251 / 324
第3章
第250話 イーモ再び
しおりを挟む
明け方魔鳥に偵察をさせたときは、アイスワームが居る付近を中心に飛ばせていて、北方面の街道とかは見ていなかった。
街道で馬車が雪に埋もれていたりすると厄介だ。
凍死の心配もあるし、アイスワーム討伐に駆けつけてくれるはずの騎士団が通れなくなる可能性もある。
気になって、朝食後に街道方面に魔鳥を飛ばしてみた。
何か見つけた時に知らせてもらうようにしたら、主街道に合流する手前くらいで馬車が数台雪に嵌っていた。
馬車から降りて、徒歩で街に向かっている人影も見える。街に助けを求めに行くところだろうか。
「‥‥一応、知らせておくか‥‥。」
雪に嵌っている場所が街の外だと、救援要請がない限り、街から救援部隊を出動させないかもしれない。
しかし、早めに動いていないと、騎士団の到着にも影響しそうだ。
「馬車が立ち往生、ですか‥‥。」
商業ギルドに情報を伝えに行った。宿を出た時間には、まだ雪かきが済んでいない場所多かったが、雪履きを履いて、どうしても通りにくい場所だけ
魔法で雪を除けて行った。
朝早くから商業ギルドの窓口は開いていた。窓口は空いていたが、フロアはそこで夜を明かした雰囲気の人達が沢山いた。宿にも止まれなかった人達を受け入れていたようだ。
「ええ。そのうち、馬車から救援を求めに出た人が来るとは思うのですが、街道を塞いでしまっている状況は他に影響が出そうなのでお知らせに来ました。」
「然様でしたか。お知らせ下さりありがとうございます。
現在、ギルド所属の除雪魔導士は、討伐隊に協力する為に南門からの道を除雪に出ています。戻り次第対応いたします。」
「冒険者ギルドの討伐隊に、商業ギルド所属の除雪魔導士が同行しているんですか?」
「いいえ、南門から出て主街道と繋がる砦門までの間の道だけです。
砦門から先は、戦闘になる可能性があるので、そちらは冒険者ギルドで対応してもらいます。」
アイスリザードが街道に入り込んだ箇所を討伐に進むにも、除雪が必要だ。戦闘に同行する除雪魔導士の魔力の節約の為に、
戦闘がない一部の道の除雪を、商業ギルドで分担をしたようだ。
「東門側の救援の対応は南門対応の後にしていただけるということですね。」
「はい。そろそろ戻ってくる頃かと思います。」
商業ギルドの職員との話はスムーズに進み、街道近辺の除雪に向かってもらえそうだった。話が終わりかけていた頃に、商業ギルドのホールにドルートルさんが入って来たのが
見えた。人の気配がしたので振り向いたら目が合ったのだ。
挨拶をして、状況を説明した。
「ほう。街道を塞いでしまっているのはまずいですな。うちで契約している除雪魔導士に応援を依頼しましょうか。」
「よろしいんですか?」
ドルートルさんが商業旅団と契約中の除雪魔導士に協力を依頼すると申し出てくれた。段取りなどは、商業ギルド側と商業旅団で勧めてくれるようだ。
それでは、とお任せして商業ギルドを後にすることにしたのだが、
ユリウスがホール内の掲示板を熱心に見ていたので声を駆けた。
街の通りの様子が気になるという事で、俺とジョセフィンの他、マーギットさん、ユリウス、デリックさん、トマソンも同行していたのだ。
昨日と違って、商業ギルド内が空いていたので、俺がギルド職員と話をしている間、ホールの中を見て回っていたようだ。
「芋の買い取り価格が出ているでござるが、販売価格は出ていないでござるかな?」
何か興味深いものがあったのかと聞いてみようと近付いたら、ユリウスが振り向いて言った。
「芋を買いたいの?販売の場合は、値段交渉で決まるから価格は書かないものだよ。買い取りも,品の状態によるから最低価格しか書かれていないけどね。」
「芋が安かったら、冒険者ギルドに居た彼らに配ろうと思ったでござる。」
「優しいなぁ。」
「これだけ雪が降ったら寒いでござろう?差し入れでござる!」
ユリウスはそう言うと懐から布の包みを出した。銀貨が三枚包まれている。
「足りるでござるかなぁ。」
これまでの旅程の費用分で少し余剰が出た金額だそうだ。
街道で馬車が雪に埋もれていたりすると厄介だ。
凍死の心配もあるし、アイスワーム討伐に駆けつけてくれるはずの騎士団が通れなくなる可能性もある。
気になって、朝食後に街道方面に魔鳥を飛ばしてみた。
何か見つけた時に知らせてもらうようにしたら、主街道に合流する手前くらいで馬車が数台雪に嵌っていた。
馬車から降りて、徒歩で街に向かっている人影も見える。街に助けを求めに行くところだろうか。
「‥‥一応、知らせておくか‥‥。」
雪に嵌っている場所が街の外だと、救援要請がない限り、街から救援部隊を出動させないかもしれない。
しかし、早めに動いていないと、騎士団の到着にも影響しそうだ。
「馬車が立ち往生、ですか‥‥。」
商業ギルドに情報を伝えに行った。宿を出た時間には、まだ雪かきが済んでいない場所多かったが、雪履きを履いて、どうしても通りにくい場所だけ
