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第3章

第230話 対策の相談

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「‥‥エドワード、惜しい。惜しいがまずい事態だ。」

俺は感覚共有を解いて、魔鳥達には一旦戻る様に指示をだした。ジョセフィンは少し緊張した様子で俺に尋ねた。

「エドワードが惜しいって‥‥。まさかスノーワームですか?」
「アイスワームだよ。氷の礫を吐いてた。」

スノーワームとアイスワームは、似たような蛇型の魔獣なのだが、スノーワームは吹雪のようなものを吐き出して、アイスワームは氷の礫を吐くのだ。

アイスリザードがスロープを上っていたのは、アイスワームから逃げる為だったのかもしれない。
思わず小さく溜め息をついてから、ジョセフィンを方を向いた。

「ジョス、ちょっと色々手配とか頼むね。」
俺の言葉にジョセフィンは神妙な顔をして頷いた。

悠長に朝食を食べて出かける余裕はないので、すぐに旅団長のところと冒険者ギルドへ伝えに行く事にした。
マーギットさん達にも伝えた。皆、一緒に行くと言い出したのだが、魔導科クラス組にも連絡をしてもらいたいので、トマソンとデリックさん、ユリウスが宿に残り、
俺とジョセフィン、マーギットさんで、旅団長の所に行く事にした。
説明をしていたら、ユリウスが焦った様子で声を大きくした。

「拙者が行くでござる!兄上を行かせるわけにはいかないでござる!」
「ユリウス、説明に行くだけである。慌てるでない。」
「くっ‥‥。拙者が至らないばかりに、嫡男である兄上を危険な地に赴かせるとは‥‥!」
「説明に行ったらすぐ戻ってくるであるが‥‥。ユリウスには魔導科組に説明をするという重大な役割があるのである。」
「ハ!そうでござった!」
「旅団長にも伝えてくるので、パニックにならず、すぐ避難できるように説明するであるぞ。」
「了解したでござる!拙者!命を賭してもこの任務‥‥!」
「命を賭さないで良いである。」

ユリウスは、まだマーギットさんの事が心配なのか、腰にぶらさげていた麻袋から魔法陣玉を鷲掴みにしてマーギットさんに差し出した。
マーギットさんは口の端を少し上げ、魔法陣玉を一つつまみ上げた。

「一つ受け取っておくである。余分があるなら魔導科組に分けてあげると良いである。」
「‥‥わかったでござるぅ‥‥。」
ユリウスは少し頬を膨らませながら、魔法陣玉を麻袋に戻していた。

宿の受付のところで従業員がパンの入った袋を差し出して来た。
ジョセフィンが急ぎで朝食代わりにパンを準備させてくれたらしい。


「こんな朝早くに呼び出して来て、何かと思ったら、朝食のお誘いかね?」

旅団長のドルートルさんが宿泊している宿に到着してから、ドルートルさんが出てくるまで少し時間があった。
ロビーで待っている間に、塩漬け肉のソテーが挟まったパンを口に放り込んでいたのだが、食べ終わる直前にドルートルさんが姿を現した。

「ああ、失礼しました。‥‥召し上がりますか?」
「いや、私もこれから朝食だ。‥‥まさか食べる間がないような事態かね?」

登場したときは、若干面倒臭そうな様子だったのだが、緊迫した空気を感じとったのかドルートルさんの顔つきが変わった。
宿のロビーでアイスワームの話をすると、他の客がパニックになる可能性があるので、一度ドルートルさんの部屋に行って説明をした。

「‥‥アイスワームだと?‥‥それは確かなのかね?」
「ええ。氷の礫を飛ばしてましたから。前の街に引き返した方が良いと思うんですけど。」

俺が説明ォすると,ドルートルさんは青ざめた顔で眉を歪めた。

「引き返すなど‥‥。乗客が納得するかどうか。」

もともとの予定では今日の朝に次の街に出発の予定だから、乗客には時間通りに集まってもらって、馬車で引き返してもらうのが一番安全だと思うのだが、そう簡単には行かないようだ。
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