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第3章
第313話 近いでござる
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洗った芋を布で拭いたり、バットに並べたりとワイワイと作業をする。
芋の量は結構沢山あったけど、大勢で作業をするからあっという間だ。
オーブンにセットしたら後は焼き上がるのを待つだけになった。
「じゃあ、焼き上がりを待つまでの間にちょっとだけクリーン魔法のレクチャーをしようか。」
「え?今ですか?」
焼き上がりを待つ時間がちょっと暇かなと思ったので提案をしたら、ロアン君がびっくりした顔をした。
何故か動揺したみたな感じだ。あれ?クリーン魔法を覚えたかったんじゃなかったのかな。
「こ、心の準備が‥‥。」
ローレ嬢が不安げな顔になる。デヴィンくんも戸惑っている様子だ。
「いや、そんな大袈裟な事じゃないよ。後片付けでクリーン魔法を使うときに解説しながらやるのを見るのはどうかなと思って。」
「ああ‥‥。」
ロアン君がほっとした顔をした。どうやら、この場で魔法の練習をして失敗したらと考えてしまったようだ。
「ごめんね。不安にさせちゃって。
洗い桶とか、布巾とかいくつかクリーンをかけるものがあるから、見ていて。」
芋を洗うのに使っていた桶にクリーン魔法をかけるのを実践してみようとしたら、ユリウスが手を上げてきた。
右手を挙げたあと、左手を上げて、もう一度右手を挙げる。アピールがすごい。
「拙者がやるでござるよ!」
ポンと自分の胸を軽く叩いた。
「そうか。ユリウス、やってみるである。」
マーギットさんが頷いて、使用していた桶を指し示した。
ユリウスは右手を伸ばして、桶に掌を向けた。左手は右手の肘部分に添えている。
ふぅーっと深呼吸をする。
「‥‥。」
ユリウスがもう一度深く深呼吸をした。
「‥‥。」
魔法を発動しないまま暫く静止していた。
どうしたんだろうとじっとみていると、ユリウスがちょっと気まずそうに周囲を見回した。
「そんなに、皆に見られていると緊張するでござるよ。」
「いや、自分で見本を見せるって名乗り出たんじゃないか。」
「そうでござるが‥‥。近いんでござる。近いんでござるよ!」
確かにユリウスと桶の周りを円陣でも組むかのように皆で取り囲んでいたから、落ち着かなかったかもしれない。
魔法の見学をするロアン君達以外は、ちょっと離れたところから遠巻きにみることにした。
「あれ?クレイリー君は見ないの?」
ユリウスから離れた場所で、背を向けるように立っているクレイリー君を見て、声をかけた。
クレイリー君は小さく頷いて口を開いた。
「だって、僕が習うんじゃないからさぁ。見ちゃまずいかなってぇ。」
「別に見ても構わないと思うよ。ユリウスは大勢に囲まれてたからやりにくかっただけだから。」
「でもぉ‥‥。」
クレイリー君がしゅんとして俯いた。
芋の量は結構沢山あったけど、大勢で作業をするからあっという間だ。
オーブンにセットしたら後は焼き上がるのを待つだけになった。
「じゃあ、焼き上がりを待つまでの間にちょっとだけクリーン魔法のレクチャーをしようか。」
「え?今ですか?」
焼き上がりを待つ時間がちょっと暇かなと思ったので提案をしたら、ロアン君がびっくりした顔をした。
何故か動揺したみたな感じだ。あれ?クリーン魔法を覚えたかったんじゃなかったのかな。
「こ、心の準備が‥‥。」
ローレ嬢が不安げな顔になる。デヴィンくんも戸惑っている様子だ。
「いや、そんな大袈裟な事じゃないよ。後片付けでクリーン魔法を使うときに解説しながらやるのを見るのはどうかなと思って。」
「ああ‥‥。」
ロアン君がほっとした顔をした。どうやら、この場で魔法の練習をして失敗したらと考えてしまったようだ。
「ごめんね。不安にさせちゃって。
洗い桶とか、布巾とかいくつかクリーンをかけるものがあるから、見ていて。」
芋を洗うのに使っていた桶にクリーン魔法をかけるのを実践してみようとしたら、ユリウスが手を上げてきた。
右手を挙げたあと、左手を上げて、もう一度右手を挙げる。アピールがすごい。
「拙者がやるでござるよ!」
ポンと自分の胸を軽く叩いた。
「そうか。ユリウス、やってみるである。」
マーギットさんが頷いて、使用していた桶を指し示した。
ユリウスは右手を伸ばして、桶に掌を向けた。左手は右手の肘部分に添えている。
ふぅーっと深呼吸をする。
「‥‥。」
ユリウスがもう一度深く深呼吸をした。
「‥‥。」
魔法を発動しないまま暫く静止していた。
どうしたんだろうとじっとみていると、ユリウスがちょっと気まずそうに周囲を見回した。
「そんなに、皆に見られていると緊張するでござるよ。」
「いや、自分で見本を見せるって名乗り出たんじゃないか。」
「そうでござるが‥‥。近いんでござる。近いんでござるよ!」
確かにユリウスと桶の周りを円陣でも組むかのように皆で取り囲んでいたから、落ち着かなかったかもしれない。
魔法の見学をするロアン君達以外は、ちょっと離れたところから遠巻きにみることにした。
「あれ?クレイリー君は見ないの?」
ユリウスから離れた場所で、背を向けるように立っているクレイリー君を見て、声をかけた。
クレイリー君は小さく頷いて口を開いた。
「だって、僕が習うんじゃないからさぁ。見ちゃまずいかなってぇ。」
「別に見ても構わないと思うよ。ユリウスは大勢に囲まれてたからやりにくかっただけだから。」
「でもぉ‥‥。」
クレイリー君がしゅんとして俯いた。
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