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第3章
第142話 一件落着
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イリーがエルマーさんを怒鳴りつけた。エルマーさんがビクンッと肩を撥ねさせた。
それからエルマーさんは少し俯いて考えた様子を見せた後、ロセウス子爵令嬢とラウム伯爵令息、そしてカティス男爵令息の方に振り向いて、彼らの顔を見回した。
「君達‥‥もしかして、クラーラをわざと犯人にしようとしたのかい?何でそんな事をするんだ? 友達だと思ってたのに。」
「エルマー様、違うんです!私はただ‥‥。」
「マリエル‥‥、百歩譲って君達の勘違いだったとしても、明確な証拠もなく僕の婚約者を『薄汚い盗人令嬢』なんて呼んだ事は見逃せない。
ロセウス子爵家に抗議させてもらうからね。オーディス、コーエン、君達もだよ!」
「エ、エルマー様‥‥。」
焦った様子の彼らから目線を外して、エルマーさんがガクンと項垂れた。
「どうしてだよ‥‥。仲間だと思ってたのに‥‥。」
エルマーさんはそう言った後、力ない様子で顔を上げた。目が潤んでいる。それからゆっくりと、ゼラルド伯爵令息の方を向いた。
「クルト‥‥。」
ビクッ!とゼラルド伯爵令息が肩を震わせた。
青ざめた顔を恐る恐る上げて、上目遣いにエルマーさんの方を見た。
エルマーさんがゼラルド伯爵令息の方に向かって歩いて行く。
「クルト‥‥、君が証言するって‥‥。君も、彼らと同じようにクラーラを犯人にしようと思ったの?それとも‥‥勘違い‥‥?」
「エ、エルマー様‥‥あの‥‥僕‥‥。」
ゼラルド伯爵令息が何か言いかけた時、その手の中からスルリと何かが床に落ちた。コーン!と音を立て、床に転がる。
コロコロコロコロ‥‥。床に転がったそれは、青く輝いていた。
「‥‥‥。」
エルマーさんがそれを見てピタリと足を止めた。次の瞬間、騎士が集まって来てゼラルド伯爵令息を取り囲んだ。
ゼラルド伯爵令息の手からこぼれ落ちた物を手袋をした手で拾い上げたのは、フリードリヒ先輩だった。
拾い上げたものに顔を近づけて覗き込んだ後、エルマーさんに見せた。
「これ、猫の目魔石ですよね。あなたが盗まれたという品ですか?」
「クルト!?君が!?」
エルマーさんが哀しげな声を上げた。ゼラルド伯爵令息が目を見開いて首を横に振った。
「僕じゃ!僕じゃないです!僕はただ!マリエルに言われて!」
皆の視線がロセウス子爵令嬢に集まった。ロセウス子爵令嬢が激しく首を横に振った。
「違うわ!私はオーディスの案に乗っただけよ!」
「マリエル!」
ラウム伯爵令息が制止しようとして声をあげたが、ロセウス子爵令嬢は続けた。
「だってオーディス言ったもの!侯爵令嬢が犯人になれば、エルマー様との婚約が破棄されて、私が婚約者になれるって。
それで上手くすれば、高価な猫の目魔石も手に入るから、売ったお金を山分けしようって。」
「マリエルゥ!」
ラウム伯爵令息の叫びのような声が響き渡った。
騎士達がラウム伯爵令息達を取り囲んで何処かに連れて行った。ふと、前方の席を見ると、トリー殿下達も席を立って彼らの様子を見つめていた。
その中でベーレンドルフ宰相子息が面白くなさそうに眉を顰めていた。
あいつまで辿り着かなかったなぁ‥‥。
それからエルマーさんは少し俯いて考えた様子を見せた後、ロセウス子爵令嬢とラウム伯爵令息、そしてカティス男爵令息の方に振り向いて、彼らの顔を見回した。
「君達‥‥もしかして、クラーラをわざと犯人にしようとしたのかい?何でそんな事をするんだ? 友達だと思ってたのに。」
「エルマー様、違うんです!私はただ‥‥。」
「マリエル‥‥、百歩譲って君達の勘違いだったとしても、明確な証拠もなく僕の婚約者を『薄汚い盗人令嬢』なんて呼んだ事は見逃せない。
ロセウス子爵家に抗議させてもらうからね。オーディス、コーエン、君達もだよ!」
「エ、エルマー様‥‥。」
焦った様子の彼らから目線を外して、エルマーさんがガクンと項垂れた。
「どうしてだよ‥‥。仲間だと思ってたのに‥‥。」
エルマーさんはそう言った後、力ない様子で顔を上げた。目が潤んでいる。それからゆっくりと、ゼラルド伯爵令息の方を向いた。
「クルト‥‥。」
ビクッ!とゼラルド伯爵令息が肩を震わせた。
青ざめた顔を恐る恐る上げて、上目遣いにエルマーさんの方を見た。
エルマーさんがゼラルド伯爵令息の方に向かって歩いて行く。
「クルト‥‥、君が証言するって‥‥。君も、彼らと同じようにクラーラを犯人にしようと思ったの?それとも‥‥勘違い‥‥?」
「エ、エルマー様‥‥あの‥‥僕‥‥。」
ゼラルド伯爵令息が何か言いかけた時、その手の中からスルリと何かが床に落ちた。コーン!と音を立て、床に転がる。
コロコロコロコロ‥‥。床に転がったそれは、青く輝いていた。
「‥‥‥。」
エルマーさんがそれを見てピタリと足を止めた。次の瞬間、騎士が集まって来てゼラルド伯爵令息を取り囲んだ。
ゼラルド伯爵令息の手からこぼれ落ちた物を手袋をした手で拾い上げたのは、フリードリヒ先輩だった。
拾い上げたものに顔を近づけて覗き込んだ後、エルマーさんに見せた。
「これ、猫の目魔石ですよね。あなたが盗まれたという品ですか?」
「クルト!?君が!?」
エルマーさんが哀しげな声を上げた。ゼラルド伯爵令息が目を見開いて首を横に振った。
「僕じゃ!僕じゃないです!僕はただ!マリエルに言われて!」
皆の視線がロセウス子爵令嬢に集まった。ロセウス子爵令嬢が激しく首を横に振った。
「違うわ!私はオーディスの案に乗っただけよ!」
「マリエル!」
ラウム伯爵令息が制止しようとして声をあげたが、ロセウス子爵令嬢は続けた。
「だってオーディス言ったもの!侯爵令嬢が犯人になれば、エルマー様との婚約が破棄されて、私が婚約者になれるって。
それで上手くすれば、高価な猫の目魔石も手に入るから、売ったお金を山分けしようって。」
「マリエルゥ!」
ラウム伯爵令息の叫びのような声が響き渡った。
騎士達がラウム伯爵令息達を取り囲んで何処かに連れて行った。ふと、前方の席を見ると、トリー殿下達も席を立って彼らの様子を見つめていた。
その中でベーレンドルフ宰相子息が面白くなさそうに眉を顰めていた。
あいつまで辿り着かなかったなぁ‥‥。
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