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第7章

第463話 クラウスさんの謝罪

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「お前はあいつらとグルだったじゃないか!」
クラウスさんがピンクサーモン令嬢に向かって興奮した様子で怒鳴った。
「誤解ですわぁ!」
「今更嘘つくな!お前と奴らが話しているのを聞いてしまったから、俺は奴らに滝壺に落とされたんだぞ!」

皆の視線がピンクサーモン令嬢に注がれた。
カイルさんがクラウスさんとピンクサーモン令嬢を交互に見て行った。

「‥‥クラウス、『奴ら』とは、この村を蛙魔獣で襲わせようとした連中のことか?」

カイルさんの言葉にクラウスさんが頷いた。

「ああ……。村の住民を魔獣で脅して追い出して、村とダンジョンを手にいれるつもりだったらしい。俺に近づいたのは家と金目当てだろう。」
「クラウス様ぁ。酷いですわぁ、そんな言い方!」

ピンクサーモン令嬢が目を伏せ、泣くような仕草をした。そして上目遣いにクラウスさんを見た。

「クラウス様だってぇ、うちの家がダンジョンを手にいれる予定があるって聞いてぇ、
婚約解消して私と婚約するっておっしゃったんじゃないですかぁ。お金目当てだったのはクラウス様の方ですわよぉ。」
「‥‥俺は‥‥!」

クラウスさんが言い淀むとピンクサーモン令嬢が続けた。

「だから、崖から落ちた振りをして婚約解消するつもりだったんじゃありませんの?私ばっかり悪者にするの酷いですわぁ!」
「‥‥俺は!確かに婚約解消をしようとしたが‥‥金目当てじゃない!‥‥あ!」

クラウスさんが喋っている途中で、カイルさんがクラウスさんを支えている手を離したのでクラウスさんがよろけた。
レナードさんが反対側で支えている腕を引き上げたので、転ばずに何とか踏みとどまっている。

カイルさんが冷たい目線をクラウスさんに向けた。

「そう言えば、婚約破棄宣言野郎だった。お前の安否は心配していたが、あの件は腹立ててたんだった。:
「カイル‥‥。」
「エッダ嬢に謝罪しろ!」
「‥‥。」

カイルさんが怒鳴ると、クラウスさんは気まずそうな顔をしながら、目線を動かし、エッダ嬢の立っている方を見た。
エッダ嬢は悲しげにクラウスさんを見つめていた。
クラウスさんは、少しよろつきながらレナードさんに支えられていた手を離し、エッダさんに向き直った。エッダさんに向かって頭を下げた。

「エッダ‥‥。すまなかった。俺が浅はかだった‥‥。この通りだ‥‥。」
「クラウス様‥‥。」
「‥‥あんな婚約破棄宣言をしたのは気の迷いだった。どうかしてたんだ。すまなかった。やり直そう。もうあんなことは言わないから‥‥。」
「クラウス様。‥‥もう遅いですわ。」
「え?」
「私達の婚約は正式に解消されました。」
「はあ!?」

エッダさんが落ち着いた口調でクラウスさんに告げると、クラウスさんは素っ頓狂な声を上げた。その様子を見てカイルさんが冷めた口調で言った。

「なんで驚くんだ。自分で婚約破棄宣言をしたくせに。」
「‥‥いや‥‥、だって‥‥、いつの間に?」
「自分が姿をくらましていたんだろう。」
「あああ‥‥!」
クラウスさんは顔を青ざめさせた。そして顔を動かし、宿の入り口近くの方に向けた。宿の入り口の前に立っていたクラウスさんのお母さんが頷いた。
「‥‥そんな‥‥。‥‥それならもう一度‥‥、もう一度婚約しよう。どうだろうか。」
「いえ、無理です!」

クラウスさんが縋るようにエッダさんを見つめたが、エッダさんはきっぱりと言い放った。
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