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第7章

第379話 賞品

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集会場に呼び集められたうちの二人、エマソン君とエメスト君兄弟は、最初はなんだか機嫌が悪そうだったけど、ラリーが続くようになったら楽しそうにしていた。

「へぇ~。結構面白いジャン」
「村の外に出なくても、退屈しなくて済みソー!」

村人は、ある程度魔獣を倒した実績がある冒険者以外は村の外に出ちゃダメって言われているらしい。
魔獣に襲われたりしたときに、救援に行く人員が不足しているからなんだそうだ。エマソン君達は退屈で機嫌が悪かったのかもしれない。
テーブルボールを紹介しているのは、村の人のストレス発散の場所の提供の目的みたいだ。

「おい!まだ俺達が使ってるんだぞ!」
「三点先取したら終わりだろ。」

テーブルボールを気に入ってくれたみたいなんだけど、台の取り合いが起きてしまっている。
2台ずつ綺麗にお年寄り組と子供組に別れていて、争いがあるのは主に子供組の方だ。お年寄り組は、近くに村長さんがいるから争わないだけかもしれないけど。

言い争いをしてボールを打つ手を止めると、すかさず別の人我遊び始める。ちょっとカオスだ。

「あ!いつの間に!」
「ずるいぞ!」

子供組は10人。ビルさんも加わると11人。僕達を覗いた人数だ。テーブルボール台は2台なので、ダブルスを組んでも一組くらい余るんだよね。

争っている様子を見て、ラルフ君が提案した。
「試合にしたら?見る方も楽しめるんじゃない?」

ラルフ君の提案を受け入れて、試合をしてみようということになった。プレーに加わっていなくても交代で審判したりとか、他の人の応援をしたりもできるはずだ。

「一番になった人は大人チームの優勝者と対戦するのはどう?」
「おお!大人チームにも勝ったら、何か貰えるのか?」
エマソン君達が眼を輝かせた。

「えー?賞品とか有った方がいいのかな?」
僕はどうして良いか判らなくて皆の顔を見回した。ラルフ君が、手を上げた。

「面白いね、賞品!何かあった方が盛り上がるかも。串焼き一本とかどう?」
「なんで串焼き?」
「毎日大会しそうだし、ちょっとしたものが良いかなって。流石にボールとかラケットだと高価でしょ。」

ボールは普及したらそんなに高価でもなくなると思うけど、今はまだ、商会でもこの村にしか提供していないんだよね。販売もこれからの品を賞品にしちゃうとまずいかな。それと、毎日のように試合をするなら確かに賞品はそんなに豪華でないほうが良いんだろう。

「串焼き屋さんの売上げが上がるかな。」
「ダンレモネードとか花茶とか?」

叔父様に相談したらダンレモネードは元々試合後に皆に配る予定らしい。でも、賞品というのは盛り上がりそうなので、良いねって賛成された。
今日は、試合後にすぐ渡せるものを、試合終了までに用意することになった。

試合の進行は叔父様と一緒に来た商会の人達がやってくれるらしいので、賞品を探しに商店街に向かう事になった。

「流石に冷めた串焼きは微妙だよねー。」
「そういう意味だと、冷めて美味しくなくなるようなのは避けた方がよいのかな。パンとか?」
「試合後の喉乾いている時に、パン。ふふふ。」
「飲み物がいいのかな。」
「でも、ダンレモネードは振る舞われるんだよね。」

飲み物の話をしていたので、お茶とかダンレモネードを売っているお店に向かっていった。

「あ、テーブルボールみたいなのがある!」

お店の軒先に籠の中にちょうどテーブルボールのボールみたいな黄色い丸い物体が入っているのが見えた。

「ミニダンレモだって。」
「可愛いね!」

ボールっぽいところが賞品に良さそうだった。ダンレモはそのままの形のままだと、長持ちするので籠ごと買っておいて、試合の度に賞品として使ってもらう事にした。
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