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第3章
第132話 魔鳥的会話
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「軍内で権力を持っているアイヴリンガー家とシュバルツ公爵家の婚約を破談させるためだったとしたら‥‥、クラーラさんを犯人に仕立て上げようとするかもしれない‥‥。」
「え!?そういうこと?あ!じゃあ、あの良くわからない令嬢もベーレンドルフが裏で手を引いていたりして!」
エドワードの言葉で、ローズピンクの髪色が脳裏をよぎった。
「あれか‥‥。なんかピンクの‥‥。」
‥‥やばい、記憶をちょっと封印してたのか名前がすぐ出て来ない。
「マリエル・ロセウス子爵令嬢、ですね。」
ジョセフィンがフォローしてくれる。うん、思い出した。ちょっとおじいちゃんみたいで恥ずかしいな。あまり思い出したくなかったからだよ。言い訳だけどね!
「俺の時みたいなのを使ってたかもしれないよ。この間は持っていなかったみだいだけど‥‥。」
ジークヴァルドさんが苦々しい顔をしてボソリと言った。以前ファシナの媚石を使われた事を思い出したのだろう。
ファシナの媚石は最初に気を引くような使い方をされていると、証拠として見つけ難いんだよな。
まあ、ファシナの媚石が使われていたとしても、手段のうちの一つでしかない。
誰かがロセウス子爵令嬢をハニートラップ要員として使い、エルマーさんとクラーラさんの婚約を破談させようとしているという前提で調査をしてみることにした。
念のため、エドワードには自分から聞き込みに行ったりしないように釘を刺しておいた。
所持品検査のことでかなり腹を立ててたからね。
俺が釘を刺すとエドワードはちょっと唇を尖らせた後、何か気がついた事があったら知らせる!と意気込んで言っていた。
「ちょっとヴィルヘルムさんにも連絡しようか。」
カフェテリアでヴィルヘルムさんとエドワードと別れた後の帰り道、俺はそう言うと魔鳥を召還した。
「ヴィルヘルムさんのところに送還魔法陣預けてましたっけ?」
冬仕様なのかふっくら丸い魔鳥を見てジョセフィンが首を傾げた。
「いや,本来の使い方で。」
手紙を書いて魔鳥の足にくくり付けた。そして空に放つと、「ピ」とひと鳴きして魔鳥のピーハチが飛んで行った。
茜色の空に羽ばたいて行くピーハチのシルエットを見送り帰路についた。
商会の居住部屋に着いた頃、魔鳥のピーハチから報告がきた。報告と言っても何か言ってくるわけではない。任務に進展があったことを教えてくれるだけだ。感覚共有をすると、魔鳥の傍にヴィルヘルムさんがいるのが分かった。
『‥‥返事を足にくくり付けたら持って行ってくれるかい?俺もすぐ向かうけど。お、頷いた!?』
ヴィルヘルムさんがピーハチの足下を覗き込んでピーハチに話しかけてた。ピーハチが頷いたので驚いている様子だ。頷くようにこっちでピーハチに指示を出したのだけど。
『じゃあ、返事を書くからな。ちょっと待っていてくれよ。』
ピーハチを頷かせる。
『そういや、マーカスは今何処にいるんだ?まだ学園か?』
しまった、居場所を手紙に書いてなかった。首を振らせておこう。
『違う?どこだ?寮に住んでなかったよな?自宅ってどこだ?』
ああ、もどかしい。
『王都にプリメレモン邸ってあったっけか?どこだ?』
ヴィルヘルムさんに、商会の事伝えてなかったっけ。困ったな、魔鳥がしゃべれるといいんだけど。
『ピ』
ピーハチが小さく鳴いた。
『うん?』
伝わらないよねー。今から行くって言ってたし付いて来てもらうか。
ピーハチを飛ばして窓辺に停まらせた。
『ピピピ』
ヴィルヘルムさんに呼びかけた後、ピーハチが窓の外に飛び立つ。
『あ、おい!』
ピーハチを旋回させて、近くの木の枝に停まらせた。
ヴィルヘルムさんが追いかけて窓から身体を乗り出したのが視界に映った。
『ピピピ』
『何?付いてこいってことか?』
『ピ』
「え!?そういうこと?あ!じゃあ、あの良くわからない令嬢もベーレンドルフが裏で手を引いていたりして!」
エドワードの言葉で、ローズピンクの髪色が脳裏をよぎった。
「あれか‥‥。なんかピンクの‥‥。」
‥‥やばい、記憶をちょっと封印してたのか名前がすぐ出て来ない。
「マリエル・ロセウス子爵令嬢、ですね。」
ジョセフィンがフォローしてくれる。うん、思い出した。ちょっとおじいちゃんみたいで恥ずかしいな。あまり思い出したくなかったからだよ。言い訳だけどね!
