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第3章
第187話 お騒がせな客
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ふと隣のテーブルに座っていた男性が、給仕に声をかけているのが聞こえた。
「おい、このパン固すぎるだろう。以前来たときはこんなじゃなかったぞ。」
「ああ、申し訳ございません。前に仕入れていた先のパン屋が怪我で休業中でして、仕入れ先を変えたのです。」
「そうなのか。しかし固すぎるのはなんとかならんのか。」
「申し訳ございません。」
確かに以前来た時には、パンが固かった印象はなかった。
今出ているパンは、保存や携帯向きのパンのようだ。
そういえば、路地の角のパン屋が閉まっていたな。怪我で休業というのはあの店のことだろうか。
「何!?満席だとぅ?」
「まあ、どうしましょう。」
店の入り口の方から怒ったような声が聞こえて来た。
ちらりと見やると、ローブを纏った男女数名。パッと見若い。もしかして学生かな。
「前に来た時は問題なく入れたぞ!」
「本日は、満席でございます。」
「なんとかしろ!俺はスヴェン・フォーゲルだ!」
ローブ集団のうち、背が高い男性が声を張り上げた。家名を名乗っているし貴族か。というか、多分学園の生徒だよなぁ。
ちらりと、ユリウスとマーギットさんの方を見ると、マーギットさんは興味無さげにシチューを食していて、ユリウスは固いパンを握りしめながら目をぱちくりしていた。
「もしかして知り合い?」
「魔導科の時に同じクラスだったでござる。」
「仲良かった?」
「あまり話す機会はなかったでござる。」
仲が良かった訳でもないが、悪かったわけでもないらしい。
店の入り口で大声で家名を名乗ったのは貴族だというアピールなんだろう。確かにあまり親しくなりたくないタイプかもしれない。
スヴェンと名乗った男から、魔力が漏れ出してきたのがわかった。まさか店の中で魔法を放ったりしないよね。
警戒して様子を伺っていたが、割とあっさりと店を出て行った。どうやら、同行していた人物が他の店の看板を見つけてそちらに向かったようだ。
ふぅ。と店全体で安堵したような空気が流れた。
「お騒がせしました。」
店主兼料理人らしき男性が、店内を見回して微笑んだ。
「この時期多いよねぇ。」
「まあ、よくあるこった。」
いくつかのテーブルから店主に労いの言葉がかかった。成る程、混み合ったいるシーズンにはよくあることらしい。
ほっとしたのもつかの間、すぐに店の扉が開いた。
「に、に、二名だす。せ、席はあるだすか?」
急いで来たのか、妙に息切れをしている二人組。また、魔導士風のローブを着ている。
店主がそのまま対応をしていたら、「ああーっ」と、脱力して落ち込んだ様子。
「つ、次行くだっぺ。」
「そ、そうだすな。希望を捨ててはいかんだす。」
「前進あるのみだっぺ。」
ちょっと訛りの有るしゃべり方をした二人組がヨロヨロと店をでようとしたとき、突然ユリウスが立ち上がった。
「あ!」
ユリウスの声に二人が振り返った。
「ゆ、ユリウス氏~?」
ユリウスの知り合い、というか同級生らしい。
「おい、このパン固すぎるだろう。以前来たときはこんなじゃなかったぞ。」
「ああ、申し訳ございません。前に仕入れていた先のパン屋が怪我で休業中でして、仕入れ先を変えたのです。」
「そうなのか。しかし固すぎるのはなんとかならんのか。」
「申し訳ございません。」
確かに以前来た時には、パンが固かった印象はなかった。
今出ているパンは、保存や携帯向きのパンのようだ。
そういえば、路地の角のパン屋が閉まっていたな。怪我で休業というのはあの店のことだろうか。
「何!?満席だとぅ?」
「まあ、どうしましょう。」
店の入り口の方から怒ったような声が聞こえて来た。
ちらりと見やると、ローブを纏った男女数名。パッと見若い。もしかして学生かな。
「前に来た時は問題なく入れたぞ!」
「本日は、満席でございます。」
「なんとかしろ!俺はスヴェン・フォーゲルだ!」
ローブ集団のうち、背が高い男性が声を張り上げた。家名を名乗っているし貴族か。というか、多分学園の生徒だよなぁ。
ちらりと、ユリウスとマーギットさんの方を見ると、マーギットさんは興味無さげにシチューを食していて、ユリウスは固いパンを握りしめながら目をぱちくりしていた。
「もしかして知り合い?」
「魔導科の時に同じクラスだったでござる。」
「仲良かった?」
「あまり話す機会はなかったでござる。」
仲が良かった訳でもないが、悪かったわけでもないらしい。
店の入り口で大声で家名を名乗ったのは貴族だというアピールなんだろう。確かにあまり親しくなりたくないタイプかもしれない。
スヴェンと名乗った男から、魔力が漏れ出してきたのがわかった。まさか店の中で魔法を放ったりしないよね。
警戒して様子を伺っていたが、割とあっさりと店を出て行った。どうやら、同行していた人物が他の店の看板を見つけてそちらに向かったようだ。
ふぅ。と店全体で安堵したような空気が流れた。
「お騒がせしました。」
店主兼料理人らしき男性が、店内を見回して微笑んだ。
「この時期多いよねぇ。」
「まあ、よくあるこった。」
いくつかのテーブルから店主に労いの言葉がかかった。成る程、混み合ったいるシーズンにはよくあることらしい。
ほっとしたのもつかの間、すぐに店の扉が開いた。
「に、に、二名だす。せ、席はあるだすか?」
急いで来たのか、妙に息切れをしている二人組。また、魔導士風のローブを着ている。
店主がそのまま対応をしていたら、「ああーっ」と、脱力して落ち込んだ様子。
「つ、次行くだっぺ。」
「そ、そうだすな。希望を捨ててはいかんだす。」
「前進あるのみだっぺ。」
ちょっと訛りの有るしゃべり方をした二人組がヨロヨロと店をでようとしたとき、突然ユリウスが立ち上がった。
「あ!」
ユリウスの声に二人が振り返った。
「ゆ、ユリウス氏~?」
ユリウスの知り合い、というか同級生らしい。
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