もうそろ

8.無い将来

そういえば、いつの日だったか。

午前中のバイトで店長に注意をうけた。
逐一報告をするようにと念を押された。

涙が出そうだった。
ちょっとした事で泣いてしまいそうになる。

いっそ涙腺を取ってしまいたい。
なぜ泣くのだろうと考える。
それで許して欲しいとでも思っているのだろうか。

一体何から？

最後の1時間を籠ふきで終わらせた。
青かったはずのダスターは色あせとホコリを拭って水色と灰色のぼろ雑巾のようだった。
私の手中で破れて廃れていくダスターに少し愛着が湧いた。

きっと私の将来はこのダスターのようなのだろう。

おとなになった私は、都会の安いボロアパートで1人タバコをふかしているのだろう。ライターに憧れてそうだから、セブンスターやピアニッシモなんか吸っているのかもしれない。父はセブンスターを吸っていた。母はメンソールを好んでいた。

電子タバコはすぐに無くす気がする。