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第3章
第80話 くじ運は良かったけど
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無事(?)買い物に行く約束をしたところで、曲が終わった。
二人きりでの買い物じゃないけど、前は、荷物持ちにも参加できなかったんだから、進歩だ。‥‥うん、進歩だ。
少しばかり自分に層いい聞かせながら丁寧にお辞儀をして、笑顔で手を振って別れてから、次のパートナーの番号の人を探しに行く。
自分と同じ番号札を持っている令嬢を探して周囲を見回すと、トマソンとユリウスが令嬢二人と話をしているのが見えた。
トマソンが眉間に皺を寄せて不機嫌そうな顔をしている。ローズピンクの髪色の令嬢が、何か機嫌悪そうにしゃべっている。
栗色の髪の令嬢は戸惑った表情を浮かべている。オロオロしている感じ。
ユリウスはこちらに背中を向けているので表情は見えないけど、キョロキョロと顔を動かしている。
スタスタと、ディートフリードが4人に近づいていった。
「たかだかダンスレッスンの1曲のパートナーだぞ。その程度で揉めないでくれ。」
ディートフリードの良く通る声がホールに響いた。
ダンス講師の先生も気がついたらしくて彼らのいる方に近づいて行っている。
注目が集まって、周囲が静かになる。クラヴィーアの演奏も止まった。
「レッスンの1曲とはいえ、‥‥家の事情だ。」
トマソンが、むすっとした様子で言った。
くじ引きのパートナーはむやみに交換するのは禁止というルールになっているけど、貴族の派閥などで、敢えて仲良くすることを避けている場合などには
無理強いはされない。
レッスンとはいえ、政敵の子息子女同士でダンスを踊るのはトラブルの元になりかねないからだ。
それを聞いて、ディートフリードの口調が少し柔らかくなった。
「‥‥そうか‥‥。それで、パートナー交換となったのなら交換すればいい話じゃないか?」
「拙者と交換するのが嫌だと言われたでござる。」
ディートフリードが聞き込みを続けると、ユリウスが、ちょっと元気がない声で言った。
「だって、変な手袋つけてるんですもの!」
ローズピンクの巻き毛の令嬢が、頬を膨らませた。
「手袋ははずす訳にはいかないでござる!」
‥‥成る程、家の事情でパートナー交換をしようとしたら、交換相手のユリウスが拒否されたってことか。ユリウス、巻き込まれて気の毒に‥‥。
「貴方達は、次のダンスは見学になさい。」
揉め事は先生の一言で終了した。
四人はダンスは踊らず、ホールの隅で見学することになったようだ。
ユリウスと茶髪の令嬢は、ダンスを踊っても良かったんじゃないのか?とばっちりだよなぁ。
結局微妙な空気のままダンスの授業が終わった。
フローラと買い物に行く約束をして、幸せ気分だったのに。
でも、せっかくフローラと出かける約束ができたんだから、テンション下げている場合じゃないよな。
「おお、買い物の約束ですか。」
ダンスの授業の後、次の教室に移動しながらジョセフィンに言うと、ジョセフィンの口元がなんかニヨニヨと動いた。
「ああ、本格的に冬になる前に‥‥と、フローラの気が変わらないうちに‥‥。」
「ちょい弱気ですね。お友達にも声をかけると言っていたのなら、こちらも、騎士科メンバーに声をかけたほうがいいんじゃないですか。」
「そういうもの?」
「全員の荷物持ちとか期待されていたらどうします?」
「おお‥‥。」
二人きりでの買い物じゃないけど、前は、荷物持ちにも参加できなかったんだから、進歩だ。‥‥うん、進歩だ。
少しばかり自分に層いい聞かせながら丁寧にお辞儀をして、笑顔で手を振って別れてから、次のパートナーの番号の人を探しに行く。
自分と同じ番号札を持っている令嬢を探して周囲を見回すと、トマソンとユリウスが令嬢二人と話をしているのが見えた。
トマソンが眉間に皺を寄せて不機嫌そうな顔をしている。ローズピンクの髪色の令嬢が、何か機嫌悪そうにしゃべっている。
栗色の髪の令嬢は戸惑った表情を浮かべている。オロオロしている感じ。
ユリウスはこちらに背中を向けているので表情は見えないけど、キョロキョロと顔を動かしている。
スタスタと、ディートフリードが4人に近づいていった。
「たかだかダンスレッスンの1曲のパートナーだぞ。その程度で揉めないでくれ。」
ディートフリードの良く通る声がホールに響いた。
ダンス講師の先生も気がついたらしくて彼らのいる方に近づいて行っている。
注目が集まって、周囲が静かになる。クラヴィーアの演奏も止まった。
「レッスンの1曲とはいえ、‥‥家の事情だ。」
トマソンが、むすっとした様子で言った。
くじ引きのパートナーはむやみに交換するのは禁止というルールになっているけど、貴族の派閥などで、敢えて仲良くすることを避けている場合などには
無理強いはされない。
レッスンとはいえ、政敵の子息子女同士でダンスを踊るのはトラブルの元になりかねないからだ。
それを聞いて、ディートフリードの口調が少し柔らかくなった。
「‥‥そうか‥‥。それで、パートナー交換となったのなら交換すればいい話じゃないか?」
「拙者と交換するのが嫌だと言われたでござる。」
ディートフリードが聞き込みを続けると、ユリウスが、ちょっと元気がない声で言った。
「だって、変な手袋つけてるんですもの!」
ローズピンクの巻き毛の令嬢が、頬を膨らませた。
「手袋ははずす訳にはいかないでござる!」
‥‥成る程、家の事情でパートナー交換をしようとしたら、交換相手のユリウスが拒否されたってことか。ユリウス、巻き込まれて気の毒に‥‥。
「貴方達は、次のダンスは見学になさい。」
揉め事は先生の一言で終了した。
四人はダンスは踊らず、ホールの隅で見学することになったようだ。
ユリウスと茶髪の令嬢は、ダンスを踊っても良かったんじゃないのか?とばっちりだよなぁ。
結局微妙な空気のままダンスの授業が終わった。
フローラと買い物に行く約束をして、幸せ気分だったのに。
でも、せっかくフローラと出かける約束ができたんだから、テンション下げている場合じゃないよな。
「おお、買い物の約束ですか。」
ダンスの授業の後、次の教室に移動しながらジョセフィンに言うと、ジョセフィンの口元がなんかニヨニヨと動いた。
「ああ、本格的に冬になる前に‥‥と、フローラの気が変わらないうちに‥‥。」
「ちょい弱気ですね。お友達にも声をかけると言っていたのなら、こちらも、騎士科メンバーに声をかけたほうがいいんじゃないですか。」
「そういうもの?」
「全員の荷物持ちとか期待されていたらどうします?」
「おお‥‥。」
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