら孫もいるんじゃない? 」
「え、どういう……」

 ヴァージニアは完全に目を覚ました。
 マシューも驚いているがヴァージニアほどではない。

「なんでそんなに驚いているのよ。私の遺伝子が欲しいっていうから提供してあげたの」
「ああ、それで……」

 提供はヴァージニアが考えた可能性の中にもあった。
 彼女は納得したが、マシューは何か考えている。

「……はっ! 種付けだ! 」
「綺麗な顔して物騒なことを言う子ね……」

 キャサリンがマシューをジロリと睨んだところで、食事が運ばれてきたので三人は食べ始めた。
 ヴァージニアは頑張ってサンドイッチのほかにミートボールも食べた。
 マシューも食べたそうにしていたので分配すると、彼は口の周りにソースをつけて頬張った。

「貴女、午後は休憩してていいわよ。水を動かす練習をしなさい」
「分かりました」

 ヴァージニアは助かったと思ったが、元々マシューより楽な作業をしているのに、それすらもやらなくていいと言われて恥ずかしかった。
 しかし、やると言っても出来るわけないので、ヴァージニアは大人しくしていることにした。



 午後はキャサリンも動きながらマシューを攻撃する。
 今までは同じ所から攻撃されていたが、対象が動くので難易度が上がる。

「今までも色んな所から攻撃が来ていたのに? 」
「実際の戦闘で相手が動かないなんてないわよ。自分が有利になるように常に移動するのよ」

 マシューは納得したようだ。
 キャサリンとマシューは身構えて特訓を開始した。

(これは本来ならどれくらいの期間をかけてやるんだろう……)

 ヴァージニアは目の前の攻防を見たが、レベルが違いすぎて二人が何をしているのかさっぱり分からない。
 詳しく説明されても何をどうしたらあんな動きが出来るのか分からないままだろう。

「はぁ……」

 海の近くならもう少しマシな動きが出来たのかとヴァージニアは思ったが、少し動きが良くなるだけで今の二人のような動きは出来ないと結論が出た。

(水も動かないし……)

 ヴァージニアは手に持ったグラスを見た。
 グラスには水が半分入っているが、彼女がどんなに念じても動く様子はない。

「ヤドカリさーん、どうやったら水を動かせますかー」

 ヴァージニアはヤドカリに話しかけてみたが、いつものように返事はない。

(きっと海の中で暮らしているから声が届かないんだね。あるいはヤドカリさんは地竜さん達みたいに人間とお喋りしないのかも……)

 ヴァージニアはこう思う事にし、グラスを見つめ直した。
 彼女が画家でもこんなにグラスを凝視しないだろうと思った頃にマシューの大声がした。

「ジニー! 危なーい! 」
「うおぅっ」

 キャサリンが油断しているヴァージニアに攻撃してきたのだ。
 距離がなければ、ヴァージニアは避けられずに被弾していただろう。
 だが、彼女には別の物がかかっていた。

「あらら、濡れちゃって……」

 ヴァージニアの両袖はびっしょりと濡れて色が濃くなってしまった。
 これはいくらキャサリンが魔法で作り出した空間とは言え、肌寒い季節にはなかなか辛い状況だ。

「僕が乾かしてあげるよ」
「いえ、私がやるわ」

 キャサリンがヴァージニアの両袖に手をかざすと、みるみるうちに服の色が戻った。
 だが、乾かしたのではないようだ。

「わわっ、水の塊が浮いているよ! 」
「服から水を取り除いたんですね 」

 キャサリンはそうよと言って、水をグラスに戻した。

「これくらい出来るようになって欲しいのだけどね」

 これはどちらに言っているのだろうか、両方だろうか、とヴァージニアは考えていたが、マシューならすぐに出来るだろうからヴァージニアに言っているのだと解釈した。

「キャサリンさんは炎が得意なのにどうして水を操るのも簡単に出来ちゃうの? 」
「あら? 私、炎が得意って言ったかしら? 」

 キャサリンの家系は皆が炎の精霊に好かれているそうだ。

「青い炎の精霊なのよ」
「それで目が青いんだね。青いからジニーと同じ水が得意なのかと思ったけど、フフッ」

 マシューは言わなかったが、キャサリンとヴァージニアに違和感を覚えたが魔力量の問題かと思ったのだろう。
 ヴァージニアは少々腹が立ったが、別の言葉が気になったのでキャサリンに質問した。

「……あの、キャサリンさんは書架に住んでる精霊らしきものって知っていますか? 」
「ええ、もちろん知っているけど、私は本を燃やしちゃう精霊に好かれているから会ったことはないわね」

 ヴァージニアは水で濡らす可能性があるのはいいのだろうかと考えたが、全て消え去る炎よりはまだいいのだろうとの考えに辿り着いた。

「本って人間が作った物ですよね……。地竜さんから属性や自然に存在するものと同じだけ龍や神、他の大きな力を持った生き物がいると聞きました。それなのに人工物の力……ではないですけど、えーと……」

 ヴァージニアが続きを上手く言葉に出来ないで困っていると、キャサリンは彼女が言おうとしている事を推察してくれた。

「ああ、言いたい事は分かったわ。本を司る力を持っているんじゃなくて、本が好きなだけよ。多分知識の精霊の仲間か何かじゃないかしら? 」
「知識……」

 目に見えないものにも精霊がいるらしいので、もしかしたら様々な感情にも精霊らがいるかもしれない。
 ヴァージニアが納得したところでマシューが声を上げた。

「……あ、出来た! 見て見て! 」

 二人が話しているうちにマシューは先ほどキャサリンがやった魔法を習得したらしい。
 マシューはヴァージニア達の話の内容が分からず暇だったので、グラスから水を拝借して彼の服で試したようだ。

「凄いわねぇ。……って貴女、重さが変わったのに気付かなかったの? 」
「ううっすみません……」

 ヴァージニアは鈍感だからではなく疲労のせいだと思うことにした。


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