50 / 324
第2章
第49話 危機回避?
しおりを挟む
翌朝早朝、トリー殿下と、薔薇園の奥の訓練室で待ち合わせる。
訓練室に向かう途中でジョセフィンは昨日のアインホルン侯爵令息の話をした。
アインホルン侯爵令息は、知った顔を見かけたから思わず追ってしまったと言っただけで
それ以上は何も言わなかったそうだ。
路地裏に入るのを止めた時の様子からして、会って嬉しい相手を追いかけたという雰囲気ではなかった。
マキシミリアン先生も、そう感じたのか、その場では追求しなかったようだ。
訓練室にやってきたトリー殿下が、笑顔で手を振って来た。
昨日の事で心配していたので、笑顔を見るとほっとする。
事件の事で危機感を感じたのか、自室で召還魔法を練習してきたという。
少し寝不足なのか、それとも昨日の出来事を引き摺っているのか、あまり顔色がよくない。
それでも12回目で召還魔法に成功した。
ほーっと、安堵の息を漏らしたトリー殿下は、やっと笑顔を見せた。
「よかった。これで僕も、昨日みたいな事が有った時なんとかできそう。」
やはりショックだったようだ。
王城では緊急の会議が開かれ、エステラ王国への対応が話し合われたという。
今回はトリー殿下に危害は加わえられてはいない。
エステラ側は、エステラ王国の騎士が剣を抜いたのは、虫を追い払う為で、攻撃の意思はなかったと、主張している。
エステラ王国と戦争をした場合、メリットとデメリットはどうなのか。
宰相を中心に話がまとめられつつあって、エステラ王国に賠償を請求することで落ち着きそうだとのことだ。
相手側の姫君が、トリー殿下に直接会って謝罪がしたいといってきているらしいけど、トリー殿下は会いたくないと拒否しているといいう。
そうだよな。
なんにせよ、戦争が回避できそうなら、良かったのかな。
昨日の事を考えるとトリー殿下はストレスを感じるようなので、新たな魔蜂のテイミングの練習に集中することにした。
エルストベルクの屋敷の使用人達が、魔蜂を獲ってきてくれていたのだ。
魔蜂はテイミング完了していない状態で掌に乗せると可能性があるので、氷魔法で周囲を氷で囲い、ある程度元気のない状態にしてからテイミングを試したら
うまくいった。
*******
騎士科のクラスに行くと、前日の課外授業の話題で持ち切りとなっていた。
半数程の班が荷物持ちをさせられていたという。
引率の先生は、騎士班がすんなり荷物持ちをした場合は、その場では何も言わず、後で注意するらしい。
身分差で断れない場合も多いから、減点等はないようだが、手が塞がっていていざという時対応できるのか、考える事が大事なんだと。
トリー殿下のいた班も同様だったようだ。
特進科の人達が買い物をした荷物を抱えていて、あのエステラ王国の姫君が近づいて来た時、荷物を放り出して対応していいかどいうか迷って
即座に反応ができなかったという。結局、正規で護衛をしていた騎士達が対応をしていた。騎士科クラスの班が実行したのは、
護衛騎士に指示されて、特進科の人達を馬車に促すことだけだったようだ。
荷物持ち自体を頼まれなかった班もいたけど、断ったのは、俺のいた班だけだったようだ。
「怖い物知らずだよね。」
周りからは少し呆れたように言われたけど、トリー殿下のところにいた班が、荷物のせいで、対応が出来なかったという事実があって、
どうやって断るのがいいか、なんて話に発展していた。
ヴォルフガング先生曰く、気構えとして意識していればいいという。
王宮所属の騎士になった場合は、まず、荷物持ちなど命じられる事はないそうだ。
地方領の騎士となった場合、昨日のように荷物持ちを命じられるケースも、あるだろうけれど、他に緊急時に対応できる騎士もいるなら、大事にはならない、と。
「だけど、護衛対象が怪我でもした場合、剣が抜けなかったと、責任を負わせられる場合もあるからな。気をつけろよー。」
ヴォルフガング先生が軽い口調でいうけど、そんな事態になったら最悪じゃないかと思う。
訓練室に向かう途中でジョセフィンは昨日のアインホルン侯爵令息の話をした。
アインホルン侯爵令息は、知った顔を見かけたから思わず追ってしまったと言っただけで
