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第3章

第240話 救援要請

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「気をつけて。‥‥ロアン君達も無理しないでね。」
「はい!ありがとうございます!」

ロアン君達が揃ってお礼を言って頭を下げた。
これからアイスリザードの討伐に向かうそうだ。アイスワームについては、別のパーティが実態調査をするらしい。

餞別、ではないが、何かの役に立てばと傷薬と魔法陣玉をいくつか渡しておいた。
彼らはお礼を言って冒険者ギルドに戻って行った。

通りに出て彼らを見送ったが、宿の前の通りは緊迫した様子で右往左往している人々の姿が多くなってきていた。

ラドロ達を見送って部屋に戻ってきたら、ジョセフィンが近隣への連絡用に放っていた魔鷹達が戻って来ていた。ジョセフィンが、魔鷹の足に付けられている文入れから手紙を取り出して目を通した。

「レイゾーリ騎士団が出動してくれるそうです。しかし距離的に到着までちょっと時間がかかりそうですね。」
「そうか。冒険者は?」
「以前商会で護衛等でお世話になった冒険者に声をかけて見てもらっています。近場に滞在していてくれると良いのですけど。」
「流石に今すぐ到着という訳には行かないよな‥‥。」

冒険者ギルドの討伐隊は、もう出動しようとしている。
アイスリザードの討伐だけなら、昨日ラドロ達がやっていた事と同じなので、問題はないだろう。だが、いつアイスワームが出てくるかわからない。
討伐隊の動きがアイスワームを刺激しないとよいのだが。

アイスワームの位置だとか移動状況だとかを確認してから、討伐隊を出動させた方が良いような気もするけど、アイスリザードが大量に街道に入り込んでいると、アイスワームの対応にも影響するだろから,先に討伐する事自体は妥当なんだろうな。

ちょっと不安な気持ちを抱えつつ、ケージから魔鳥を出して、窓から外に放った。アイスワームの偵察だ。
ピーゴとピーロクも既に偵察に出ているが、応援要員を追加した。

まだ、アイスワームの全長だとか、どこかに移動しようとしているのかなど、詳細が判らないので再度調査に行かせたのだ。

「‥‥アイスワームって、魔獣溢れの時にダンジョンから出てきたやつかな。何故今まで発見されなかったんだろう。デカイのに。」
「調査するのは冒険者ギルドですからねぇ‥‥。気温が高い時期は洞窟等に身を潜めていたのかもしれませんね。」
「気温が高くて弱っているうちの方が討伐しやすかったかもね。まあ、今となっては言っても仕方ないけどね‥‥。」

アイスワームもアイスリザードも雪が降るような寒い時期以外は動きが鈍いのだ。街道を封鎖して街の人も一次避難させて、安全が確保出来るというのなら春まで待ってから討伐するという方法もある。

だけど、その地域を封鎖してしまう事になるから、そこまでの決断は領主が行うことになる。
この街はレイゾーリ男爵領にあるから、商会を通じて連絡をとってレイゾーリ騎士団に来てもらうことにした。騎士団がいれば領主への状況報告も早いし、討伐か閉鎖の判断もしやすくなるだろう。
騎士団の出動要請とかは冒険者ギルドがやるのが普通だ。もしかしたら、もう要請は出していたのかもしれないけど、ギルドマスターは領主家は街には関心がないというような事を言っていたから、こちらから連絡をしてみたのだ。
すぐ出動の返事が来たってことは、やっぱりギルドからも連絡は行ってたんじゃないかな。副ギルドマスターはしっかりしているらしいし。返事をまだ受け取ってなくて苛立ってただけかもしれない。

魔鳥達の調査の結果、確認ができたアイスワームは今のところ一体だけ。移動については川から街方面に移動して来た形跡はあるが現在は動きを止めているようだった。
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