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第3章

第297話 ツヴァンの宿泊施設

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ドルートルさんと話をした後、一度馬車まで戻ると、魔導科クラスのメンバーが集まって来ていた。馬車は列に並んだまま待機させていて降り立ってこちらの馬車まで来たらしい。
そこにロアン君達がやってきた。

「お疲れさま!ねえ。クリーン魔法の魔法陣使ってみたけど凄いかったの。ありがとう!」

ローレ嬢は、クリーン魔法の魔法陣を渡すと言い出したメイサ嬢やエリーザ嬢にもお礼が言いたいと思っているらしい。

「メイサ達には学園に入ったら会えるわよ。でも伝えておくわね。」

アメリー嬢が穏やかに微笑んだ。

ラドロ達が大きな荷物を持って、やってきた。護衛依頼を達成したので、この後は冒険者ギルドに依頼達成報告に行くのだそうだ。
何かあった時に連絡がとれるように、ツヴァンでの滞在先を教えておいた。

「商業旅団組合の施設?宿じゃないのか?」
「うん。宿のようなサービスはないんだけど、安いんだ。泊まる?明日以降なら泊まれると思うけど。」

魔導科クラスのメンバーが泊まるのは一泊だけの予定なので、明日以降なら二部屋が空く見込みだ。
ラドロ達は暫くの間ツヴァンで活動をするというから声をかけてみた。

「いや、一応常宿があるから、そっちに当たってみるよ。声をかけてくれてありがとうな。」
商業旅団組合の施設に泊まるかと聞いて見たけど断られた。冒険者活動をするのだと、常宿の方が気軽に活動できるのかもしれない。

「冒険者ギルドまで送っていこうか?」
「いや、他の冒険者達も歩いて行くから‥‥。」
荷物も重そうだし、馬車で冒険者ギルドに送ることを進言してみたら、ラドロがちらりと他の冒険者達を見やった。
馬車隊で護衛をしていた冒険者が何組かぞろぞろと歩いていっている。
「他の冒険者達もギルドに向かっているんだったらギルドが混むんじゃないの?」
「‥‥まあ、そうだな‥‥。」

馬車で冒険者ギルド前に乗り付けたりすると、目立つので、それを避けたいらしい。貴族の冒険者だと楽をしている、というような目で見られたりするのを気にしているそうだ。

「じゃあ、近くの路地の目立たないところとかはどう?」
道を一本ずれた路地の一角で降ろすということで、話がついた。

宣言通り冒険者ギルド近くの路地裏でラドロ達を降ろして別れを告げた。
後ろには、魔導科クラスを乗せた馬車が着いて来ている。いよいよ商業旅団組合の宿泊施設に向かう。

「おお!結構広いでござるな!ベッドが六個もあるのに、余裕があるでござる!」
商業旅団組合の施設に到着して、部屋を見たユリウスが言った。
「本当、広いっぺ。」
「だすだす。」
ツヴァンまでの旅の間、魔導科クラスのメンバーは、簡易ベッドで隙間もない程埋め尽くしたような部屋に何回か宿泊したことがあったので
その時の光景と見比べているようだ。

魔導科クラスのメンバーは一泊の予定なので、最低限、施設内の食堂への行き方と食堂の使い方を案内した。
案内と言っても俺とジョセフィンもツヴァンのこの施設に宿泊するのは初めてなんだけどね。
事前に調べたから、ある程度把握していると言うだけだ。
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