それ以上は何も言わなかったそうだ。
路地裏に入るのを止めた時の様子からして、会って嬉しい相手を追いかけたという雰囲気ではなかった。
マキシミリアン先生も、そう感じたのか、その場では追求しなかったようだ。
訓練室にやってきたトリー殿下が、笑顔で手を振って来た。
昨日の事で心配していたので、笑顔を見るとほっとする。
事件の事で危機感を感じたのか、自室で召還魔法を練習してきたという。
少し寝不足なのか、それとも昨日の出来事を引き摺っているのか、あまり顔色がよくない。
それでも12回目で召還魔法に成功した。
ほーっと、安堵の息を漏らしたトリー殿下は、やっと笑顔を見せた。
「よかった。これで僕も、昨日みたいな事が有った時なんとかできそう。」
やはりショックだったようだ。
王城では緊急の会議が開かれ、エステラ王国への対応が話し合われたという。
今回はトリー殿下に危害は加わえられてはいない。
エステラ側は、エステラ王国の騎士が剣を抜いたのは、虫を追い払う為で、攻撃の意思はなかったと、主張している。
エステラ王国と戦争をした場合、メリットとデメリットはどうなのか。
宰相を中心に話がまとめられつつあって、エステラ王国に賠償を請求することで落ち着きそうだとのことだ。
相手側の姫君が、トリー殿下に直接会って謝罪がしたいといってきているらしいけど、トリー殿下は会いたくないと拒否しているといいう。
そうだよな。
なんにせよ、戦争が回避できそうなら、良かったのかな。
昨日の事を考えるとトリー殿下はストレスを感じるようなので、新たな魔蜂のテイミングの練習に集中することにした。
エルストベルクの屋敷の使用人達が、魔蜂を獲ってきてくれていたのだ。
魔蜂はテイミング完了していない状態で掌に乗せると可能性があるので、氷魔法で周囲を氷で囲い、ある程度元気のない状態にしてからテイミングを試したら
うまくいった。
*******
騎士科のクラスに行くと、前日の課外授業の話題で持ち切りとなっていた。
半数程の班が荷物持ちをさせられていたという。
引率の先生は、騎士班がすんなり荷物持ちをした場合は、その場では何も言わず、後で注意するらしい。
身分差で断れない場合も多いから、減点等はないようだが、手が塞がっていていざという時対応できるのか、考える事が大事なんだと。
トリー殿下のいた班も同様だったようだ。
特進科の人達が買い物をした荷物を抱えていて、あのエステラ王国の姫君が近づいて来た時、荷物を放り出して対応していいかどいうか迷って
即座に反応ができなかったという。結局、正規で護衛をしていた騎士達が対応をしていた。騎士科クラスの班が実行したのは、
護衛騎士に指示されて、特進科の人達を馬車に促すことだけだったようだ。
荷物持ち自体を頼まれなかった班もいたけど、断ったのは、俺のいた班だけだったようだ。
「怖い物知らずだよね。」
周りからは少し呆れたように言われたけど、トリー殿下のところにいた班が、荷物のせいで、対応が出来なかったという事実があって、
どうやって断るのがいいか、なんて話に発展していた。
ヴォルフガング先生曰く、気構えとして意識していればいいという。
王宮所属の騎士になった場合は、まず、荷物持ちなど命じられる事はないそうだ。
地方領の騎士となった場合、昨日のように荷物持ちを命じられるケースも、あるだろうけれど、他に緊急時に対応できる騎士もいるなら、大事にはならない、と。
「だけど、護衛対象が怪我でもした場合、剣が抜けなかったと、責任を負わせられる場合もあるからな。気をつけろよー。」
ヴォルフガング先生が軽い口調でいうけど、そんな事態になったら最悪じゃないかと思う。
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
私ではありませんから
三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」
はじめて書いた婚約破棄もの。
カクヨムでも公開しています。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる