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第3章

第267話 援護の仕方

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これなら暫くはアイスリザードが入っては来れないだろうと雪の壁の出来を確認した。

「これでどうですか?」
「‥‥。」

騎士に聞いたら、騎士がなんだか当惑気味に目をパチパチとさせた。あれ?

「いや、ありがとう。‥‥‥思ってたのと違ったけど。‥‥うん‥‥。これなら安心して上るのに集中できるな。」
「え?あの、何か違ってましたか?」

若干気まずそうにしている騎士に、俺はちょっと焦って訪ねた。そして、完成したての雪の壁をもう一度見る。なんだろう。何か作り方を間違っただろうか。

「‥‥いや、さっき弓矢と魔法で壁の向こう側を攻撃してただろう。ああいうのを予想してたから‥‥。」
「え?」
「あ、でも。想定外だったけど、魔獣に慣れてない住民からしたら、壁で見えない方が安心だと思うよ。うん。」

近付いて来ようとするアイスリザードへの攻撃は、雪の壁の下に降りた騎士や討伐に来ていた冒険者達が、しているからとこちらは防御を思ったのだが、騎士が意図していた内容ではなかったようだ。‥‥まあ、これでも良いというならいいか。

シャインさんが、ハハハと笑った。

「まあ、変わってるっすよね。」
「シャインさんだって一緒に作ったでしょ。」
「作ったのを見て真似して作ったっす。発想がちょっと変わってるっす。でも面白いっす!」

そう言われて若干微妙な気持ちになりながら、新しく出来上がった雪の壁の内側にいる人達の様子を見た。
見える範囲にアイスリザードが居なくなって少し落ち着いたのかもしれない。
ロープの輪っかに身体を通して、補助してもらいながら上っている女性も、先程までは泣いていたのに、集中して上っていて、壁の下に居る人達は、励ますように声がけをしていた。

門のすぐ手前に居たアイスリザードがついにピクリとも動かなくなったタイミングで、一端砦門自体を雪の壁で封鎖した。
後は、砦門前に取り残されていた住民を街に帰還させて、南門と砦門の間の道にいるアイスリザードを退治すれば、一旦は落ち着く。

騎士団の残りの人達も到着したらしくて、雪の壁の上のあちこちに騎士が立っていて遠隔攻撃をしている姿が見えた。

暫くしてようやく砦門の前に取り残されていた住民の壁の上への避難が完了した。中には、馬車で運んで来た荷物を気にする人もいたが、アイスリザードの脅威を目の当たりにしたせいか、最低限の貴重品だけを持って一旦街に戻ることを反対する人はいなかった。

人数が多くなると、雪の壁の上を歩くのも大変だ。

捕まる場所は氷の槍で支えられたロープだけだ。壁の上の幅も広げているとはいえ、なんとか歩けるというレベルの幅だ。
高い場所が苦手な人達は、時折悲鳴を上げながら、おぼつかない足取りで街に戻って行った。
住民の前後と中間に騎士が居て住民達を誘導している。その後ろを俺とジョセフィンとシャインさん。ロンウェルさんは、地上を進んで、冒険者達の援護をしながら街方面に戻ると言う。

途中で、ロアン君に合流した。全ての芋を投げてしまった後、ロアン君は一旦戻って、芋を補給してきたそうだ。

ラドロ達はイーモの援護を受け、他の冒険者パーティとも協力しあって、アイスリザードを何体も倒したようだった。

「兄上も、兄上の仲間の人達も凄いし、イーモの効果も凄いんです!」
ロアン君はそう言って誇らしげに笑っていた。
ロンウェルさんにちゃんと報酬を払ってもらうように、念を押しておこう。ロアン君もだけど、ローレ嬢やデヴィン君もだ。
ユリウス達もただ働きにはならないようにしたい。まあ、今はまだそんな事を言っている状況じゃないんだけどね。
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