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第7章
第388話 昼下がりのお出かけ
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汗だくになったので、一旦温泉に入って汗を流してから、村に建設中の建物の様子を見に行くことにした。
叔父様に訊いたら、建設中の建物が、遊技場付きの温泉施設だったらしい。
出来上がって行く様子を見るのも面白いかもっていう話になったんだ。
暖かい格好に一度着替えてから、待ち合わせているロビーに向かっている途中、宿のティールームから人が出て来た。
赤茶けたオレンジに近い髪色をしたでっぷりした男性だった。口ひげも赤茶オレンジ。その斜め後ろにお付きの人っぽい男性。その人達をエルストベルク家の執事が見送っていた。母様へのお客様かな。
知らない人だったので、離れた場所で立ち止まってちょっと様子を見てた。
「‥‥是非ご一考を。」
赤茶の人は何か最後にちょこっと話をして挨拶をしてロビーに続く廊下を歩いていった。
僕も目的地はロビーだけどすぐ後ろを歩いていくと付いて行くみたいになっちゃうので、姿が見えなくなるまで待ってたら
ティールームから母様が出て来た。
ティールームから出て来た母様は、扇子で口元を隠したまま、なんだか機嫌悪そうに目を細めていた。そして、目だけギロリと動かして僕の方を見た。
「‥‥あら、ソーマ‥‥。」
「母様‥‥。お客様だったの?」
母様の機嫌が良くなさそうなので僕は恐る恐る聞いてみた。
「なんでもないわよ。あら、お出かけね。暖かくして行くのよ。」
母様は僕の方に歩いて来て少し身体を屈めて僕の首もとのボタンを閉めてくれた。
いつもの優しい母様だ。だけど、お顔がちょっと強ばってる気がするよ?
「難しいお話?」
心配になって母様の顔を見上げて訊いて見たら、母様の目が微笑んだ。僕の頭を撫でる。
「大丈夫よ。心配はいらないわ。」
フフフと笑って、僕の帽子の位置を少し直した。
「いってらっしゃい。気をつけるのよ。村の外には出ちゃだめよ。」
「はあい。いってきます。」
詳しく教えてもらえないまま、送り出されてしまった。不安そうとかより、ちょっと怒ってるって感じだったから言いたくなかったのかもしれない。
母様にも手帳君を渡しているから、いざとなったら父様と連絡がとれるし、心配はいらないんだろうなぁ。
ちょっと気になるけれど、気にしないことにした。ロビーに行くと、ラオウル君た先についていて待っていてくれた。
すぐその後にギルベルト君が来て、少し待ってラルフ君とロルフ君が早足でやってきた。
「ごめんね。待った?タオル持って行くかで迷っちゃって。」
「そんなに待ってないよ。タオル?汗拭きタオルのこと?」
「足湯した時に拭くタオルだよ。足湯するかわからないけど。」
「ああ。あはは。」
この間カフェで足湯をしたときは,カフェの人が足を拭く布を用意してくれたんだけど、決まったものがまだなくて急いで用意してくれたみたいな大きさや色がバラバラの布だったんだ。それを気にしていたみたい。
まだ実験的にやっているみたいだから、そんなものだと思ってたんだけど。
「そもそも足湯行くの?温泉入ったばっかりなのに。」
ギルベルト君が首を傾げた。ラルフ君はフフフと楽しそうに笑う。
「何か新しくなってたりしたら、入って見たくなるかもじゃん。」
「それはあるね。」
足湯好きというより、皆でワイワイ試すのが楽しいんだよね。
テーブルボールをしたり温泉に入ったりしてのんびりしていたからか、宿の外に出たらもう日が傾いてきていた。
でも、まだ暫くは明るいかなという時間帯だった。
叔父様に訊いたら、建設中の建物が、遊技場付きの温泉施設だったらしい。
出来上がって行く様子を見るのも面白いかもっていう話になったんだ。
暖かい格好に一度着替えてから、待ち合わせているロビーに向かっている途中、宿のティールームから人が出て来た。
赤茶けたオレンジに近い髪色をしたでっぷりした男性だった。口ひげも赤茶オレンジ。その斜め後ろにお付きの人っぽい男性。その人達をエルストベルク家の執事が見送っていた。母様へのお客様かな。
知らない人だったので、離れた場所で立ち止まってちょっと様子を見てた。
「‥‥是非ご一考を。」
赤茶の人は何か最後にちょこっと話をして挨拶をしてロビーに続く廊下を歩いていった。
僕も目的地はロビーだけどすぐ後ろを歩いていくと付いて行くみたいになっちゃうので、姿が見えなくなるまで待ってたら
ティールームから母様が出て来た。
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「‥‥あら、ソーマ‥‥。」
「母様‥‥。お客様だったの?」
母様の機嫌が良くなさそうなので僕は恐る恐る聞いてみた。
「なんでもないわよ。あら、お出かけね。暖かくして行くのよ。」
母様は僕の方に歩いて来て少し身体を屈めて僕の首もとのボタンを閉めてくれた。
いつもの優しい母様だ。だけど、お顔がちょっと強ばってる気がするよ?
「難しいお話?」
心配になって母様の顔を見上げて訊いて見たら、母様の目が微笑んだ。僕の頭を撫でる。
「大丈夫よ。心配はいらないわ。」
フフフと笑って、僕の帽子の位置を少し直した。
「いってらっしゃい。気をつけるのよ。村の外には出ちゃだめよ。」
「はあい。いってきます。」
詳しく教えてもらえないまま、送り出されてしまった。不安そうとかより、ちょっと怒ってるって感じだったから言いたくなかったのかもしれない。
母様にも手帳君を渡しているから、いざとなったら父様と連絡がとれるし、心配はいらないんだろうなぁ。
ちょっと気になるけれど、気にしないことにした。ロビーに行くと、ラオウル君た先についていて待っていてくれた。
すぐその後にギルベルト君が来て、少し待ってラルフ君とロルフ君が早足でやってきた。
「ごめんね。待った?タオル持って行くかで迷っちゃって。」
「そんなに待ってないよ。タオル?汗拭きタオルのこと?」
「足湯した時に拭くタオルだよ。足湯するかわからないけど。」
「ああ。あはは。」
この間カフェで足湯をしたときは,カフェの人が足を拭く布を用意してくれたんだけど、決まったものがまだなくて急いで用意してくれたみたいな大きさや色がバラバラの布だったんだ。それを気にしていたみたい。
まだ実験的にやっているみたいだから、そんなものだと思ってたんだけど。
「そもそも足湯行くの?温泉入ったばっかりなのに。」
ギルベルト君が首を傾げた。ラルフ君はフフフと楽しそうに笑う。
「何か新しくなってたりしたら、入って見たくなるかもじゃん。」
「それはあるね。」
足湯好きというより、皆でワイワイ試すのが楽しいんだよね。
テーブルボールをしたり温泉に入ったりしてのんびりしていたからか、宿の外に出たらもう日が傾いてきていた。
でも、まだ暫くは明るいかなという時間帯だった。
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