上 下
18 / 20

15

しおりを挟む
エド様と帰宅したらルドルフさんが外で待っていた。
何だか困った顔をしているわ。何かあったのかしら?

「お帰りなさいませ。エドアルド様、レティシア様」
「……来ているのか?」
「はい」
「何人だ?」
「お一人でございます」
「……レティ、すまないが先に…「御二人で…とのことです」……チッ」

エド様が舌打ちしたわ!?
会話の内容からお客様が来ているのは分かったけど、エド様は会いたくないみたい。
それにさっきルドルフさん、御二人でって言ってたけどわたしも一緒にってことよね?わたしが知ってる人かしら?

「仕方ないか……レティ、すまないが一緒に来てくれるか?君と会いたいと言っている野ろ…方が来ている」
「えっと…はい」

わたしに会いたいって、いったい誰だろう?王都に知り合いなんていないし…まさか、ジュリアじゃないわよね?
ジュリアの顔を思い浮かべたとたん、もやもやしてきてうつ向いていたら、エド様の胸に優しく抱き寄せられた。

「大丈夫か?」
「……ふぇ!?」
「心配しくて良い。彼は君に会って確かめたいことがあるだけだ」
「た、確かめたいことですか?」

か、彼ってことはジュリアじゃないみたい。
それはそうと離してくれないかしら!?心臓が止まってしまうわ!

「あぁ。レティ…」
「は、はい」
「これから先、君にとって重要なことが起こる。そして、今から会う方は必ず君の力になってくれる方だ」

重要なこと?いったい何があるのかしら?従魔師の試験関係とか?

「だだね…レティ」
「はい」
「君の一番の味方は俺だ。だから何かあったら誰よりも俺を頼ってくれ」
「へ?」
「俺を頼れ。レティ、返事は?」

返事って言われても…何で顔を近付けるの!?あぁ!おでこにキスした!?

「は、はい!分かりました!」
「良い子だ」

エド様はわたしが返事をするまで、顔中にキスをしてました。
ドキドキし過ぎで疲れてぐったりしていたわたしは、にこにこ見守るルドルフさんと、ニヤニヤしている知らない男の人を見て、思わずエド様の胸を押し返した。
ちっともびくともしなかったけどね!
それでもエド様は顔を上げて、男の人に顔を向けた。

「おっ!邪魔しちまったかな?」
「あぁ、邪魔だ」
「お前って奴は……まぁ良い。話しは中でしよう」
「そうだな。レティ、行こうか」
「は、はい!」
「うわ…何そのあっまあまな声……普段と違い過ぎて鳥肌が…」
「それは大変だな。帰れ」
「帰りませ~ん」

な、仲は良いのよね?ルドルフさんもにこにこしたままだし……ところでルーナの姿が見えないのだけど、何処に行ったのかしら?





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する

真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。

婚約者が肉食系女子にロックオンされています

キムラましゅろう
恋愛
縁故採用で魔法省の事務員として勤めるアミカ(19) 彼女には同じく魔法省の職員であるウォルトという婚約者がいる。 幼い頃に結ばれた婚約で、まるで兄妹のように成長してきた二人。 そんな二人の間に波風を立てる女性が現れる。 最近ウォルトのバディになったロマーヌという女性職員だ。 最近流行りの自由恋愛主義者である彼女はどうやら次の恋のお相手にウォルトをロックオンしたらしく……。 結婚間近の婚約者を狙う女に戦々恐々とするアミカの奮闘物語。 一話完結の読み切りです。 従っていつも以上にご都合主義です。 誤字脱字が点在すると思われますが、そっとオブラートに包み込んでお知らせ頂けますと助かります。 小説家になろうさんにも時差投稿します。

冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話

水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。 相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。 義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。 陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。 しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。

父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました

四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。 だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

処理中です...