魔法で雪を除けて行った。
朝早くから商業ギルドの窓口は開いていた。窓口は空いていたが、フロアはそこで夜を明かした雰囲気の人達が沢山いた。宿にも止まれなかった人達を受け入れていたようだ。
「ええ。そのうち、馬車から救援を求めに出た人が来るとは思うのですが、街道を塞いでしまっている状況は他に影響が出そうなのでお知らせに来ました。」
「然様でしたか。お知らせ下さりありがとうございます。
現在、ギルド所属の除雪魔導士は、討伐隊に協力する為に南門からの道を除雪に出ています。戻り次第対応いたします。」
「冒険者ギルドの討伐隊に、商業ギルド所属の除雪魔導士が同行しているんですか?」
「いいえ、南門から出て主街道と繋がる砦門までの間の道だけです。
砦門から先は、戦闘になる可能性があるので、そちらは冒険者ギルドで対応してもらいます。」
アイスリザードが街道に入り込んだ箇所を討伐に進むにも、除雪が必要だ。戦闘に同行する除雪魔導士の魔力の節約の為に、
戦闘がない一部の道の除雪を、商業ギルドで分担をしたようだ。
「東門側の救援の対応は南門対応の後にしていただけるということですね。」
「はい。そろそろ戻ってくる頃かと思います。」
商業ギルドの職員との話はスムーズに進み、街道近辺の除雪に向かってもらえそうだった。話が終わりかけていた頃に、商業ギルドのホールにドルートルさんが入って来たのが
見えた。人の気配がしたので振り向いたら目が合ったのだ。
挨拶をして、状況を説明した。
「ほう。街道を塞いでしまっているのはまずいですな。うちで契約している除雪魔導士に応援を依頼しましょうか。」
「よろしいんですか?」
ドルートルさんが商業旅団と契約中の除雪魔導士に協力を依頼すると申し出てくれた。段取りなどは、商業ギルド側と商業旅団で勧めてくれるようだ。
それでは、とお任せして商業ギルドを後にすることにしたのだが、
ユリウスがホール内の掲示板を熱心に見ていたので声を駆けた。
街の通りの様子が気になるという事で、俺とジョセフィンの他、マーギットさん、ユリウス、デリックさん、トマソンも同行していたのだ。
昨日と違って、商業ギルド内が空いていたので、俺がギルド職員と話をしている間、ホールの中を見て回っていたようだ。
「芋の買い取り価格が出ているでござるが、販売価格は出ていないでござるかな?」
何か興味深いものがあったのかと聞いてみようと近付いたら、ユリウスが振り向いて言った。
「芋を買いたいの?販売の場合は、値段交渉で決まるから価格は書かないものだよ。買い取りも,品の状態によるから最低価格しか書かれていないけどね。」
「芋が安かったら、冒険者ギルドに居た彼らに配ろうと思ったでござる。」
「優しいなぁ。」
「これだけ雪が降ったら寒いでござろう?差し入れでござる!」
ユリウスはそう言うと懐から布の包みを出した。銀貨が三枚包まれている。
「足りるでござるかなぁ。」
これまでの旅程の費用分で少し余剰が出た金額だそうだ。
0
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!
見捨てられた令嬢は、王宮でかえり咲く
堂夏千聖
ファンタジー
年の差のある夫に嫁がされ、捨て置かれていたエレオノーラ。
ある日、夫を尾行したところ、馬車の事故にあい、記憶喪失に。
記憶喪失のまま、隣国の王宮に引き取られることになったものの、だんだんと記憶が戻り、夫がいたことを思い出す。
幼かった少女が成長し、見向きもしてくれなかった夫に復讐したいと近づくが・・・?
転生者の取り巻き令嬢は無自覚に無双する
山本いとう
ファンタジー
異世界へと転生してきた悪役令嬢の取り巻き令嬢マリアは、辺境にある伯爵領で、世界を支配しているのは武力だと気付き、生き残るためのトレーニングの開発を始める。
やがて人智を超え始めるマリア式トレーニング。
人外の力を手に入れるモールド伯爵領の面々。
当然、武力だけが全てではない貴族世界とはギャップがある訳で…。
脳筋猫かぶり取り巻き令嬢に、王国中が振り回される時は近い。
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜
三月べに
ファンタジー
令嬢に転生してよかった〜!!!
素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。
少女漫画や小説大好き人間だった前世。
転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。
そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが?
【連載再開しました! 二章 冒険編。】
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる