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第7章
第412話 訊き込み
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『婚約?‥‥リズベットとクラウスが?何を言って‥‥。』
『っ‥‥。ヤンティスが言ってたんだ。ヤンティスのお父上がそう話してたのを聞いたって‥‥。もう婚約が決まってるなら、令嬢と仲良くなったって無駄じゃん。もう負けてるじゃん。』
『‥‥リズベットとの婚約が、決まってる、だと? クラウスはまだエッダ嬢と婚約中だぞ。』
レナードさんは信じられないといった口調で言った。マイルズ君はべそべそとハンカチで涙を拭っている。
『婚約解消したら次の婚約が決まってるってことだろ。‥‥兄上がリズベット嬢と仲良くなっても関係ないってことだよ。』
『はぁ!? 関係なくないだろ!そもそも、まだクラウスとリズベットの婚約が決まってるわけがないじゃないか。他の令嬢と婚約中の相手との婚約を決めるかよ!』
レナードさんの口調が怒ったものに変わったけど、マイルズ君の様子は変わらず、べそべそしながらハンカチで顔を抑えていた。
『‥‥ヤンティスがそう言ってたもん‥‥。』
クラウスさんが勢い良く立ち上がって、マイルズ君を押しのけるようにして、部屋のドアに手をかけた。それからマイルズ君の方に振り返った。
『おい。ヤンティスの部屋は?』
『‥‥ええ?』
レナードさんの様子だと、ヤンティス君の部屋に突進して行くのかと思ったんだけど、部屋の外に出ると、レナードさんは意外にも凄く静かな様子で振る舞っていた。
後ろをマイルズ君が眉と唇を歪めながら付いていっている。
ヤンティス君が泊まっている部屋に、レナードさんとマイルズ君が入った。ヤンティス君は、ドアを開けた後、すぐにベッドに戻って行って、マイルズ君がしていたのと同じようにベッドの上で丸くなった。
『‥‥何‥‥?』
ヤンティス君が掠れた声で言った。
レナードさんはヤンティス君が蹲っているベッドの傍まで言って、身を屈めてヤンティス君を覗き込んだ。
『マイルズと一緒に怖い目にあったんだってな。怪我は?』
『‥‥肘と膝を擦りむいて‥‥、まだちょっと痛い‥‥。』
『そうか。大変だったな。‥‥で、ちょっと聞きたいことがあるんだが‥‥。』
レナードさんはそう言うと、ベッドの傍にあった椅子を引き寄せて、どかっと腰を下ろした。ヤンティス君はレナードさんの様子を見た後、後ろに立っているマイルズ君に目を向けた。
マイルズ君は気まずそうにちょっと俯いている。
『話は少しだけだ。訊きたいのは、クラウスの婚約の話だ。マイルズが君から聞いたって言ってたが、クラウスとリズベットの婚約が決まってるっていうのは本当なのか?』
レナードさんの言葉に、ヤンティス君は眉を歪めた。身体を起こしてベッドの上ニ座り直した。でも毛布は被ったままだ。
『‥‥内緒の話なのに‥‥。』
ヤンティス君はそう言って唇を少し尖らせて、マイルズ君を睨んだ。マイルズ君は目を少しそらした。
『内緒って‥‥、本当の事だっていうのか?誰が言ってた?』
ぐいっとレナードさんが身を乗り出した。ビクッとしてヤンティス君が少し後ずさりした。
『‥‥ち、父上と‥‥マカロ男爵だよ‥‥。リズベット嬢のお父上の。』
『はあ?どういうことだよ!』
レナードさんが声を荒げた。声が思ったより響いたのか、その後声のトーンを落とした。
『‥‥すまん。‥‥何て言っていたんだ? ヴァルガー子爵とマカロ男爵が?』
『‥‥マカロ男爵が訪ねてきて、父上と話をしてたんだ‥‥。兄上が戻って来たら是非婚約をって‥‥。』
『‥‥なんで、もう家同士の話になってるんだよ‥‥。』
『‥‥ダンジョンが‥‥。』
『うん?』
『ダンジョンが手に入ればって‥‥。』
『ダンジョンがどうしたって?』
『‥‥マカロ男爵は、もうすぐダンジョンを手に入れるんだって。だから、婚約するとリエキがあるって言ってた‥‥。』
『ダンジョン?‥‥わけわからん。マカロ男爵領にダンジョンが出来たのか?』
『知らない‥‥。』
ヤンティス君は、宿の応接ルームに居た時に、ヤンティス君のお父さんとマカロ男爵がやってきたので、こっそり隠れてたらその話が聞こえて来たのだそうだ。
