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第3章
第224話 多彩な攻撃手段
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魔法陣玉を広げてみせる。
「発火の魔法陣でござるよ。アイスリザードは火が苦手なので、これを投げて怯んだ隙に逃げるのでござる。」
「発火?その程度の魔法を魔法陣に頼るのか?」
発火の魔法陣と知って、フォーゲル君が鼻で笑った。
ユリウスはフォーゲル君を一瞥すると、ピッと指差すようなポーズを取った。
「フォーゲル氏、発火を笑うものは発火に泣くでござるよ。」
「発火に泣くってなんだ?」
「フォーゲル氏は、発火の魔法でアイスリザードに攻撃ができるでござるか?」
「はぁ?‥‥無理だろ。発火なんて手元近くに火がつくだけだぞ。」
「そうでござろう。しかし!これは、投げつける事ができるでござる。攻撃できるでござるよ。」
「‥‥へえ‥‥。」
「しかも、発火魔法のインターバルもなしでござる。」
「まあ、魔法陣だからな。」
「使用魔力も少ないのでござる。」
「‥‥発火魔法だからな。」
「そうでござる!」
ユリウスが、えっへんと胸を張った。
「拙者、攻撃魔法の実戦経験がないでござる。万が一アイスリザードに遭遇してしまったとき、攻撃魔法を失敗しないで使えるか不安があるのでござる。
フォーゲル氏は、実戦経験はあるでござるか?」
「ない‥‥けど‥‥。」
「テンパって詠唱をかんだり、魔力を暴発したりしないとも限らないでござるが、フォーゲル氏は失敗しない自信はあるでござるか?」
「‥‥‥。」
フォーゲル君の顔が曇った。
「魔力の暴発をしたりしたら、二発目を打つ魔力が残っていないかもしれないでござる。そうでなくても攻撃魔法は魔力を沢山使うでござろう?」
「‥‥そうだな。」
「打てる本数に限りがあるでござる。しかーし!魔法陣玉は、使用魔力はほんの少し!詠唱を噛む心配もないでござる。魔法陣玉の数だけ使えるでござるよ!」
「な、なるほど‥‥。」
ユリウスの自信満々な説明に,フォーゲル君も納得したようだった。勢いに押されたとも言えなくもないけどね。
満足げな様子に、コホンと咳払いをしたマーギットさんが言った。
「攻撃手段は多い方が良いであるから、魔法陣玉も良いである。しかし、今後のためには攻撃魔法の実戦もどこかで詰んでおいた方がよいであるな。」
「う‥‥。わかってるでござるぅ。」
ユリウスはマーギットさんの言葉に肩を竦めた。
マーギットさんは魔導科クラスの彼らの顔を見回して言った。
「魔導科の一年目の授業は理論に重きが置かれているので仕方ないであるが、実戦経験は少しでも有った方が良いである。この冬季休暇中に何かしてみるのもよいし、
学園でも時々、日帰り魔獣狩り体験ツアーを募集しているので、参加してみるといいのである。」
マーギットさんの言葉を魔導科クラス組は神妙な様子で聞いていた。
すると、クレイリー君がおずおずと手を上げた。
「あのぅ。日帰り魔獣狩り体験ツアーというのは、戦闘訓練とかもしてもらえるのですかぁ?僕、普通科だから攻撃魔法とかの授業もなくてぇ。」
「魔獣狩りツアーは、ある程度攻撃魔法を練習してから、それを実戦で試す為に行くものである。」
「じゃ、じゃあぁ、攻撃魔法を覚えるにはぁ、どうしたらよいですかぁ?僕、冒険者登録したけどぉ、王都の結界のギリギリのところでスライムを棒で叩くのが精一杯でぇ。」
クレイリー君の言葉を聞いて、マーギットさんは右眼付近に手を当てて、じっとクレイリー君を見つめた。
「ふむ。単純にもう少し強い魔獣を倒せるようになりたいというのであれば、攻撃魔法をイチから覚えるより、棒術の稽古を受ける方が早く成果は出ると思うであるぞ。」
「ええぇ~。でもぅ~。棒術だと魔獣に近付かないと倒せないですよねぇ。角狼とか怖いじゃないですかぁ。」
クレイリー君はちょっと納得がいっていない様子。今までは主に配達など戦闘を伴わない依頼をメインに受けていたそうだが、あまり身入りが良くないので討伐依頼をもっとこなしたいという気持ちがあるそうだ。
