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第40話
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エレオノーラが妊娠しているかもしれないと発覚した日から、エレオノーラは日々の活動を減らし、余裕を持たせて生活するようになった。
以前までは何かと忙しく過ごしていたが、それはやめて、もし体調が悪くなって休みたい時は休めるように仕事の量を調整する。
そうこうしながら時間が経つうちにエレオノーラのお腹も膨らみ始め、そこでようやく妊娠していると確定した。
確定した時、女医が改めて皇帝一家に新しい皇族の一員の誕生を報告をする。
リチャードとダイアナ、マークはジョシアとエレオノーラの部屋を訪ねて、お祝いを言葉を伝える。
マークとジョシアには妹のレイチェルがいるが、彼女は現在彼女の幼馴染で婚約者でもある公爵家の令息と共に留学中で、今現在、城には不在だ。
ジョシアが結婚の為にエレオノーラを連れて帝国に帰ってきた時点で既に留学に出発した後だったので、まだレイチェルには顔を合わせていないままだ。
ジョシアが彼女に手紙を書き、オルレーヌ王国からルズベリー帝国に帰国し、結婚したこととジョシアとエレオノーラの間に子供が出来たこと自体は連絡済みだ。
レイチェルもそろそろ帰国を検討しているので、子供の誕生までにはジョシアとエレオノーラに会えるだろうとジョシアに届いた返信の手紙に綴られていた。
サミュエルにもエレオノーラが報告をした為、妊娠は伝わっており、リチャード達がお祝いに訪ねたのと同じ日にサミュエルもグロスター城まで出向いてお祝いに駆けつける。
今、部屋にはリチャードとダイアナ、マーク、それからサミュエルがいる。
「エレオノール嬢。ジョシアとの子が授かったこと、ジョシアの父として嬉しく思う。ジョシアに振っている公務を含め、公務は私達が可能な限り手伝うから、生まれてくる子のことを一番に考えて過ごして欲しい」
「エレオノールちゃん、おめでとう! 私、孫が出来るのを楽しみにしていたのよ。リチャードも言ったように私達が手伝える部分は手伝うから、元気な赤ちゃんを母子共に無事な状態で生んで欲しいわ」
「ジョシアに子供か。……となると私は伯父になる訳か。甥と姪、どちらが生まれて来るかはまだわからないが、無事に生まれてきて欲しいな」
「エレオノーラ、おめでとう。あんなに小さかったエレオノーラが母親になるとは感慨深いものがあるな。クリスティーンも天国から見守っているから、頑張りなさい」
四人はそれぞれエレオノーラが子供を授かったことへのお祝いの言葉を伝えた。
それに対して、エレオノーラとジョシアは感謝の言葉を伝える。
「皆様、お祝いの言葉をありがとうございます。皆様がいて下さってとても心強いですわ。皆様とジョシアに新しい家族の顔を見せてあげられるように頑張りますわ」
「父上と母上。それから兄上とお義父上。忙しい中、わざわざお祝いに来てくれてありがとう。子供が生まれたら立派な父親として胸を張れるように励むから、これからもよろしくお願いします」
こうしてこの日は解散となった。
そしてそれからも日々は過ぎてゆき、やがて出産予定月になった。
もういつ生まれてきてもおかしくはない状況で、城にはベテランの助産師が待機するようになった。
エレオノーラとジョシアは生まれて来る子供の為に必要な準備をしていた。
ダイアナやサミュエルからも子供の為に必要なベビーベットや洋服、おもちゃなどが贈られるので、それは考慮に入れながら準備をする。
因みに子供の名づけはまだ一切考えていない。
ある日の夜中。
エレオノーラは急に陣痛が始まり、ジョシアは急いで助産師に連絡を入れて部屋に来てもらう。
出産現場は男子禁制なのでジョシアは部屋から追い出され、ダイアナと二人で部屋の外で待機していた。
ジョシアに出来ることはエレオノーラと子供の無事を願うことだけだ。
ジョシアがひたすら願っているとやがて元気な泣き声が聞こえてくる。
「あら、生まれたわね。ついに赤ちゃんとご対面ね」
「そうみたいだね」
ジョシアとダイアナが親子でそんな会話をするとまた泣き声が聞こえる。
しかもよくよく聞くと最初に聞いた鳴き声とは微妙に声色が違う気がする。
二人は部屋に入ると、メイドが二人、それぞれ赤ちゃんを抱いている。
「無事にお生まれになりました。男女の双子です。先に生まれたのは男の子の方です」
メイドから報告を聞き、ジョシアはまっすぐにベットで汗だくでくったりとしているエレオノーラに駆け寄る。
「エレオノーラ、お疲れ様。赤ちゃんもエレオノーラも無事な状態で生まれてきてくれて良かった。可愛い赤ちゃんを生んでくれてありがとう」
ジョシアは涙ぐみながら無事を感謝した。
「ジョシアったら。私はちょっと体力の消耗が激しいから今は無理だけれど、子供達を抱っこしてあげて」
「わかった。エレオノーラはゆっくり休んでね。名前はエレオノーラと一緒に考えるから」
ジョシアは生まれてきた我が子を抱っこする為にメイドに近寄る。
子供は男児の方はエレオノーラ譲りの豪奢な金髪、女児の方はジョシア譲りのアイスブルーの髪だ。
瞳の色は目を瞑っている為、今はわからない。
メイドは赤子の抱き方をジョシアに教え、その教え通りに抱っこする。
抱っこしながら顔を覗き込むと、愛おしさが溢れてくる。
