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第7章

第377話 足湯君

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「エッダさんからの手紙は、あのお祭りの後、エッダさんがクラウスさんともう一度話し合いたいって出したんだって。
でも、クラウスさんは呼び出した場所に来なかったそうだよ。」
「待ち合わせ場所は、エッダさん達が泊まっている宿の庭の東屋のところだったんだって。そこから、一緒に崖の上まで行ってから突き落すのは
無理があるんじゃない?って言ってた。」

クラウスさんの足跡を辿るためにも調査はするけど、手紙が崖の上に落ちていただけでは、クラウスさんが崖から突き落された証拠にはならないだろうということだ。

エッダさんへの疑いが完全に晴れたわけではないみたいだけど、ちょっとホッとした。

「そもそもさぁ。」
ギルベルト君が、テーブルボールのボールを手の上で転がしながら言った。

「クラウスさんが崖から落ちたっていうのも確定じゃないんだよね?それで殺人容疑で連れて行こうって、おかしいよね。」
「婚約破棄の件が絡んでるんじゃないかな。クラウスさんの有責っていうところをチャラにしたいとか。」
「ありえるぅ‥‥。」

エッダさん達がカフェに来ていたとき、彼らの宿では大人達で話し合いをしていたというから、エッダさんとクラウスさんの婚約の事を話し合っていたんだろう。
そこにエッダさんを後から呼び出して、殺人容疑って‥‥。婚約は気より殺人の方が悪いでしょって言いたかったのかな。
髭もじゃの人はクラウスさんのお父さんから依頼を受けて来たらしいもんね。


宿に戻って来てしまったので、もう出かけるのは止めにして、遊戯室でテーブルボールをして遊ぶ。
コーン、コーンと緩く打ち合いながら、話題はクラウスさん関連の話だ。

「レナードさんとあの令嬢の事もモヤッとするよね。あの場では言えなかったけど。」
「ああ、あれ‥‥。レナードさんって、クラウスさんの親友じゃないの?クラウスさんの事心配じゃないのかな。」
「落ち込んでいる令嬢を元気づけていただけとか?」
「そうかもだけど、何となく楽しそうに見えちゃったなぁ。」
「微妙~。」

僕達が見た瞬間だけ、たまたま楽しそうに見えたということも有るかもしれないけどね。カイルさん達が話を聞きに言った時は、泣いていて話ができないって聞いたし。

夕食の直前までテーブルボールをして、温泉に入ってから夕食後は部屋に戻って来た。

部屋では、プティがテーブルボールのボールを転がして遊んでいた。
「にゃーん。」
ボールをちょっと投げてあげたら、プティが楽しそうにボールを追いかけて行く。

僕は昼間に少し考えた魔道具を作ってみる事にした。
フットバスの魔道具版だ。お湯を魔法で出す事も出来るけど、温泉地だからやっぱり温泉の水が良いかな。両方使えるのが良いか。
温度を保ったりお湯を温めたりする魔法陣とジェットバス的にブクブク泡をだす魔法陣をセットすればよいかな。
一定時間経ったら自動で止める様にしておこう。

構想を練り乍ら両足が入るサイズの入れ物を、ストレージ錬金ボックスで作って出してみたら、ボール遊びをしていたはずのプティが駆けて来て、中に入ってしまった。

「にゃーん。」
(入れたニャ)
「プティ~。お湯入れちゃうよ~。」
(ダメニャー)

プティが中に収まってしまったので、もう一つ作ろう。
お湯を入れちゃったら入る気をなくすかなぁと思って、新たに作った方にはお湯を入れてみたら、それはそれで興味津々みたいだ。毛皮が濡れるのは嫌だって言っていたのに前足でちょいちょいと水面を突いてみている。

「にゃーん。」
(熱くないにゃ)
「うん。ちょっと温いくらいのお湯を入れてみたんだ。」

お湯を突いて満足したのか、プティは空の方のフットバス用の入れ物の中に戻っていってゴロンと横になった。
フワフワしたお腹の毛が見えたので、撫でたら、前足で手を掴まれた。猫キックされそうだったので、一度手を引っ込めてから頭を撫でた。
喉をゴロゴロならしている。可愛い。

プティを時々眺めたり撫でたりしながら、フットバス「足湯君」を完成させた。
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