「俺の時みたいなのを使ってたかもしれないよ。この間は持っていなかったみだいだけど‥‥。」
ジークヴァルドさんが苦々しい顔をしてボソリと言った。以前ファシナの媚石を使われた事を思い出したのだろう。
ファシナの媚石は最初に気を引くような使い方をされていると、証拠として見つけ難いんだよな。
まあ、ファシナの媚石が使われていたとしても、手段のうちの一つでしかない。
誰かがロセウス子爵令嬢をハニートラップ要員として使い、エルマーさんとクラーラさんの婚約を破談させようとしているという前提で調査をしてみることにした。
念のため、エドワードには自分から聞き込みに行ったりしないように釘を刺しておいた。
所持品検査のことでかなり腹を立ててたからね。
俺が釘を刺すとエドワードはちょっと唇を尖らせた後、何か気がついた事があったら知らせる!と意気込んで言っていた。
「ちょっとヴィルヘルムさんにも連絡しようか。」
カフェテリアでヴィルヘルムさんとエドワードと別れた後の帰り道、俺はそう言うと魔鳥を召還した。
「ヴィルヘルムさんのところに送還魔法陣預けてましたっけ?」
冬仕様なのかふっくら丸い魔鳥を見てジョセフィンが首を傾げた。
「いや,本来の使い方で。」
手紙を書いて魔鳥の足にくくり付けた。そして空に放つと、「ピ」とひと鳴きして魔鳥のピーハチが飛んで行った。
茜色の空に羽ばたいて行くピーハチのシルエットを見送り帰路についた。
商会の居住部屋に着いた頃、魔鳥のピーハチから報告がきた。報告と言っても何か言ってくるわけではない。任務に進展があったことを教えてくれるだけだ。感覚共有をすると、魔鳥の傍にヴィルヘルムさんがいるのが分かった。
『‥‥返事を足にくくり付けたら持って行ってくれるかい?俺もすぐ向かうけど。お、頷いた!?』
ヴィルヘルムさんがピーハチの足下を覗き込んでピーハチに話しかけてた。ピーハチが頷いたので驚いている様子だ。頷くようにこっちでピーハチに指示を出したのだけど。
『じゃあ、返事を書くからな。ちょっと待っていてくれよ。』
ピーハチを頷かせる。
『そういや、マーカスは今何処にいるんだ?まだ学園か?』
しまった、居場所を手紙に書いてなかった。首を振らせておこう。
『違う?どこだ?寮に住んでなかったよな?自宅ってどこだ?』
ああ、もどかしい。
『王都にプリメレモン邸ってあったっけか?どこだ?』
ヴィルヘルムさんに、商会の事伝えてなかったっけ。困ったな、魔鳥がしゃべれるといいんだけど。
『ピ』
ピーハチが小さく鳴いた。
『うん?』
伝わらないよねー。今から行くって言ってたし付いて来てもらうか。
ピーハチを飛ばして窓辺に停まらせた。
『ピピピ』
ヴィルヘルムさんに呼びかけた後、ピーハチが窓の外に飛び立つ。
『あ、おい!』
ピーハチを旋回させて、近くの木の枝に停まらせた。
ヴィルヘルムさんが追いかけて窓から身体を乗り出したのが視界に映った。
『ピピピ』
『何?付いてこいってことか?』
『ピ』
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