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第3章

第152話 令嬢の謎行動

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俺はざっくりとクラーラさんと知り合ったいきさつやら、俺から見た事件のあらましを説明した。
クラーラさん兄弟と猫ダンジョンで知り合い、そのダンジョンで得た猫の目魔石をペンダントに加工したものをクラーラさんがエルマーさんに贈ったこと。
その後、エルマーさんが図書委員でロセウス子爵令嬢と親しくしていて、クラーラさんとエルマーさんが言い争いをしていたこと。
授業の合間にエルマーさんのペンダントがなくなり、ラウム伯爵令息達が他のクラスにまで捜索していたこと。
そしてどうやらクラーラさんにペンダント盗難の罪を被せようとしていたということ。
そんなことを説明したが、ゼラルド伯爵令息が女子寮に忍び込もうとしたけど忍び込めなかった件は話していない。
未遂というのもあるけど、まだヴィルヘルムさん達が調査中だからね。

「へぇ~。それって無実の罪まででっち上げて婚約解消させようとしたんだね。怖~!」

俺の話を聞いたオズ兄が肩を竦めて、嫌そうに眉をひそめた。

「あの令嬢、高位貴族を狙ってたのかな。僕の所にも来たんだよ。」
「は?」
「裏庭を散歩していたら,木の上にあの令嬢が居てさぁ。子犬が木に登っちゃって降りられなくなっていたから助けようとして自分も木に登ったら降りられなくなったって泣いてたの。」
「子犬が木に登る?」
「そう!マー君、するどいね!子犬が木に登るわけないのにねぇ!」

オズ兄の話では、木の上に子犬を片腕で抱えた令嬢がいて、子犬と自分を抱きとめて欲しいとお願いされたのだそうだ。

「勿論、即行で学園の警備を呼んでやったよ。子犬がぐったりしていて凄く可哀想だったよ。」

オズ兄は朝に定期的に裏庭を散歩していたので、令嬢がオズ兄との出会いのきっかけを作る為に木に登ったのではないかと考えているらしい。
まあ、そうなんだろうな。木の上で子犬を抱えている時点で不自然極まりないし。

食事が運ばれて来たので一旦消音魔法を解除して、食事が配られてからもう一度消音魔法をかけ直した。
オズ兄はカフェテリアで食事をした事がないのか、少し珍しげに料理を眺めてからスプーンを手に取った。
スープを一口飲んで満足そうな様子だったので味はお気に召したようだ。
昼食を食べながら話を続けた。

「それで、ちょっと調べさせたら他の令息の事も狙っていたみたいだったんだよ。
特進科の生徒だけじゃなくて、騎士科の伯爵令息の事もの狙っていたみたいだったから、マー君も気をつけた方が良いと思うよ。
まあ、最近はシュバルツ公爵令息に集中していたみたいだったけどね。」
「騎士科の生徒も?」

訊いてみたら、騎士科の生徒の中でも女子に人気がある人物を狙っていたらしくて、寮の裏手でその生徒が自主トレをしている時に薮の陰に潜んでいる時があったらしい。
身を潜めていた時に剣が飛んで来て、悲鳴を上げて逃げ出して行ったそうだ。

剣が飛んで来てって‥‥フリードリヒ先輩達が言っていたような気がするな。フリードリヒ先輩かオスカー先輩を狙っていたんだろうか。
飛んで来た剣にビビって諦めてくれたんならまあ良かったけど。
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