目覚めたら地下室!?～転生少女の夢の先～

冒険者～修行～

あなたのランクは？

クロードからお叱りを受けた翌朝、いつもより少し遅く目覚めたフェリーチェは、いつものように自分の寝顔を眺めていたアルベルトと目があった。

「おはよ～」

「おはよう。今日は少しお寝坊だね」

「ん～…………ねぼ～？」

「うん。寝坊」

「……寝坊!?」

寝坊と聞いて、フェリーチェが勢いよく起き上がった。

「わっ！急に起き上がらないでよ～ぶつかるとこだった」

「ごめんアル……じゃなくて！時間は!?」

「心配しなくても大丈夫だよ。いつもより30分遅いだけだから」

「30分!?早く着替えなきゃ！そういえばオリビアは？」

「起こしにきたけど、フェリが起きないから帰したよ。父様たちにも、朝食は先に食べててって伝言したから大丈夫」

「でも授業もあるから、やっぱり急がなくちゃ！アルも着替えてきて！」

「はいはい」

寝坊したのに慌てたフェリーチェは、呑気なアルベルトの背中を押しながら部屋の外に出し自分も急いで着替えた。
朝食はオリビアとライリーに、監視されていたので、ゆっくり取った。
どうやら、慌てたフェリーチェの行動を予測して、サマンサがオリビアたちに指示していたようだ。
朝食の後はすぐに授業の部屋に移動した。
しばらくして、担当のルイスがやってきた。

「今日は魔物についての授業です」

「「よろしくお願いします」」

「この授業は、交代で担当する予定です」

「どうしてですか？」

「魔物は種類が多くありますから、全ての魔物の生態等を把握できていないんですよ」

「あぁ、それぞれ知ってる魔物を教えるって事かい？」

「そういう事です。今日は、誰でも知っている魔物について教えますね」

「「はい」」

「まず、魔物にはランクがあります。下からE・D・C・B・A・S・SSです」

「そのランクは、どうやって決まるんですか？」

「ランクは、魔物の能力や生態、討伐の難易度で決まります」

「討伐の難易度？」

「えぇ、冒険者にもランクがあるでしょう？」

「うん。先生はA級だったよね」

「そうです。簡単に言えば、A級の魔物の討伐にはA級冒険者以上の力が必要という事になります。冒険者の依頼にもランクがあって下からF・E・D・C・B・A・S・SSです」

「「へぇ～」」

「せっかくですから、冒険者について軽く説明しますね」

「「お願いします」」

「冒険者のランクは下からF・E・D・C・B・A・Sになります」

○F級
依頼…F級（雑用や薬草採取）

○E級
依頼…F～D級（E級からは討伐依頼あり）
F級依頼を10回達成で昇格

○D級
依頼…E～D級
E級依頼を10回達成で昇格

○C級
依頼…C～B級
昇格試験あり

○B級
依頼…B～A級
昇格試験あり

○A級
依頼…A～S級
昇格試験あり

○S級
依頼…A～SS級
昇格試験及びS級冒険者の推薦が必要

「今説明した、受けられる依頼はあくまで基準です。条件によって変わる事もありますからね」

「「はい」」

「では、魔物の話に戻りますね。この国に来て、見た魔物は何でしたか？」

「え～と、スライムでしょう。あとはゴブリンにオークにオーガ、サイクロプスと………ワイバーンもいたね」

「ウルフとビックホーンと……ドラゴンって魔物ですか？」

「ドラゴンも魔物に分類されてますよ。スライムとゴブリンとオークは定番ですね」

「ランクは？」

アルベルトがランクを聞くと、ルイスが2人が答えた魔物のランクを教えた。

○E級…スライム、ゴブリン
○D級…ウルフ、オーク、ビックホーン
○C級…ワイバーン
○B級…オーガ
○A級…サイクロプス
○S級…ドラゴン

「これもあくまで目安です。個体によってはランク以上の力を持つものもいますし、群れになれば依頼のランクも変わりますから、ランクが低いからといって油断しないようにして下さい」

「「はい」」

それからルイスは、魔物の生態や弱点等の説明をしていった。
授業が終わる間際に、アルベルトが何かを期待するような目でルイスに質問した。

「ところで、僕のランクはどれになるの？」

「はい？」

「あっ！私も気になります」

「ほら～僕って黒龍でしょう？やっぱりSS級かな？」

「アル……それはないと思うけど」

「黒龍のランクですか……」

「うん！」

ルイスは、ワクワクしているアルベルトを見ながら、にっこり笑って一言。

「圏外です！」

「圏外なの!?」

「やっぱり」

「当たり前でしょう？そもそも、龍神と遭遇する確率がいくらあると思っているんですか。基本、龍神は他者に無関心で干渉してきませんし、わざわざ人を襲う事もありませんから、ランクの付けようがないんですよ。というか、襲われたら、戦う前に滅びますよ」

「え～……じゃあオースティンと戦えば――」

「ダメだよアル！」

「人の話を聞きなさい！戦っても圏外なのに変わりはありません！」

凄まじい剣幕で詰め寄り、自分を止める2人を見て、アルベルトは思わす後退った。

「や、やだな～冗談だよ冗談！ハハッ……」

「……とてもそうとは思えませんが」

「絶対、半分以上は本気だった」

「そ、そんな事はありません！」

「「………………」」

その後、数分間2人にジト目で見られ、数日間オースティンとの1人での接触を避けられ続けたアルベルトが、クロードとサマンサに愚痴を言って、更に落ち込むはめになった。

「何もそこまでしなくても。そんなに信用ないわけ？」

「「今までの、自分の行動を思い出しなさい」」

「グッ……僕に味方はいないんだ～！」