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第3章
第74話 カフェテリアで内緒話
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咄嗟に消音魔法を解除したら、ユリウスの声が響いた。
「教科書貰ったでござっ‥‥!あ~!!」
机に足を引っかけたらしく、つんのめった。
手にしていた教科書がすっとぶ。
こちらに飛んで来た教科書をキャッチして、ユリウスに渡してやる。
「かたじけないでござる!」
ユリウスが、笑顔で言った後、頭を下げた。
俺はちらりと、トマソンの方を見た。
「ね、時間がある時に貰いに行った方が安全だろ?」
トマソンは眉間に皺を寄せて、ちょっと渋い顔。ユリウスは散らばった教科書を拾い集めていた。
休暇明け初の昼休みは、学科共有のカフェテリアで、エドワードが待っていた。
「どうだった?猫ダンジョンは。」
「言う程『猫』じゃなかった。まあ、『猫』だったけど。」
「どっちだよ。」
クスクスとエドワードが笑う。
事前に、騎士科の皆と猫ダンジョンに行くことは伝えてあった。興味深そうにしていたので誘ってはみたけど、戦闘経験がほぼないそうで、
土産話だけ約束していたのだ。
「いわゆる可愛らしい猫は、第一階層以外いなくて、大型の猫型魔獣ばっかりだったんだよ。」
ヘンリーが第一階層でテンションが上がりすぎて、大変だった話もすると、エドワードはケラケラ笑った。
「いいなー。楽しそうでうらやましくなっちゃうよ。‥‥あ、今日特進科から一人騎士科に行かなかった?」
「ああ、トマソン・ダリス伯爵令息のこと?来たよ。」
「そうそう。その手があったのか、ってちょっと思っちゃった。騎士科に行ったら、マーカスとジョスに何時でも会えるんだよね。
まあ、僕は、武術できないから、もしもって話なだけだけど。」
エドワードは、実家の領地の財政が厳しくて授業料が払えなくなるかもしれなかったときの事を思い出したようだった。
「会うのは何時でもできるんだから、わざわざ転属しなくてよくないか?」
「そうか。そうだね!」
エドワードがくすぐったそうに笑った。
そして、ふと思い出したように目を見開いて、周囲をキョロキョロと見回してから、俺の方を見た。
「マーカス‥‥。あの‥‥、パッってやつ、ちょっとやってくれる?」
そう言って軽く手を振る。消音魔法の事か。
言われた通りに手を振って消音魔法を展開する。唇が読まれないように周囲から見え難くもしておく。
エドワードは、確認するように周辺を見回した。そしてふーっと息を吐き出した。
「流石。‥‥あ、あのね。もし、話したく無い事だったら、答えなくていいんだけど。‥‥以前から気になってたんだけど。マーカスは従兄弟と仲はよくないの?」
消音魔法をかけたことは確認しているのに、小声になってエドワードが言った。従兄弟って‥‥、トリー殿下のことか。
「‥‥仲はいいよ。仲いいけど、俺が従兄弟だって事は知らないと思う。」
「え、名乗ってないってこと?学園で交流はあるの?」
「学園で交流はあるけど、学園に入るまでは会った事がなかったからね。プリメレモンとしか言ってない。」
「そっかー。うーん。どうしようかなぁ。」
エドワードはサーモンのソテーを口に放り込んだ後、カトラリーを置いて、目線を天井に移した。
「教科書貰ったでござっ‥‥!あ~!!」
机に足を引っかけたらしく、つんのめった。
手にしていた教科書がすっとぶ。
こちらに飛んで来た教科書をキャッチして、ユリウスに渡してやる。
「かたじけないでござる!」
ユリウスが、笑顔で言った後、頭を下げた。
俺はちらりと、トマソンの方を見た。
「ね、時間がある時に貰いに行った方が安全だろ?」
トマソンは眉間に皺を寄せて、ちょっと渋い顔。ユリウスは散らばった教科書を拾い集めていた。
休暇明け初の昼休みは、学科共有のカフェテリアで、エドワードが待っていた。
「どうだった?猫ダンジョンは。」
「言う程『猫』じゃなかった。まあ、『猫』だったけど。」
「どっちだよ。」
クスクスとエドワードが笑う。
事前に、騎士科の皆と猫ダンジョンに行くことは伝えてあった。興味深そうにしていたので誘ってはみたけど、戦闘経験がほぼないそうで、
土産話だけ約束していたのだ。
「いわゆる可愛らしい猫は、第一階層以外いなくて、大型の猫型魔獣ばっかりだったんだよ。」
ヘンリーが第一階層でテンションが上がりすぎて、大変だった話もすると、エドワードはケラケラ笑った。
「いいなー。楽しそうでうらやましくなっちゃうよ。‥‥あ、今日特進科から一人騎士科に行かなかった?」
「ああ、トマソン・ダリス伯爵令息のこと?来たよ。」
「そうそう。その手があったのか、ってちょっと思っちゃった。騎士科に行ったら、マーカスとジョスに何時でも会えるんだよね。
まあ、僕は、武術できないから、もしもって話なだけだけど。」
エドワードは、実家の領地の財政が厳しくて授業料が払えなくなるかもしれなかったときの事を思い出したようだった。
「会うのは何時でもできるんだから、わざわざ転属しなくてよくないか?」
「そうか。そうだね!」
エドワードがくすぐったそうに笑った。
そして、ふと思い出したように目を見開いて、周囲をキョロキョロと見回してから、俺の方を見た。
「マーカス‥‥。あの‥‥、パッってやつ、ちょっとやってくれる?」
そう言って軽く手を振る。消音魔法の事か。
言われた通りに手を振って消音魔法を展開する。唇が読まれないように周囲から見え難くもしておく。
エドワードは、確認するように周辺を見回した。そしてふーっと息を吐き出した。
「流石。‥‥あ、あのね。もし、話したく無い事だったら、答えなくていいんだけど。‥‥以前から気になってたんだけど。マーカスは従兄弟と仲はよくないの?」
消音魔法をかけたことは確認しているのに、小声になってエドワードが言った。従兄弟って‥‥、トリー殿下のことか。
「‥‥仲はいいよ。仲いいけど、俺が従兄弟だって事は知らないと思う。」
「え、名乗ってないってこと?学園で交流はあるの?」
「学園で交流はあるけど、学園に入るまでは会った事がなかったからね。プリメレモンとしか言ってない。」
「そっかー。うーん。どうしようかなぁ。」
エドワードはサーモンのソテーを口に放り込んだ後、カトラリーを置いて、目線を天井に移した。
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