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第2章 バカンス先で恋の予感♪お相手はなんと!!

9、マーシアの決意

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翌日の同じ時間。

約束の場所。

マーシアのコテージから1分だけ歩いた場所にある、ビーチ。

マーシアはネリィにともなわれて、白い砂をサクサク鳴らしながら、ビーチに向かう。

あの可愛らしいタラア王と、爺やさんが海風にあおられていた。

ぶわりぶわりと風が強い。

爺やさんは伝統衣装の素肌に羽織った色鮮やかなマントで、少年王を守るようにくるんでいる。

(ああ、まだ子供なのね)

マーシアは、ほほえましく思った。

彼らはマーシアの爽快感と決意に満ちた表情を見て、彼女の回答を、彼女が口を開く前に知っていたことだろう。



マーシアは少年王の目と鼻の先に立った。

「決めました。私を陛下の妻にしてください。
ふつつかものですが、どうぞよろしく」

少年王の顔がぱっと明るくなる。

「本当ですか!? 本当ですか!? お姉さま」

マーシアはにっこりとうなづく。

「やったー!」

元気な男の子の声が砂浜を通り抜ける。

少年王はガッツポーズをして、燦燦さんさんと照り輝く太陽に向かってジャンプした。

そんな少年王の姿を、
「かわいい……尊い……これからこんなかわいい子と、毎日いっしょに過ごせるなんて」
とネリィが感激の瞳で見つめている。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

20歳の年齢差、第二婦人をもつことが前提。

マーシアがそのような条件の結婚を受け入れたのは理由があった。

マーシアは自分の、ロイデン王国に戻ってからの結婚相手探しは、難航するだろうと思っていた。

というのはマーシアは侯爵家令嬢。

ほとんど王族である公爵家を除いては、貴族のなかでは一番格が高い家柄だ。

おまけにマーシアは、王子のもと婚約者である。

敬遠されがちなのだ。

それにマーシアは子供のころから成績優勝、スポーツ万能。

ピアノやバイオリン、フラワーアレンジメント、カリグラフィーに料理などの習い事の方面でも才能を発揮して、すべて師範の資格をもっている。

まさしく「なんでもできる女性」なのだが、ちょっとできすぎて、男性に引かれてしまうことが多い。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

またマーシアの弟は一言でいえば不良令息。

クラーク王子のように働かないだけならまだましなのだが、違法賭博や暴力沙汰などでしょっちゅうトラブルをおこして、両親に心配ばかりかけている。

だからマーシアは、せめて自分だけでもよい家柄の男性と結婚して、両親を安心させたいと思っていた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

タラア島にはろくにお店もないし、インターネットも通じていない。

電気やガスも通っておらず、外国から輸入した太陽光パネルや、ガスボンベで、一部の特権階級の人々が電気やガスを使っているのみ。

水道もないので、水は井戸水か、外国から輸入したペットボトル。

噂によるとマーシアの宿泊している、外国人向けコテージの方が、王宮よりもよほど近代的な設備が整っているという。

けれども、例え原始的な暮らしをしているといえども、マーシアは国王の妻、つまり王妃になるわけだ。

マーシアの両親もきっとこの縁組に、満足して喜んでくれるに違いない。
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