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第9話

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「拒否権はないですって!? お姉様、ふざけないで!」

「あなたがそれを言うのね、ミリィ」

「はぁ!?」

「あなたとイアン様は私に婚約解消に関して”拒否権はない”と仰られました。それは、先程皆様にお伝え致しました通りですわ。あなた達二人は私に向かって拒否権はないと言うのに、自分達に”拒否権がない”と言われるのは我慢ならないのですね。もうこれ以上あなた達と話す必要もないですし、出て行ってもらいますわね」

 セリーヌは使用人を再び呼びつける。

「お父様とお義母様とミリィ、そしてイアン様を伯爵家から出してもらえるかしら?」

「御意」

 使用人によって四人は鞄と共にヴォクレール伯爵家から追い出された。

 彼らは最後まで騒ぎ、粘っていたが、セリーヌは彼らの方を一顧だにしなかった。


 その後、セリーヌは子爵夫妻とファビアンとその妻にも帰ってもらった。




 婚約解消から始まって、伯爵の地位を継承する手続きや、出しゃばりすぎない程度に結婚式の手伝いをし、今日の結婚式、その後の父親・義母・ミリィの追放とずっと休みなしで動いていたから、全て片が付いた今日、張り詰めていた糸がプツンときれるように、セリーヌは寝台に倒れ込んだ。

 今日はゆっくり休んで明日からは使用人達の手を借りながら、伯爵として新たなスタートを切る。

(しばらくは伯爵家のことで忙しいから、新たな婚約なんて考えられないけれど、落ち着いた頃に誰かと結婚出来たたらいいな……)

 そんなことを考えながら、セリーヌは眠りにつく。


 セリーヌの部屋には優しい月明かりがカーテン越しに部屋を照らし、セリーヌを包み込んでいるかのようだった。
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