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第3章
第206話 揉め事だす
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「いやぁ混んでいるねぇ。王都からの馬車隊も連続して来ているっていうし、予約していなかったら危なかったところだったよ。」
同行している人物が受付を済ませるのを待っていたその男性は、ほっとした様子で雪がかかった袖を布で拭いていた。
しかし、王都からの馬車隊の話が少しひっかかった。
「王都からの馬車隊が連続で来ているんですか?」
「ああ、私達が到着する前と後に来たみたいだよ。後の方はアレだね。ここだけの話、オンブって奴だと思うよ。乗り合い馬車だけだったから。」
「ああ、なるほど‥‥。」
「吹雪いたりしたら危ないのにねぇ。」
「本当に‥‥。」
商人らしい男性との話を終えると、ユリウスが心配そうに話しかけて来た。
「何かまずい話でもあったのでござるか?」
俺がちょっと難しい顔をしていたのかもしれない。心配そうにしている。
ロビーは混んできていたので客室に戻って、続きを話すことにした。
「オンブ?乗り合い馬車の便乗隊でござるか?」
俺とジョセフィンの部屋で、先程商人らしい人物から聞いた話をユリウス達に説明した。
「そう。通称オンブってよばれてるんだけど。除雪魔法師のいる隊列の後を、こっそり付けて行く馬車隊のこと。除雪料を払わずに便乗している馬車隊だね。」
「商業旅団の後ろを走ってはいけないのであるか?偶々、前を行く旅団が遅れていたら、後ろに連なってしまう事もあろう。」
「そう。だからルール違反だけど、後ろをついてきたとしても別に罰則はないんだよね。
でも、もし雪が降ってる中走っていて、旅団の走った跡が積もっていても除雪できる人を乗せていないから危険なんだ。
そういうのをやるのは乗り合い馬車組合に加盟していない闇業者なんで、保障もなにもしてもらえない。
臨時便がでるなんていって募集したりするから気をつけてね。商業ギルドに確認すればわかるから。」
俺がそう話すと、デリックさんとトマソンの眉間の皺が一気に深くなった。
「商業旅団と、東西便とオンブ便が重なって宿が混んでいるのか。泊まれない者は困るのではないか?」
「そうなんだよね。まあ、オンブ便と確認したわけじゃないけど、馬車隊の到着が重なったみたいだよね。」
俺がそういうと、ユリウスがハッとした。
「あ!初代クレクレ君は、オンブ便に乗って来たでござるかな。」
「宿に来たタイミングが遅かったからその可能性はあるかもね。」
「だ、大丈夫でござるかな?」
心配そうなユリウスの様子を見て、マーギットさんが意外そうに言った。
「おや、クレクレされたのに心配であるか?」
「凍死したら可哀想でござる。それに初代クレクレ君は、クレクレ君といってもそこまでクレクレ君じゃなかったでござる。」
「そこまでクレクレ君じゃないとは‥‥。」
「安宿の情報をクレクレはしたでござるが、宿を取った後にしつこくしたりはなかったでござるよ。あと‥‥マルロイ氏達も心配でござる。」
心配にはなるところだが、この街の宿の状況を把握しているわけではない。馬車隊の到着が重なるような事は、時々あるだろうし何らかの救済設備があるのかもしれない。
旅慣れた商人なら、酒場に金を多く払って朝まで過ごすとかやっていそうだ。
気になるのは、やはり旅慣れていなさそうな貴族学園の学生のことかな。
そんな話をしていたら、廊下に配置していた魔コガネ虫が何か気配を感じ取ったようだ。誰か来たのかな。
一瞬だけ感覚共有をしたら、ぼんやりと二人の人影。見覚えが有るシルエットだ。
「‥‥マルロイ君達が来たかも。」
マルロイ君達は、ユリウスとマーギットさんが宿泊予定の部屋のドアの前に立っていた。ノックしていたんだろうけれど、俺達は隣の部屋にいたから聞こえなかったんだろう。
ユリウスが慌ててドアを開けると、困り果てたような顔の二人がいた。
「マルロイ氏!シン氏!どうしたでござるか?」
「ユリウス氏!そっちの部屋だったっぺ?」
