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島国の戦士
第164話 北から西へ ~麻乃 1~
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夕飯のあと、麻乃は市原や隊員たちにうながされ、西詰所に戻ってきた。
みんなは今夜、宿舎に戻らずに稽古場で雑魚寝をするという。
それはそれで構わないけれど、なんとなく疎外されたような気分になった。
市原が、とにかく情報だけはしっかりやり取りをして頭にたたき込んでくるようにと、口を酸っぱくして言ってくるので、聞かないわけにもいかない。
万全の準備ができていると言いきれない麻乃を、隊員たちも不安げな面持ちで見つめてたっけ。
残していく以上、変な心配をかけさせるわけにもいかないだろう。
ここはみんなに甘えて、詰所で情報交換に時間をかけることにした。
詰所の敷地に入ると、鴇汰の車がとまっているのが見えた。
窓が全部開いている。
(どうして窓が……? 不用心なやつだな)
麻乃は馬を繋いでから車まで戻ってきた。
窓を閉めようとドアに手をかけたとき、中に人影が見え、驚きでビクッと手が震えた。良く見ると鴇汰が眠っている。
声をかけようか迷って、しばらくその寝顔を見つめていると、敷地に岱胡の車が入ってくるのが見え、そっちへ駆け寄った。
車からは岱胡と梁瀬がおりてきた。
なにやら荷物をたくさん手にしている。
「あれ? 麻乃さん、道場のほうは大丈夫なんスか?」
「うん、情報収集くらいちゃんとしろって、みんなに追い立てられてさ」
「いい隊員たちじゃない、僕も麻乃さんが来てくれて助かるよ」
梁瀬がクスクスと笑う。
「それより、なに? あいつ、なんであんなところで寝てるの?」
麻乃は鴇汰の車を指差した。
「夕べ、寝てないらしいんだけど、全然目を覚まさなくてね。あんまり良く寝てるから、そのままにしておこうと思って」
「なにしろ、梁瀬さんの運転でもピクリとも起きなかったらしいッスよ」
含み笑いを漏らした岱胡の頭を、梁瀬がペシッと平手でたたいた。
「そいつは凄い心臓だねぇ。でも考えてみたら昨夜こっちを出たのが夜中だから、相当疲れていたのかも。声をかけなくて良かったよ」
梁瀬の運転を思い出してそう言うと、麻乃もつい笑ってしまう。
洸に大剣を教えたり大量の料理を作ったり、この時間にここにいるということは、昨夜は寝ないで、そのまま北詰所へ行ったんだろう。
梁瀬の荒い運転でも目を覚まさないくらいに疲れているだろうことは、麻乃にも容易に想像できる。
「鴇汰さんも会議室にいるのはわかるはずですし、目が覚めたら勝手に来ますよ」
「そうそう。放っておいても平気だよ。いろいろと買ってきたから食べながら地理情報やろうか」
「うん、そうだね。あんなに良く眠ってるんじゃ起こすのもかわいそうだ」
もう一度、鴇汰の車に目を向ける。
シートに埋もれるように眠っていた鴇汰の顔を思い出した。
麻乃はクスリと笑うと歩き出した二人を追って詰所に入った。
みんなは今夜、宿舎に戻らずに稽古場で雑魚寝をするという。
それはそれで構わないけれど、なんとなく疎外されたような気分になった。
市原が、とにかく情報だけはしっかりやり取りをして頭にたたき込んでくるようにと、口を酸っぱくして言ってくるので、聞かないわけにもいかない。
万全の準備ができていると言いきれない麻乃を、隊員たちも不安げな面持ちで見つめてたっけ。
残していく以上、変な心配をかけさせるわけにもいかないだろう。
ここはみんなに甘えて、詰所で情報交換に時間をかけることにした。
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窓が全部開いている。
(どうして窓が……? 不用心なやつだな)
麻乃は馬を繋いでから車まで戻ってきた。
窓を閉めようとドアに手をかけたとき、中に人影が見え、驚きでビクッと手が震えた。良く見ると鴇汰が眠っている。
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「あれ? 麻乃さん、道場のほうは大丈夫なんスか?」
「うん、情報収集くらいちゃんとしろって、みんなに追い立てられてさ」
「いい隊員たちじゃない、僕も麻乃さんが来てくれて助かるよ」
梁瀬がクスクスと笑う。
「それより、なに? あいつ、なんであんなところで寝てるの?」
麻乃は鴇汰の車を指差した。
「夕べ、寝てないらしいんだけど、全然目を覚まさなくてね。あんまり良く寝てるから、そのままにしておこうと思って」
「なにしろ、梁瀬さんの運転でもピクリとも起きなかったらしいッスよ」
含み笑いを漏らした岱胡の頭を、梁瀬がペシッと平手でたたいた。
「そいつは凄い心臓だねぇ。でも考えてみたら昨夜こっちを出たのが夜中だから、相当疲れていたのかも。声をかけなくて良かったよ」
梁瀬の運転を思い出してそう言うと、麻乃もつい笑ってしまう。
洸に大剣を教えたり大量の料理を作ったり、この時間にここにいるということは、昨夜は寝ないで、そのまま北詰所へ行ったんだろう。
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「そうそう。放っておいても平気だよ。いろいろと買ってきたから食べながら地理情報やろうか」
「うん、そうだね。あんなに良く眠ってるんじゃ起こすのもかわいそうだ」
もう一度、鴇汰の車に目を向ける。
シートに埋もれるように眠っていた鴇汰の顔を思い出した。
麻乃はクスリと笑うと歩き出した二人を追って詰所に入った。
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