訳有り少年と少女の珍道中

第一章

呼び出されました

無事に朝食を食べた俺たちは、従魔師ギルドに来ていた。依頼を受けるために優男の所へ行くと、死んだような目で紙を渡してきた。
なになに～？昨日の婦女暴行の件で出頭されたし～!?婦女暴行なんかした覚えはないぞ！どういうことだ優男！

「おそらく昨日のゴブリンの巣での出来事ではないでしょうか。あと、優男じゃなくてジョナサンです」
「ふざけやがって……行ってやろうじゃねぇか！行くぞヴィヴィ！じゃあな優男！」
「うん」
「人の話聞いてない……ジョナサンですよ～」

俺はヴィヴィの手を引いて呼び出された場所、警備隊の詰め所に向かった。

「オズ、場所分かってるの？」
「俺を甘く見るなよヴィヴィ……すみませ～ん！警備隊の詰め所の場所を教えてください！」

ヴィヴィとククルの冷たい視線が突き刺さるが気にしない。ちょっとは気にしなさいよ、という様な目のプティーも気にしない！
場所を聞いた俺達が詰め所に到着すると、隊員の案内で部屋に通された。部屋には厳つい顔の体格の良い中年男が待っていた。

「ふむ……約束の時間より少し前に来たか。良い心がけだ。たが、相手側がまだきておらんので待って貰えるか？」
「かまわない」

約束の時間？そんなのあったか？あったんだな……結果良ければ全て良し！
話は相手側が来てからだと言われたから待ってるんだが、来る気配が全くない。もう二時間は待ってる。おっさんは書類仕事してるから良いけど、俺達は暇で暇でしょうがない。ヴィヴィとククルとプティーはこっくりこっくり船を漕いでる。しょうがないので俺も精神統一するために目を閉じた。……決して寝ているわけではない。

「おい……起きてくれ。おい！」
「んあ？……何？」
「相手側が来たので調書を始める」
「あぁ……分かった」

当たりを見回すと、見覚えのある連中がいた。隣で寝ていたヴィヴィたちは、俺が起こす前に怒鳴り声で起こされた。

「罪人の癖に何呑気に寝てんのよ！」
「まったく、ルッツを待たせるなんて！」
「わたしたちは、あんたと違って忙しいのよ！」

……どうしたヴィヴィ、力一杯腕にしがみついて甘えん坊だな～それにそんなに頭振ってたら千切れちまうぞ～。おっさんも離れろって。おっさんに後ろから抱きつかれても嬉しくないぞ～。いやいや隊員くん、だからと言って腰に抱きつかれても嬉しくないからな。