「マーカス氏とジョス氏の部屋にいたでござるよ。部屋は見つからなかったでござるか?」
「トラブってるっぺ。」
「揉め事だす。」
同行している人物が受付を済ませるのを待っていたその男性は、ほっとした様子で雪がかかった袖を布で拭いていた。
しかし、王都からの馬車隊の話が少しひっかかった。
「王都からの馬車隊が連続で来ているんですか?」
「ああ、私達が到着する前と後に来たみたいだよ。後の方はアレだね。ここだけの話、オンブって奴だと思うよ。乗り合い馬車だけだったから。」
「ああ、なるほど‥‥。」
「吹雪いたりしたら危ないのにねぇ。」
「本当に‥‥。」
商人らしい男性との話を終えると、ユリウスが心配そうに話しかけて来た。
「何かまずい話でもあったのでござるか?」
俺がちょっと難しい顔をしていたのかもしれない。心配そうにしている。
ロビーは混んできていたので客室に戻って、続きを話すことにした。
「オンブ?乗り合い馬車の便乗隊でござるか?」
俺とジョセフィンの部屋で、先程商人らしい人物から聞いた話をユリウス達に説明した。
「そう。通称オンブってよばれてるんだけど。除雪魔法師のいる隊列の後を、こっそり付けて行く馬車隊のこと。除雪料を払わずに便乗している馬車隊だね。」
「商業旅団の後ろを走ってはいけないのであるか?偶々、前を行く旅団が遅れていたら、後ろに連なってしまう事もあろう。」
「そう。だからルール違反だけど、後ろをついてきたとしても別に罰則はないんだよね。
でも、もし雪が降ってる中走っていて、旅団の走った跡が積もっていても除雪できる人を乗せていないから危険なんだ。
そういうのをやるのは乗り合い馬車組合に加盟していない闇業者なんで、保障もなにもしてもらえない。
臨時便がでるなんていって募集したりするから気をつけてね。商業ギルドに確認すればわかるから。」
俺がそう話すと、デリックさんとトマソンの眉間の皺が一気に深くなった。
「商業旅団と、東西便とオンブ便が重なって宿が混んでいるのか。泊まれない者は困るのではないか?」
「そうなんだよね。まあ、オンブ便と確認したわけじゃないけど、馬車隊の到着が重なったみたいだよね。」
俺がそういうと、ユリウスがハッとした。
「あ!初代クレクレ君は、オンブ便に乗って来たでござるかな。」
「宿に来たタイミングが遅かったからその可能性はあるかもね。」
「だ、大丈夫でござるかな?」
心配そうなユリウスの様子を見て、マーギットさんが意外そうに言った。
「おや、クレクレされたのに心配であるか?」
「凍死したら可哀想でござる。それに初代クレクレ君は、クレクレ君といってもそこまでクレクレ君じゃなかったでござる。」
「そこまでクレクレ君じゃないとは‥‥。」
「安宿の情報をクレクレはしたでござるが、宿を取った後にしつこくしたりはなかったでござるよ。あと‥‥マルロイ氏達も心配でござる。」
心配にはなるところだが、この街の宿の状況を把握しているわけではない。馬車隊の到着が重なるような事は、時々あるだろうし何らかの救済設備があるのかもしれない。
旅慣れた商人なら、酒場に金を多く払って朝まで過ごすとかやっていそうだ。
気になるのは、やはり旅慣れていなさそうな貴族学園の学生のことかな。
そんな話をしていたら、廊下に配置していた魔コガネ虫が何か気配を感じ取ったようだ。誰か来たのかな。
一瞬だけ感覚共有をしたら、ぼんやりと二人の人影。見覚えが有るシルエットだ。
「‥‥マルロイ君達が来たかも。」
マルロイ君達は、ユリウスとマーギットさんが宿泊予定の部屋のドアの前に立っていた。ノックしていたんだろうけれど、俺達は隣の部屋にいたから聞こえなかったんだろう。
ユリウスが慌ててドアを開けると、困り果てたような顔の二人がいた。
「マルロイ氏!シン氏!どうしたでござるか?」
「ユリウス氏!そっちの部屋だったっぺ?」
「マーカス氏とジョス氏の部屋にいたでござるよ。部屋は見つからなかったでござるか?」
「トラブってるっぺ。」
「揉め事だす。」
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