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第7章

第406話 滞在予定

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「あの二人って最初に会った時、蛙魔獣持って走り回ってたよね。」
「よっぽど怖い目に会ったのかな‥‥。」

ヤンティス君とマイルズ君は、最初に会った時、冬眠した蛙魔獣を持ってニコラちゃん達を追いかけ回してたんだった。それを思い出したのか
ラルフ君とロルフ君が、ボソボソと言っていた。
ラオウル君が、周辺を見回して警戒した様子で言った。

「まだ、どこかに蛙魔獣だとかオタマジャクシ魔獣だとかが隠れているのかな。」
「それは困るね。でも道は綺麗になったし、隠れる場所は減ったから危険は少なくなったんじゃない?」
ロルフ君がにこやかに言った。ラオウル君が「それはそうだね。」と頷いた。

話をし始めたから円陣ボールは中断していた。コロリと地面に転がっているボールをミリーちゃんが拾い上げて日の光に透かしてみながら言った。

「村に出ないなら大丈夫よね。まだ領に帰らなくても。」
「あれ?領に帰る話が出てるの?」
「そうなの。こんな危険な村は出ましょうって、オジサンとかオバサンがうるさいみたい。」
「オジサンとオバサン?」
「宿に来る人なの。お母様は予定は変えないって言っていたけど。でも、サミュエルのおうちは、もう少ししたら領地に帰っちゃうのよね。」

ニコラちゃんがそういうとサミュエル君が頬を膨らませた。

「領地に戻るのは、蛙魔獣が怖いからとかじゃないよ。『両家のお話』っていうのが終わったら、どっちかの家は帰らないとって。忙しいし戻らなきゃって。」

クラウスさんの一家とエッダさんの一家は同じ宿に泊まってるんだった。クラウスさんが見つかったら、婚約解消の話をするとなったら、その後いつまでも同じ宿には居られないってことかな。

「元々の予定だって、後二週間くらいだったから、ちょっと早まるだけなんだけど。」
「そうなんだ。寂しくなるね。」
「いつまで滞在の予定?」

サミュエル君が僕に訊いて来た。アタムスンに何時までいるかってこと?

「うーん。母様の気分によるかも。もうしばらくは居ると思うけど。」
「そうなんだ。」

開発が始まっているから、温泉施設とかが出来るまでいるんじゃないのかな。でも,出来上がった頃にまた来る予定かもしれない。

「いいね。何か色々な建物が出来ているし、出来上がるのを見たいけど、父上まで来ちゃったから、僕は父上が帰るときに一緒に帰ると思う。」
「そっかぁ。」

クラウスさんが婚約破棄宣言をしたからなのか、エッダさんが疑われたりしたからなのか、サミュエル君のお父さんも話し合いとかの為に後から来たけど
お仕事が忙しかったら、領地に戻るよね。

「お父上忙しいんだね。」
「うん。最近ずっと忙しそうなんだ。ダンジョンがダメっぽいから仕方ないんだけど。」
「ダンジョン?」

ダンジョンって聞くと、気になる!

「魔獣溢れでもあったの?」
ラルフ君達もダンジョンというワードが気になったのか、興味深そうに訊いた。サミュエル君は首を横に振った。

「逆?活動を停止するんじゃないかって‥‥。」

サミュエル君がモゴモゴと言っていると、突然ラルフ君がひらめいたのか目を大きく広げて言った。

「あ!クリューガー家。クリューガー領って‥‥、バラ絵のダンジョン?」
「え?」
「え?知ってるの?」

ラルフ君の言葉に僕はびっくりしたんだけど、サミュエル君も驚いたみたいだった。
あの、「儲からないダンジョン」とか言われているバラ絵のダンジョンって、サミュエル君の家の領地のダンジョンだったみたいだ。ビックリ。
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