マカロ男爵領ってどこかな?近くにダンジョンがあるところかな。
『っ‥‥。ヤンティスが言ってたんだ。ヤンティスのお父上がそう話してたのを聞いたって‥‥。もう婚約が決まってるなら、令嬢と仲良くなったって無駄じゃん。もう負けてるじゃん。』
『‥‥リズベットとの婚約が、決まってる、だと? クラウスはまだエッダ嬢と婚約中だぞ。』
レナードさんは信じられないといった口調で言った。マイルズ君はべそべそとハンカチで涙を拭っている。
『婚約解消したら次の婚約が決まってるってことだろ。‥‥兄上がリズベット嬢と仲良くなっても関係ないってことだよ。』
『はぁ!? 関係なくないだろ!そもそも、まだクラウスとリズベットの婚約が決まってるわけがないじゃないか。他の令嬢と婚約中の相手との婚約を決めるかよ!』
レナードさんの口調が怒ったものに変わったけど、マイルズ君の様子は変わらず、べそべそしながらハンカチで顔を抑えていた。
『‥‥ヤンティスがそう言ってたもん‥‥。』
クラウスさんが勢い良く立ち上がって、マイルズ君を押しのけるようにして、部屋のドアに手をかけた。それからマイルズ君の方に振り返った。
『おい。ヤンティスの部屋は?』
『‥‥ええ?』
レナードさんの様子だと、ヤンティス君の部屋に突進して行くのかと思ったんだけど、部屋の外に出ると、レナードさんは意外にも凄く静かな様子で振る舞っていた。
後ろをマイルズ君が眉と唇を歪めながら付いていっている。
ヤンティス君が泊まっている部屋に、レナードさんとマイルズ君が入った。ヤンティス君は、ドアを開けた後、すぐにベッドに戻って行って、マイルズ君がしていたのと同じようにベッドの上で丸くなった。
『‥‥何‥‥?』
ヤンティス君が掠れた声で言った。
レナードさんはヤンティス君が蹲っているベッドの傍まで言って、身を屈めてヤンティス君を覗き込んだ。
『マイルズと一緒に怖い目にあったんだってな。怪我は?』
『‥‥肘と膝を擦りむいて‥‥、まだちょっと痛い‥‥。』
『そうか。大変だったな。‥‥で、ちょっと聞きたいことがあるんだが‥‥。』
レナードさんはそう言うと、ベッドの傍にあった椅子を引き寄せて、どかっと腰を下ろした。ヤンティス君はレナードさんの様子を見た後、後ろに立っているマイルズ君に目を向けた。
マイルズ君は気まずそうにちょっと俯いている。
『話は少しだけだ。訊きたいのは、クラウスの婚約の話だ。マイルズが君から聞いたって言ってたが、クラウスとリズベットの婚約が決まってるっていうのは本当なのか?』
レナードさんの言葉に、ヤンティス君は眉を歪めた。身体を起こしてベッドの上ニ座り直した。でも毛布は被ったままだ。
『‥‥内緒の話なのに‥‥。』
ヤンティス君はそう言って唇を少し尖らせて、マイルズ君を睨んだ。マイルズ君は目を少しそらした。
『内緒って‥‥、本当の事だっていうのか?誰が言ってた?』
ぐいっとレナードさんが身を乗り出した。ビクッとしてヤンティス君が少し後ずさりした。
『‥‥ち、父上と‥‥マカロ男爵だよ‥‥。リズベット嬢のお父上の。』
『はあ?どういうことだよ!』
レナードさんが声を荒げた。声が思ったより響いたのか、その後声のトーンを落とした。
『‥‥すまん。‥‥何て言っていたんだ? ヴァルガー子爵とマカロ男爵が?』
『‥‥マカロ男爵が訪ねてきて、父上と話をしてたんだ‥‥。兄上が戻って来たら是非婚約をって‥‥。』
『‥‥なんで、もう家同士の話になってるんだよ‥‥。』
『‥‥ダンジョンが‥‥。』
『うん?』
『ダンジョンが手に入ればって‥‥。』
『ダンジョンがどうしたって?』
『‥‥マカロ男爵は、もうすぐダンジョンを手に入れるんだって。だから、婚約するとリエキがあるって言ってた‥‥。』
『ダンジョン?‥‥わけわからん。マカロ男爵領にダンジョンが出来たのか?』
『知らない‥‥。』
ヤンティス君は、宿の応接ルームに居た時に、ヤンティス君のお父さんとマカロ男爵がやってきたので、こっそり隠れてたらその話が聞こえて来たのだそうだ。
マカロ男爵領ってどこかな?近くにダンジョンがあるところかな。
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