「発火の魔法陣でござるよ。アイスリザードは火が苦手なので、これを投げて怯んだ隙に逃げるのでござる。」
「発火?その程度の魔法を魔法陣に頼るのか?」
発火の魔法陣と知って、フォーゲル君が鼻で笑った。
ユリウスはフォーゲル君を一瞥すると、ピッと指差すようなポーズを取った。
「フォーゲル氏、発火を笑うものは発火に泣くでござるよ。」
「発火に泣くってなんだ?」
「フォーゲル氏は、発火の魔法でアイスリザードに攻撃ができるでござるか?」
「はぁ?‥‥無理だろ。発火なんて手元近くに火がつくだけだぞ。」
「そうでござろう。しかし!これは、投げつける事ができるでござる。攻撃できるでござるよ。」
「‥‥へえ‥‥。」
「しかも、発火魔法のインターバルもなしでござる。」
「まあ、魔法陣だからな。」
「使用魔力も少ないのでござる。」
「‥‥発火魔法だからな。」
「そうでござる!」
ユリウスが、えっへんと胸を張った。
「拙者、攻撃魔法の実戦経験がないでござる。万が一アイスリザードに遭遇してしまったとき、攻撃魔法を失敗しないで使えるか不安があるのでござる。
フォーゲル氏は、実戦経験はあるでござるか?」
「ない‥‥けど‥‥。」
「テンパって詠唱をかんだり、魔力を暴発したりしないとも限らないでござるが、フォーゲル氏は失敗しない自信はあるでござるか?」
「‥‥‥。」
フォーゲル君の顔が曇った。
「魔力の暴発をしたりしたら、二発目を打つ魔力が残っていないかもしれないでござる。そうでなくても攻撃魔法は魔力を沢山使うでござろう?」
「‥‥そうだな。」
「打てる本数に限りがあるでござる。しかーし!魔法陣玉は、使用魔力はほんの少し!詠唱を噛む心配もないでござる。魔法陣玉の数だけ使えるでござるよ!」
「な、なるほど‥‥。」
ユリウスの自信満々な説明に,フォーゲル君も納得したようだった。勢いに押されたとも言えなくもないけどね。
満足げな様子に、コホンと咳払いをしたマーギットさんが言った。
「攻撃手段は多い方が良いであるから、魔法陣玉も良いである。しかし、今後のためには攻撃魔法の実戦もどこかで詰んでおいた方がよいであるな。」
「う‥‥。わかってるでござるぅ。」
ユリウスはマーギットさんの言葉に肩を竦めた。
マーギットさんは魔導科クラスの彼らの顔を見回して言った。
「魔導科の一年目の授業は理論に重きが置かれているので仕方ないであるが、実戦経験は少しでも有った方が良いである。この冬季休暇中に何かしてみるのもよいし、
学園でも時々、日帰り魔獣狩り体験ツアーを募集しているので、参加してみるといいのである。」
マーギットさんの言葉を魔導科クラス組は神妙な様子で聞いていた。
すると、クレイリー君がおずおずと手を上げた。
「あのぅ。日帰り魔獣狩り体験ツアーというのは、戦闘訓練とかもしてもらえるのですかぁ?僕、普通科だから攻撃魔法とかの授業もなくてぇ。」
「魔獣狩りツアーは、ある程度攻撃魔法を練習してから、それを実戦で試す為に行くものである。」
「じゃ、じゃあぁ、攻撃魔法を覚えるにはぁ、どうしたらよいですかぁ?僕、冒険者登録したけどぉ、王都の結界のギリギリのところでスライムを棒で叩くのが精一杯でぇ。」
クレイリー君の言葉を聞いて、マーギットさんは右眼付近に手を当てて、じっとクレイリー君を見つめた。
「ふむ。単純にもう少し強い魔獣を倒せるようになりたいというのであれば、攻撃魔法をイチから覚えるより、棒術の稽古を受ける方が早く成果は出ると思うであるぞ。」
「ええぇ~。でもぅ~。棒術だと魔獣に近付かないと倒せないですよねぇ。角狼とか怖いじゃないですかぁ。」
クレイリー君はちょっと納得がいっていない様子。今までは主に配達など戦闘を伴わない依頼をメインに受けていたそうだが、あまり身入りが良くないので討伐依頼をもっとこなしたいという気持ちがあるそうだ。
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