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第一章

ネーミングセンスはない!

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森の中を歩きながら、仲間になったカーバンクルに名前を付けることにした。

「クゥクゥ鳴くからクゥは?」
「……」
「単純で悪かったな!ならお前は何が良いんだよ」
「………」
「クク?俺のと対して変わらねぇだろ」
「………」
「髪を引っ張るな!剥げる!」
「………」
「ククルは?」
「……」

ヴィヴィがコックリ頷いたのでカーバンクルにも聞いてみる。

「どうだ?お前はそれで良いか?」
「クゥ」
「じゃあククルな。よろしくククル」
「……」
「クゥ~」

名前も決まったし、これからが楽しみだな。だが、歩けど歩けど木…木…魔物…木…魔物…魔物…馬車…魔物…人………おっ、馬車と人がいる。近くの町を聞いてみるか。
俺は木の枝で魔物をぶっ飛ばしながら馬車に近付いた。ククルは人の前だから姿を隠している。

「お~い、ちょっと聞きたいんだが」
「な!?え、枝?Bランクのブラックウルフを枝で……な、何者だ!」
「いや~、旅の途中なんだが道が分からなくてな。近くの町の場所を教えてくれないか?」
「それは構わないが、先に魔物をどうにかしないと」
「それもそうか。じゃあ一気に片付けるぞ」
「え?」
「サンダーボルト」

俺の腕から走った雷が、ブラックウルフを貫きプスプスと煙を上げて倒れた。
あらら、手加減してもコレか。魔物相手だから良かったけど、人間相手は不味いな。

「終わったぞ。町の場所を教えてくれ」
「あ、あぁ……凄い威力だな」
「どうした?」
「いや、町に行くなら案内しよう」
「良いのか?助かる」
「なに、先程は助けられたからな。今度はこちらの番だ」

こいつ良い奴だな。鎧着てるけど、女だよな?
俺がジ~っと見ていると、兜を取って素顔を見せた。ショートカットの金髪に碧眼の吊目、まぁ美人と言える顔立ちだ。

「自己紹介がまだだったな。私はブリット、冒険者をしている。ランクはB級だ。依頼の帰りに馬車が襲われていてな。さすがに彼等を守りながらあの数は危なかったから助かったよ」
「俺はオズウェル、こっちはヴィヴィアンだ。ただの旅人だ」
「ただの旅人……ね。よろしく」
「こちらこそ」
「馬車の持ち主も見当たらないし、ひとまず近くの町に移動しよう。荷台に乗ると良い」

挨拶を済ませ、ブリットは御者をするため前に向かい、俺達は馬車の荷台に乗り込む。そこにいたのは首輪を着けた奴隷達だった。


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