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第2章

第45話 荷物持ち?

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そんな感じで、トリー殿下とは違って、ちっとも街歩きが楽しみではない。

「あ、トリー殿下に携帯魔法陣を渡しとくか。」

帰宅したら既に、アクセサリー型の召還魔法陣のサンプルが届けられていたのだ。
ムカつく話からは気をそらして、楽しい事考えたい。

「トリー殿下は、まだ召還魔法はできないですよね。」
「こっちから送還できるようにしておく。魔鳥に見張らせておいて、魔鳥が何か危険を知らせて来たら送還すればいい。」
「過保護ですね‥‥。正規の護衛騎士もつくし、危険は無いと思いますけど。」
「常に万全を期していた方が、いざという時に動けるというものだろ。」
「普通の護衛のことより、断然生き生きしてますよね。」

トリー殿下に、魔鳥で知らせ、明日の早朝に魔法陣のアクセサリーを渡す約束をした。

用意したのは腕輪と、靴の飾りだ。
腕輪は、トリー殿下が召還魔法を使えるようになってから使ってもらうことにして、今回の街歩きで使うのは靴飾りだ。
何しろ、トリー殿下の意思と関係ないタイミングで魔黄金虫が飛び出したら、トリー殿下までビックリさせてしまう。
目立たないように、足下から出すようにしたのだ。

「魔鳥は賢いから、視覚共有とかしていなくても見張って居て何か有ったら知らせてくれる。」
「でも店とかに入ったら、奥内は、見張れないんじゃないですかね。」
「なるほど‥‥。」

考えた末、翌朝、待ち合わせたトリー殿下に、腕輪と靴飾り、それと魔黄金虫を仕込んだカフスボタンを渡した。
袖口に付けておいて、困った時にトントンと指で軽く叩けば、感覚共有できるように仕込んである。
トリー殿下は大喜びで、早速試していた。

「すごーい、使うの楽しみ~。」
「いや、使うような何かが起きたら、困るからね。」
「わかってる。マーカス、ジョス、ありがとう!」

トリー殿下がキラキラと瞳を輝かせて笑った。

いよいよ街歩きの時間になり、1つの馬車に護衛対象、3班メンバー、引率のマキシミリアン先生と、騎士二人が乗って進む。
騎士はいざという時に連絡をする役割が有るので二人ペアなんだそうだ。
馬車の車輪がごつごつした王都の街の石畳の上を進む振動と音。時折、街中のざわめきが聞こえてくる。

しかし、馬車の中はずっと無言だった。
変な緊迫感が馬車の中を立ちこめていた。
俺は、気をそらすのに、トリー殿下の後を付けさせている魔鳥の小鳥のピーゴの視覚共有をしてみた。
まぶしい、色鮮やかな光景が飛び込んでくる。魔鳥は、人間より光を感知する能力が高いらしくて、慣れるまで凄くまぶしい。わずかに振動しているような光景。
現在地を確認するように、キョロキョロとさせると、どうやら馬車の屋根に乗って移動しているらしい。
目立って、退治とかされないように祈っておこう。

俺達が乗っていた馬車が止まった。
3班のメンバ-が馬車を降りて行く。続いて降りようとしたら後ろから声をかけられた。

「おい。鞄を持って降りないか。」

振り向くと、アインホルン侯爵令息。鞄は持って来てないですよ、と答えようとしたら、顎で馬車内に並べてある鞄を示された。
特進科の人達の鞄だ。
騎士科メンバーは、剣は持参しているけど、手ぶらだ。
特進科の人達は、買い物をする予定なので、お金の入ったバッグを持って来ている。それを持てと言われたってこと?

「は? 俺達に荷物持ちをしろっていてんのか!?」

ヴァルターが声を荒げた。びくっと、アインホルン侯爵令息だけでなく、護衛対象の人達が皆、少し怯えた様子になった。
荷物持ちはどうかと思うけど、護衛対象を脅かしてどうするんだよ。
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