9 / 9
第9話
しおりを挟む
「拒否権はないですって!? お姉様、ふざけないで!」
「あなたがそれを言うのね、ミリィ」
「はぁ!?」
「あなたとイアン様は私に婚約解消に関して”拒否権はない”と仰られました。それは、先程皆様にお伝え致しました通りですわ。あなた達二人は私に向かって拒否権はないと言うのに、自分達に”拒否権がない”と言われるのは我慢ならないのですね。もうこれ以上あなた達と話す必要もないですし、出て行ってもらいますわね」
セリーヌは使用人を再び呼びつける。
「お父様とお義母様とミリィ、そしてイアン様を伯爵家から出してもらえるかしら?」
「御意」
使用人によって四人は鞄と共にヴォクレール伯爵家から追い出された。
彼らは最後まで騒ぎ、粘っていたが、セリーヌは彼らの方を一顧だにしなかった。
その後、セリーヌは子爵夫妻とファビアンとその妻にも帰ってもらった。
婚約解消から始まって、伯爵の地位を継承する手続きや、出しゃばりすぎない程度に結婚式の手伝いをし、今日の結婚式、その後の父親・義母・ミリィの追放とずっと休みなしで動いていたから、全て片が付いた今日、張り詰めていた糸がプツンときれるように、セリーヌは寝台に倒れ込んだ。
今日はゆっくり休んで明日からは使用人達の手を借りながら、伯爵として新たなスタートを切る。
(しばらくは伯爵家のことで忙しいから、新たな婚約なんて考えられないけれど、落ち着いた頃に誰かと結婚出来たたらいいな……)
そんなことを考えながら、セリーヌは眠りにつく。
セリーヌの部屋には優しい月明かりがカーテン越しに部屋を照らし、セリーヌを包み込んでいるかのようだった。
「あなたがそれを言うのね、ミリィ」
「はぁ!?」
「あなたとイアン様は私に婚約解消に関して”拒否権はない”と仰られました。それは、先程皆様にお伝え致しました通りですわ。あなた達二人は私に向かって拒否権はないと言うのに、自分達に”拒否権がない”と言われるのは我慢ならないのですね。もうこれ以上あなた達と話す必要もないですし、出て行ってもらいますわね」
セリーヌは使用人を再び呼びつける。
「お父様とお義母様とミリィ、そしてイアン様を伯爵家から出してもらえるかしら?」
「御意」
使用人によって四人は鞄と共にヴォクレール伯爵家から追い出された。
彼らは最後まで騒ぎ、粘っていたが、セリーヌは彼らの方を一顧だにしなかった。
その後、セリーヌは子爵夫妻とファビアンとその妻にも帰ってもらった。
婚約解消から始まって、伯爵の地位を継承する手続きや、出しゃばりすぎない程度に結婚式の手伝いをし、今日の結婚式、その後の父親・義母・ミリィの追放とずっと休みなしで動いていたから、全て片が付いた今日、張り詰めていた糸がプツンときれるように、セリーヌは寝台に倒れ込んだ。
今日はゆっくり休んで明日からは使用人達の手を借りながら、伯爵として新たなスタートを切る。
(しばらくは伯爵家のことで忙しいから、新たな婚約なんて考えられないけれど、落ち着いた頃に誰かと結婚出来たたらいいな……)
そんなことを考えながら、セリーヌは眠りにつく。
セリーヌの部屋には優しい月明かりがカーテン越しに部屋を照らし、セリーヌを包み込んでいるかのようだった。
190
お気に入りに追加
4,858
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
妹が嫌がっているからと婚約破棄したではありませんか。それで路頭に迷ったと言われても困ります。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるラナーシャは、妹同伴で挨拶をしに来た婚約者に驚くことになった。
事前に知らされていなかったことであるため、面食らうことになったのである。
しかもその妹は、態度が悪かった。明らかにラナーシャに対して、敵意を抱いていたのだ。
だがそれでも、ラナーシャは彼女を受け入れた。父親がもたらしてくれた婚約を破談してはならないと、彼女は思っていたのだ。
しかしそんな彼女の思いは二人に裏切られることになる。婚約者は、妹が嫌がっているからという理由で、婚約破棄を言い渡してきたのだ。
呆気に取られていたラナーシャだったが、二人の意思は固かった。
婚約は敢え無く破談となってしまったのだ。
その事実に、ラナーシャの両親は憤っていた。
故に相手の伯爵家に抗議した所、既に処分がなされているという返答が返ってきた。
ラナーシャの元婚約者と妹は、伯爵家を追い出されていたのである。
程なくして、ラナーシャの元に件の二人がやって来た。
典型的な貴族であった二人は、家を追い出されてどうしていいかわからず、あろうことかラナーシャのことを頼ってきたのだ。
ラナーシャにそんな二人を助ける義理はなかった。
彼女は二人を追い返して、事なきを得たのだった。
本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。
しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。
そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。
このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。
しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。
妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。
それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。
それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。
彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。
だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。
そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。
初恋の君と再婚したい?お好きになさって下さいな
藍田ひびき
恋愛
「マルレーネ。離縁して欲しい」
結婚三年目にして突然、夫であるテオバルト・クランベック伯爵からそう告げられたマルレーネ。
テオバルトにはずっと想い続けている初恋の君がいた。ようやく初恋の女性と再会できた夫は、彼女と再婚したいと述べる。
身勝手な言い分に呆れつつも、マルレーネは離縁を受け入れるが……?
※ なろうにも投稿しています。
許してもらえるだなんて本気で思っているのですか?
風見ゆうみ
恋愛
ネイロス伯爵家の次女であるわたしは、幼い頃から変わった子だと言われ続け、家族だけじゃなく、周りの貴族から馬鹿にされ続けてきた。
そんなわたしを公爵である伯父はとても可愛がってくれていた。
ある日、伯父がお医者様から余命を宣告される。
それを聞いたわたしの家族は、子供のいない伯父の財産が父に入ると考えて豪遊し始める。
わたしの婚約者も伯父の遺産を当てにして、姉に乗り換え、姉は姉で伯父が選んでくれた自分の婚約者をわたしに押し付けてきた。
伯父が亡くなったあと、遺言書が公開され、そこには「遺留分以外の財産全てをリウ・ネイロスに、家督はリウ・ネイロスの婚約者に譲る」と書かれていた。
そのことを知った家族たちはわたしのご機嫌伺いを始める。
え……、許してもらえるだなんて本気で思ってるんですか?
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓
婚約者は幼馴染みを選ぶようです。
香取鞠里
恋愛
婚約者のハクトには過去に怪我を負わせたことで体が不自由になってしまった幼馴染がいる。
結婚式が近づいたある日、ハクトはエリーに土下座して婚約破棄を申し出た。
ショックではあったが、ハクトの事情を聞いて婚約破棄を受け入れるエリー。
空元気で過ごす中、エリーはハクトの弟のジャックと出会う。
ジャックは遊び人として有名だったが、ハクトのことで親身に話を聞いて慰めてくれる。
ジャックと良い雰囲気になってきたところで、幼馴染みに騙されていたとハクトにエリーは復縁を迫られるが……。
お久しぶりですね、元婚約者様。わたしを捨てて幸せになれましたか?
柚木ゆず
恋愛
こんなことがあるなんて、予想外でした。
わたしが伯爵令嬢ミント・ロヴィックという名前と立場を失う原因となった、8年前の婚約破棄。当時わたしを裏切った人と、偶然出会いました。
元婚約者のレオナルド様。貴方様は『お前がいると不幸になる』と言い出し、理不尽な形でわたしとの関係を絶ちましたよね?
あのあと。貴方様はわたしを捨てて、幸せになれましたか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる