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ことの終わりは始まりとなれ!(本編)
act.11 王子の断罪・後
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※台詞多め、大人たちの断罪劇の為、ロイドは傍観者です。
マリオン、コルバン、カルトナー、ラモンドそしてジルファス家。
ランスロット王国の五公爵家と云えば彼らを指す。建国時から存在するマリオンとコルバン。この二家に遅れて追加された残る三家。彼ら全員が動く時は、国王の勅命が下った--看過できない事態が起きているということだ。
「彼らを見張れ」
宰相カルトナーの命令で現れた騎士団が、コリンズ侯爵、ダットン伯爵、アンジェ子爵、ピュリナの周囲を囲む。
「では。諸君らは数多の罪を犯した。申し開きなどは法務大臣の立ち会いの下、後日行われる。これより発言は認めない--」
敵国への情報漏洩及び情報の対価の受領に始まり、領民への虐待、領民の誘拐、人身売買、税の着服、特産品の価格操作、王宮の賄統括に属する立場を悪用した横領など、次々に読みあげられる罪の数々に、三人を含む貴族の顔色は徐々に紙のように白くなっていった。
「以上がコルバン、ラモンドそしてジルファスら三公からの調査結果である。マリオン公爵からは何かおありかな」
「私は陛下直属の顧問のようなものだからね、すべての部署の動きは把握している。三公の内容に異論も相異もない。付け加えるならば、そこのコリンズらと癒着していた商人の身柄は既に尋問中。陛下の御言葉を遮り、殿下のご意志に反した主張をした不敬罪もあろう。ああ、国家転覆罪に問えるものがあった--」
「ほう? マリオン公爵説明を」
「コリンズは、五公爵家に取って代わる野心をお持ちのようですな。マリオンの娘を失脚させ婚約者の席が空いたところに、側妃に教育不足のアンジェ子爵令嬢を、支え役の名目で正妃としてコリンズの娘を送り込む計画を実際に準備されていたとの報告があってね--幼稚すぎて片腹痛い」
実子や養女の区別なく、王太子妃になる娘は必ず五公爵家いずれかから輩出されねばならない。建国時からの慣わしだ。マリオンでなければ他の四公爵家から。
「-ッ、私は侯爵だ! 侯爵家から妃を出して何が悪い!! 貴様ら五公爵家の何が私より--ウグッ!?」
コリンズ侯爵がふいに呻いた。
「黙れよ、豚。首を刎ねるか?」
マリオン公爵による一蹴り。床に崩れ落ちたコリンズ侯爵は、変わらず嗤いを湛えたままのマリオン公爵と四公に怯え、今さらながらに国王を見たのだったが--。
「尋問の後、厳しい罰を下す。娘を残し、こ奴らを連れて行け--」
与えられたのは地獄への沙汰だった。
ただ一人残されたピュリナへの罪状は、然るべき場所での幽閉。場所の選定、移送、ピュリナの監視の一切をマリオン公爵に委任された。
「王様、あたしは利用されたの! 助けて!
あたしはヒロインなのよ、なんでおかしいのよ、ここ! フラグ立たないし、攻略対象ちゃんと動いてくれないし!!
あたしの世界なんだから、ちゃんと、
あたしのために動けばいいんだよッ!! ゲームのキャラが生意気にすんな--!!」
髪を掻きむしり、誰一人意味の理解できない妄言を叫ぶ。狂人そのものに変貌したピュリナは、連行されながらいつまでもわめき続けていた。
こうして、二つの断罪は幕を閉じた--。
マリオン、コルバン、カルトナー、ラモンドそしてジルファス家。
ランスロット王国の五公爵家と云えば彼らを指す。建国時から存在するマリオンとコルバン。この二家に遅れて追加された残る三家。彼ら全員が動く時は、国王の勅命が下った--看過できない事態が起きているということだ。
「彼らを見張れ」
宰相カルトナーの命令で現れた騎士団が、コリンズ侯爵、ダットン伯爵、アンジェ子爵、ピュリナの周囲を囲む。
「では。諸君らは数多の罪を犯した。申し開きなどは法務大臣の立ち会いの下、後日行われる。これより発言は認めない--」
敵国への情報漏洩及び情報の対価の受領に始まり、領民への虐待、領民の誘拐、人身売買、税の着服、特産品の価格操作、王宮の賄統括に属する立場を悪用した横領など、次々に読みあげられる罪の数々に、三人を含む貴族の顔色は徐々に紙のように白くなっていった。
「以上がコルバン、ラモンドそしてジルファスら三公からの調査結果である。マリオン公爵からは何かおありかな」
「私は陛下直属の顧問のようなものだからね、すべての部署の動きは把握している。三公の内容に異論も相異もない。付け加えるならば、そこのコリンズらと癒着していた商人の身柄は既に尋問中。陛下の御言葉を遮り、殿下のご意志に反した主張をした不敬罪もあろう。ああ、国家転覆罪に問えるものがあった--」
「ほう? マリオン公爵説明を」
「コリンズは、五公爵家に取って代わる野心をお持ちのようですな。マリオンの娘を失脚させ婚約者の席が空いたところに、側妃に教育不足のアンジェ子爵令嬢を、支え役の名目で正妃としてコリンズの娘を送り込む計画を実際に準備されていたとの報告があってね--幼稚すぎて片腹痛い」
実子や養女の区別なく、王太子妃になる娘は必ず五公爵家いずれかから輩出されねばならない。建国時からの慣わしだ。マリオンでなければ他の四公爵家から。
「-ッ、私は侯爵だ! 侯爵家から妃を出して何が悪い!! 貴様ら五公爵家の何が私より--ウグッ!?」
コリンズ侯爵がふいに呻いた。
「黙れよ、豚。首を刎ねるか?」
マリオン公爵による一蹴り。床に崩れ落ちたコリンズ侯爵は、変わらず嗤いを湛えたままのマリオン公爵と四公に怯え、今さらながらに国王を見たのだったが--。
「尋問の後、厳しい罰を下す。娘を残し、こ奴らを連れて行け--」
与えられたのは地獄への沙汰だった。
ただ一人残されたピュリナへの罪状は、然るべき場所での幽閉。場所の選定、移送、ピュリナの監視の一切をマリオン公爵に委任された。
「王様、あたしは利用されたの! 助けて!
あたしはヒロインなのよ、なんでおかしいのよ、ここ! フラグ立たないし、攻略対象ちゃんと動いてくれないし!!
あたしの世界なんだから、ちゃんと、
あたしのために動けばいいんだよッ!! ゲームのキャラが生意気にすんな--!!」
髪を掻きむしり、誰一人意味の理解できない妄言を叫ぶ。狂人そのものに変貌したピュリナは、連行されながらいつまでもわめき続けていた。
こうして、二つの断罪は幕を閉じた--。
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