上 下
78 / 166
小話~〇〇の日記~

モフモフしたい!

しおりを挟む
やぁ、僕は黒龍のフィアフルだよ。
今は子どもの姿に変化して、アルベルトとして生活してるんだ。
今日は僕のフェリーチェが、とても楽しみで待ちに待ってた日なんだ。
昨日なんて、ずっと上の空で夜もなかなか寝なかったから、魔法で眠らせたよ!
今も、目をギラギラさせながらスキップしてるし。
え?キラキラじゃないかって?
違うよ、ギラギラだよ!
ご機嫌なフェリを見てるうちに、目的地に着いちゃった。
入り口に出迎えが来てるね。

「あ!ブレイクさ~ん!」

そう、今日の目的地はブレイクの家、つまり獣人の家だよ。
ギラギラで間違いじゃないって、分かったでしょう?
フェリの様子に引きながらも、それを感じさせずに案内してくれるブレイクって凄いよね!
まぁ興奮してるフェリが、気付いてないだけなんだけど。
ブレイクに案内されたのは広い中庭で、そこで小さなモフモフが戯れていた。
フェリはずっと我慢していた。
獣人にとって、耳や尻尾を触らせるのは家族と伴侶だけらしく、それでも10歳位までは触っても問題ないと聞いてから、この時をずっとずっと待っていた。
だから、フェリは直ぐ行動に出た。

「きゃーーー!こんにちはーーー!」

叫びながら駆け寄ってきたフェリを見て、小さなモフモフたちは………一目散に逃げた。
フェリはその場で止まり動かない。

「何で?アル~」

フェリが泣きそうな顔で抱き付いてきた。
‘顔だよ’と言いたかったが、笑いを堪えるのに精一杯でそんな余裕は無かった。
結局その日は近付く事ができずに帰り、かなり落ち込んでいた。
まぁ逃げる気持ちは分かるよ。
あんな顔で近付いてきたら、僕なら近付かせないし近寄らないね!
それから、フェリとモフモフたちとの攻防戦は始まった。
ある時は玩具で、またある時はおやつで釣ろうとするが、警戒心の強いモフモフは手強い!
見かねたブレイクが手を貸そうとするのを僕が止めた。
言っておくけど、‘初日の前の日に上の空で相手にされなかった仕返し’とか、‘フェリがモフルのは僕だけでいい’とか思って止めたわけじゃないからね!
だから、そんな目で見ないでよブレイク!
そんな攻防戦もある日、終わりを迎えた。

「あのさ、そんなギラついた目で来られたら逃げるに決まってるじゃん。焦らなくても消えないから、ちょっとは落ち着いたら?」

と言う言葉と共に現れたのは、8歳の少女だった。
なんと、ブレイクの娘らしい。
‘余計な事を’なんて全然思ってないよ。
少女のアドバイスに素直に従うフェリに、小さなモフモフが逃げる事は無くなり、フェリは念願のモフモフを堪能する事に成功した。
それを黙って見ている僕の横に来て、少女が一言。

「もしかして嫉妬?余裕ないの?好きな子の幸せを喜べないなんて……カッコ悪」

去っていく少女に何も言い返せず、ただただ小刻みに震えていた。
僕は少女の言葉に怒ってるだけだ!泣いてるわけじゃないよ!
だから……だから、そんなに優しく撫でないでよブレイク!
その日の夜、僕はウルフに変化してフェリに撫でられながら眠った。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

まさか転生? 

花菱
ファンタジー
気付いたら異世界?  しかも身体が? 一体どうなってるの… あれ?でも…… 滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。 初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

処理中です...