自分と愛するエレオノーラとの子だ。
可愛くない訳がない。
こうして、ジョシアとエレオノーラに新しい家族が二人増えたのだった。
以前までは何かと忙しく過ごしていたが、それはやめて、もし体調が悪くなって休みたい時は休めるように仕事の量を調整する。
そうこうしながら時間が経つうちにエレオノーラのお腹も膨らみ始め、そこでようやく妊娠していると確定した。
確定した時、女医が改めて皇帝一家に新しい皇族の一員の誕生を報告をする。
リチャードとダイアナ、マークはジョシアとエレオノーラの部屋を訪ねて、お祝いを言葉を伝える。
マークとジョシアには妹のレイチェルがいるが、彼女は現在彼女の幼馴染で婚約者でもある公爵家の令息と共に留学中で、今現在、城には不在だ。
ジョシアが結婚の為にエレオノーラを連れて帝国に帰ってきた時点で既に留学に出発した後だったので、まだレイチェルには顔を合わせていないままだ。
ジョシアが彼女に手紙を書き、オルレーヌ王国からルズベリー帝国に帰国し、結婚したこととジョシアとエレオノーラの間に子供が出来たこと自体は連絡済みだ。
レイチェルもそろそろ帰国を検討しているので、子供の誕生までにはジョシアとエレオノーラに会えるだろうとジョシアに届いた返信の手紙に綴られていた。
サミュエルにもエレオノーラが報告をした為、妊娠は伝わっており、リチャード達がお祝いに訪ねたのと同じ日にサミュエルもグロスター城まで出向いてお祝いに駆けつける。
今、部屋にはリチャードとダイアナ、マーク、それからサミュエルがいる。
「エレオノール嬢。ジョシアとの子が授かったこと、ジョシアの父として嬉しく思う。ジョシアに振っている公務を含め、公務は私達が可能な限り手伝うから、生まれてくる子のことを一番に考えて過ごして欲しい」
「エレオノールちゃん、おめでとう! 私、孫が出来るのを楽しみにしていたのよ。リチャードも言ったように私達が手伝える部分は手伝うから、元気な赤ちゃんを母子共に無事な状態で生んで欲しいわ」
「ジョシアに子供か。……となると私は伯父になる訳か。甥と姪、どちらが生まれて来るかはまだわからないが、無事に生まれてきて欲しいな」
「エレオノーラ、おめでとう。あんなに小さかったエレオノーラが母親になるとは感慨深いものがあるな。クリスティーンも天国から見守っているから、頑張りなさい」
四人はそれぞれエレオノーラが子供を授かったことへのお祝いの言葉を伝えた。
それに対して、エレオノーラとジョシアは感謝の言葉を伝える。
「皆様、お祝いの言葉をありがとうございます。皆様がいて下さってとても心強いですわ。皆様とジョシアに新しい家族の顔を見せてあげられるように頑張りますわ」
「父上と母上。それから兄上とお義父上。忙しい中、わざわざお祝いに来てくれてありがとう。子供が生まれたら立派な父親として胸を張れるように励むから、これからもよろしくお願いします」
こうしてこの日は解散となった。
そしてそれからも日々は過ぎてゆき、やがて出産予定月になった。
もういつ生まれてきてもおかしくはない状況で、城にはベテランの助産師が待機するようになった。
エレオノーラとジョシアは生まれて来る子供の為に必要な準備をしていた。
ダイアナやサミュエルからも子供の為に必要なベビーベットや洋服、おもちゃなどが贈られるので、それは考慮に入れながら準備をする。
因みに子供の名づけはまだ一切考えていない。
ある日の夜中。
エレオノーラは急に陣痛が始まり、ジョシアは急いで助産師に連絡を入れて部屋に来てもらう。
出産現場は男子禁制なのでジョシアは部屋から追い出され、ダイアナと二人で部屋の外で待機していた。
ジョシアに出来ることはエレオノーラと子供の無事を願うことだけだ。
ジョシアがひたすら願っているとやがて元気な泣き声が聞こえてくる。
「あら、生まれたわね。ついに赤ちゃんとご対面ね」
「そうみたいだね」
ジョシアとダイアナが親子でそんな会話をするとまた泣き声が聞こえる。
しかもよくよく聞くと最初に聞いた鳴き声とは微妙に声色が違う気がする。
二人は部屋に入ると、メイドが二人、それぞれ赤ちゃんを抱いている。
「無事にお生まれになりました。男女の双子です。先に生まれたのは男の子の方です」
メイドから報告を聞き、ジョシアはまっすぐにベットで汗だくでくったりとしているエレオノーラに駆け寄る。
「エレオノーラ、お疲れ様。赤ちゃんもエレオノーラも無事な状態で生まれてきてくれて良かった。可愛い赤ちゃんを生んでくれてありがとう」
ジョシアは涙ぐみながら無事を感謝した。
「ジョシアったら。私はちょっと体力の消耗が激しいから今は無理だけれど、子供達を抱っこしてあげて」
「わかった。エレオノーラはゆっくり休んでね。名前はエレオノーラと一緒に考えるから」
ジョシアは生まれてきた我が子を抱っこする為にメイドに近寄る。
子供は男児の方はエレオノーラ譲りの豪奢な金髪、女児の方はジョシア譲りのアイスブルーの髪だ。
瞳の色は目を瞑っている為、今はわからない。
メイドは赤子の抱き方をジョシアに教え、その教え通りに抱っこする。
抱っこしながら顔を覗き込むと、愛おしさが溢れてくる。
自分と愛するエレオノーラとの子だ。
可愛くない訳がない。
こうして、ジョシアとエレオノーラに新しい家族が二人増えたのだった。
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