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島国の戦士
第75話 すれ違い ~鴇汰 2~
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演習場に着くと、拠点には何人かの師範がいるだけで、修治の姿も麻乃の姿もない。
「そろそろ交代で戻ってくるだろうから、安部のテントで待ってるといいよ」
「そういえば、ガルバスが出たらしいですね?」
中の一人が鴇汰にそううながしてくれたので、思いきって聞いてみると、師範たちはそれぞれ顔を見あわせた。
「情報、早いな。どこから聞いてきた?」
「あ……中央で、修繕のやつらが」
「そうか……あまり大っぴらにしたくなかったんだが、まったく困ったやつらだ。でもまあ、ここで気づいたから良かったよ。街にでもおりられたら大変なことになったからな」
穂高と目を合わせると、師範たちに礼を言って修治のテントに入った。
「やっぱり出たのは、ここだったな」
「でも、どうしてなんの連絡もしてこなかったんだろう?」
「ここには今、手練れが何人もいて、被害が出なかったからじゃねーの?」
「それにしてもねぇ……」
穂高は首をひねって考え込んでいる。
「ただ待ってるのもなんだし、今のうちに荷物をおろすから、手伝ってくれよ」
「ああ、そうだね。そうしようか」
穂高と連れ立って荷物を取りに行き、テントに戻ってくると、ちょうど修治も帰ってきたところだった。
「なんだ、おまえら、来ていたのか」
「会議、来るかと思ったんだけど、来なかったからさ」
車からおろしてきた荷物を穂高が修治に手渡し、かばんから封筒を出して荷物の上に乗せた。
「鴇汰からみなさんへの差し入れだって。それから、これは今回の資料。各浜の報告は特にないんだけれど、諜報から情報があがってきてるから」
「ああ、手間をかけさせて悪いな。ちょっとな、いろいろあって会議どころじゃなかったんだ」
「うん、ガルバスが出たことなら聞いたよ」
穂高の言葉に修治の表情が一瞬、強張ったのを、鴇汰は見逃さなかった。
もしかするとまだ交代の時間じゃないのかもしれないけれど、麻乃の姿が見えないことに違和感と不安を覚える。
「いろいろってなんだよ? 麻乃はどこだよ?」
周りの師範たちは、黙ったままこちらを見ている。視線をあわせようとしない修治が、ぶっきらぼうに答えた。
「あいつは今、医療所だ」
「穂高、行くぞ」
なにがあったのかをはっきり言わない修治に対して殴りかかりたくなるほどの衝動をおさえ、穂高をうながすと早足で車に向かった。
「修治さん、それ昼ご飯だから、みなさんで食べて。麻乃の資料と俺たちのぶんはもらっていくよ。あとでまた、あらためて顔を出すからさ」
後ろで穂高がそう言っているのが聞こえた。森の入り口で追いついてきた穂高がドアを開けてシートに収まると、まだ閉めきらないうちに走り出した。
「おい! 危ないじゃないか!」
焦った顔をしている穂高を横目で睨んで黙らせると、鴇汰はアクセルを思いっきり踏んでスピードをあげた。
「そろそろ交代で戻ってくるだろうから、安部のテントで待ってるといいよ」
「そういえば、ガルバスが出たらしいですね?」
中の一人が鴇汰にそううながしてくれたので、思いきって聞いてみると、師範たちはそれぞれ顔を見あわせた。
「情報、早いな。どこから聞いてきた?」
「あ……中央で、修繕のやつらが」
「そうか……あまり大っぴらにしたくなかったんだが、まったく困ったやつらだ。でもまあ、ここで気づいたから良かったよ。街にでもおりられたら大変なことになったからな」
穂高と目を合わせると、師範たちに礼を言って修治のテントに入った。
「やっぱり出たのは、ここだったな」
「でも、どうしてなんの連絡もしてこなかったんだろう?」
「ここには今、手練れが何人もいて、被害が出なかったからじゃねーの?」
「それにしてもねぇ……」
穂高は首をひねって考え込んでいる。
「ただ待ってるのもなんだし、今のうちに荷物をおろすから、手伝ってくれよ」
「ああ、そうだね。そうしようか」
穂高と連れ立って荷物を取りに行き、テントに戻ってくると、ちょうど修治も帰ってきたところだった。
「なんだ、おまえら、来ていたのか」
「会議、来るかと思ったんだけど、来なかったからさ」
車からおろしてきた荷物を穂高が修治に手渡し、かばんから封筒を出して荷物の上に乗せた。
「鴇汰からみなさんへの差し入れだって。それから、これは今回の資料。各浜の報告は特にないんだけれど、諜報から情報があがってきてるから」
「ああ、手間をかけさせて悪いな。ちょっとな、いろいろあって会議どころじゃなかったんだ」
「うん、ガルバスが出たことなら聞いたよ」
穂高の言葉に修治の表情が一瞬、強張ったのを、鴇汰は見逃さなかった。
もしかするとまだ交代の時間じゃないのかもしれないけれど、麻乃の姿が見えないことに違和感と不安を覚える。
「いろいろってなんだよ? 麻乃はどこだよ?」
周りの師範たちは、黙ったままこちらを見ている。視線をあわせようとしない修治が、ぶっきらぼうに答えた。
「あいつは今、医療所だ」
「穂高、行くぞ」
なにがあったのかをはっきり言わない修治に対して殴りかかりたくなるほどの衝動をおさえ、穂高をうながすと早足で車に向かった。
「修治さん、それ昼ご飯だから、みなさんで食べて。麻乃の資料と俺たちのぶんはもらっていくよ。あとでまた、あらためて顔を出すからさ」
後ろで穂高がそう言っているのが聞こえた。森の入り口で追いついてきた穂高がドアを開けてシートに収まると、まだ閉めきらないうちに走り出した。
「おい! 危ないじゃないか!」
焦った顔をしている穂高を横目で睨んで黙らせると、鴇汰はアクセルを思いっきり踏んでスピードをあげた。
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