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第3章

第122話 容疑者?

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剣術の授業では動きやすい服装に着替えるので、エルマーさんは猫の目魔石のペンダントははずしてロッカーに入れていたそうだ。
そして授業が終わって着替えに戻って来たら、ペンダントが無くなっていた事に気がついたらしい。オーディスさんとコーエンさんが中心になってどこかにペンダントが紛れ込んでいないかとクラス中の他の生徒の荷物を調べたというのだ。
特進科だから他の生徒も高位貴族だよね。騒ぎになってない?

「授業潰すって‥‥。先生は何も言わなかったのですか?」
「オーディスが‥‥『今調べないと隠蔽の機会を与えてしまう可能性がある。そうなったら教師側にも責任が生じる』と言ってな‥‥。」
「クラス中犯人扱いでござるか‥‥。」

ユリウスは今度は少し控えめな声で言った。

「で、結局見つかったの?」

トマソンが、デリックさんと同じくらい眉間に皺を寄せながら問いかけた。デリックさんが苦々しい顔をして首を横に振った。

「いや‥‥見つからずだ。」

問題が解決していない状態なので憂鬱になっているらしい。クラス中嫌な空気が流れているそうだ。
デリックさんがふぅーっと深い溜め息をついた。

「それは大変だったであるな。‥‥美味い食事をとるのも気分を変えるには良いであるぞ。」

マーギットさんはそう言うとデリックさんにメニューを差し出した。

「‥‥。」

デリックさんは黙ったまま頷いてメニューを受け取った。そして目線をメニューに落とした。

「‥‥無くなったというペンダントは高価なものらしくてな‥‥。シュヴァルツ公爵令息も動揺していたようだったよ。」

デリックさんは注文を決めたのかメニューをトマソンに手渡した。俺とジョセフィンはもう一冊のメニューを眺めて注文を決めた。

一旦消音魔法を解除して料理をオーダーし、また消音魔法をかける

「猫の目魔石ってこの間身に付けていたやつかな。」

エドワードが言った。

「猫の目魔石は高いでござるか?」
「うーん‥‥あの宝飾品だったら100~150万ゴルくらいかな。」
「高!そんなにあったら授業料!あ‥‥!」

ユリウスはハッとしてデリックさんを見た。

「経済的に余裕がない事を知られているから疑われる事を気にしているでござるか?」
「疑われたくないから、ロッカーの荷物も鞄の中身も全部見せたよ。着ているものも念入りに確認してもらった。それで疲れたのもある。」

はあ~、とデリックさんが項垂れた。

「そうだったでござるか‥‥。大変だったでござるな。」

ユリウスがしゅーんと肩を落とした。マーギットさんが腕組みをしながら言った。

「それで疑いは晴れたようであるか?」
「ああ。ラウム伯爵令息に『君ではないだろう』と言われたよ。」
「なら、良かったである。それならもう忘れてしまうである。さあ、食事をしよう。」

うん?なんでラウム伯爵令息はそんなに偉そうなんだ?そもそもクラス全員なら自分達も対象じゃないか?もやっとした発言する前に、丁度、料理が運ばれて来た。

食事中は暗くならないようになるべく猫の目魔石の話題はださないように意識した。
話題を変えたいのもあって「晩秋の夕べ」の話になる。
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