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第2章
第35話 オスカー先輩
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「あら、申し込んでから気持ちが通じればいいのじゃないかしら。自信ないの?」
母上、粘らないで‥‥。
「‥‥とにかく、申し込む場合は自分で申し込むから。」
絶対余計な事はしないでください。
父、母、兄、義姉を念を押すように見つめた。
嫡男でもないのに、申し込まれたけど、相手の家の方が爵位が高いから断れなかったなんて思われるかも、とか悩みたくない。
「恋愛結婚したいのね。素敵じゃない。」
エマ義姉さんが言う。‥‥そう言われるのも恥ずかしいんですが。
その後、現在の状況の話になり、街への買い物の付き添いを断られ、ちゃっかり荷物持ち連中が、同行した話をして笑われた。
変な話に発展するよりは、笑われる方がずっとましですよ。
夏期休暇の間にエルストベルクまでオスカーが訪ねて来た。
家の事で、エルストベルク家から協力を得た事について改めてお礼に来たんだそうだ。
きっちり礼服を着て屋敷を訪ねて来た。わざわざ、近くに宿を取って、宿で着替えて来たらしい。
「うちに泊まればいいのに。」
オスカーが、父との話を終えた後に、別室で会ってそういうと、真っ青な顔をして首を横に振った。
「王弟殿下だぞ。王弟殿下のお屋敷だぞ。無理無理無理。」
「でも、俺の家でもあるし。」
「御前も!なんなのそれ!その姿!トリー殿下がいるかと思ったじゃないか!」
エルストベルクに戻って来てからは、髪色も戻しているし、眼鏡もしていなかった。
普段ダークブラウンの髪色を、プラチナブロンドに戻すと、かなり明るい髪色になり、トリー殿下と印象が近くなる。
オスカーが来た時、ポカンとした顔をしてたのは、俺の見た目のこともあったのか。
「目立ちそうなんで、学園では隠してる。」
「ああ!ああ、そうだろうよ!」
ちょっとヤケ気味のオスカー。態度は変わらない。
「オスカー先輩は、礼服を着るとシュッとするけど、中身変わらないね。」
「御前が言うな!」
ブツブツ言うオスカーとは、その後、グリース子爵家の領の経済の復旧の話をして、グリース子爵領で育てて欲しい野菜の種を渡した。
野菜が育ったら優先的に商会で買い取らせてもらう約束だ。
「‥‥御前には本当に感謝している。」
帰りの馬車を見送りに行ったら、オスカーが改めて向き直ってそういった。
「俺、卒業後、王宮の騎士にはならないことにした。まあ、素行が悪かったからそもそも推薦ないかもしれないけど。」
「領地経営に専念?」
「‥‥正直、そこまではまだ決めていないけど。王宮に勤めたらさ、そっちを最優先にしないといけないだろ。」
「まあ、そうだね。」
「俺は‥‥何か有った時、御前の味方になるから。騎士だとしても、グリース子爵家としても。だからすぐ駆けつけられるようにしておきたいんだ。」
「‥‥。」
「って事さ。じゃあな。休み明け、髪色忘れて変な色にしてくるなよ!」
返答に困っていたら、オスカーは手を振って、馬車に乗り込んで行ってしまった。
なんというか、ちょっとじんわりくる。別に、俺の騎士になるとか宣言してったわけじゃないけどさ。
「なんか騎士っぽくて格好よかったですね!オスカー先輩。」
傍で見ていたジョセフィンが行った。
「‥‥そうだな。」
特に見返りを求めてオスカーを助けた訳ではなかったけど、気持ちが返ってくると、やはり嬉しい。じん、と胸に温かい者を感じながら
馬車が遠ざかって行くのを、しばらくの間見つめていた。
母上、粘らないで‥‥。
「‥‥とにかく、申し込む場合は自分で申し込むから。」
絶対余計な事はしないでください。
父、母、兄、義姉を念を押すように見つめた。
嫡男でもないのに、申し込まれたけど、相手の家の方が爵位が高いから断れなかったなんて思われるかも、とか悩みたくない。
「恋愛結婚したいのね。素敵じゃない。」
エマ義姉さんが言う。‥‥そう言われるのも恥ずかしいんですが。
その後、現在の状況の話になり、街への買い物の付き添いを断られ、ちゃっかり荷物持ち連中が、同行した話をして笑われた。
変な話に発展するよりは、笑われる方がずっとましですよ。
夏期休暇の間にエルストベルクまでオスカーが訪ねて来た。
家の事で、エルストベルク家から協力を得た事について改めてお礼に来たんだそうだ。
きっちり礼服を着て屋敷を訪ねて来た。わざわざ、近くに宿を取って、宿で着替えて来たらしい。
「うちに泊まればいいのに。」
オスカーが、父との話を終えた後に、別室で会ってそういうと、真っ青な顔をして首を横に振った。
「王弟殿下だぞ。王弟殿下のお屋敷だぞ。無理無理無理。」
「でも、俺の家でもあるし。」
「御前も!なんなのそれ!その姿!トリー殿下がいるかと思ったじゃないか!」
エルストベルクに戻って来てからは、髪色も戻しているし、眼鏡もしていなかった。
普段ダークブラウンの髪色を、プラチナブロンドに戻すと、かなり明るい髪色になり、トリー殿下と印象が近くなる。
オスカーが来た時、ポカンとした顔をしてたのは、俺の見た目のこともあったのか。
「目立ちそうなんで、学園では隠してる。」
「ああ!ああ、そうだろうよ!」
ちょっとヤケ気味のオスカー。態度は変わらない。
「オスカー先輩は、礼服を着るとシュッとするけど、中身変わらないね。」
「御前が言うな!」
ブツブツ言うオスカーとは、その後、グリース子爵家の領の経済の復旧の話をして、グリース子爵領で育てて欲しい野菜の種を渡した。
野菜が育ったら優先的に商会で買い取らせてもらう約束だ。
「‥‥御前には本当に感謝している。」
帰りの馬車を見送りに行ったら、オスカーが改めて向き直ってそういった。
「俺、卒業後、王宮の騎士にはならないことにした。まあ、素行が悪かったからそもそも推薦ないかもしれないけど。」
「領地経営に専念?」
「‥‥正直、そこまではまだ決めていないけど。王宮に勤めたらさ、そっちを最優先にしないといけないだろ。」
「まあ、そうだね。」
「俺は‥‥何か有った時、御前の味方になるから。騎士だとしても、グリース子爵家としても。だからすぐ駆けつけられるようにしておきたいんだ。」
「‥‥。」
「って事さ。じゃあな。休み明け、髪色忘れて変な色にしてくるなよ!」
返答に困っていたら、オスカーは手を振って、馬車に乗り込んで行ってしまった。
なんというか、ちょっとじんわりくる。別に、俺の騎士になるとか宣言してったわけじゃないけどさ。
「なんか騎士っぽくて格好よかったですね!オスカー先輩。」
傍で見ていたジョセフィンが行った。
「‥‥そうだな。」
特に見返りを求めてオスカーを助けた訳ではなかったけど、気持ちが返ってくると、やはり嬉しい。じん、と胸に温かい者を感じながら
馬車が遠ざかって行くのを、しばらくの間見つめていた。
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