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第7章

第351話 カフェでランチ

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僕達は顔を見合わせた。
僕達も日暮れ前から宿に居て今朝は朝食後に真直ぐこのカフェに来たのだ。その間、クラウスさんの姿は見ていない。

「僕達は見かけてないよ。それこそ冒険者ギルドか村長の所に相談に行った方がいいんじゃないの?」
「‥‥まだ、そこまでは‥‥。遊びに出かけたのかもしれないし‥‥。」
「あー、あの令嬢と‥‥?令嬢の所には?」
「‥‥。」

ヤンティス君は眉間に皺を寄せた。あのピンクサーモン令嬢の所に聞きに行くのが嫌なのかな。
令嬢の話題を出したら、トーンダウンして「他を探す」と言ってカフェから出て行った。
出て行く間際に、マイルズ君が振り返った。

「見かけたら教えろよ!」

そう言い残すとパタンとカフェのドアを閉めて、何処かに駆けて行った。

僕達は少しの間、カフェのドアを眺めてからお互いの顔を見た。

「‥‥やっぱさぁ。令嬢と一緒っていう可能性が高いんじゃないのかな。」
「もしかして、婚約破棄宣言をしたりしたから、村に居辛くなっちゃったとか。」
「それで村から出て行っちゃったってこと?居辛いって思うような人なのかなぁ。」

クラウスさんの事を良く知っている訳じゃないから、何処に行ったかなんて予想もつかない。
ただ、ピンクサーモンの令嬢には聞きに行くべきだよね、と意見が一致した。
ヤンティス君も、聞きに行きたくなさそうにしていたけど、他で手がかりがつかめなければ聞きに行くんじゃないかと思う。

そんな話をしていたら、叔父様達が戻って来た。

「やあ、お待たせしたかな。」
「叔父様。蛙魔獣の卵はどうだった?」

カフェの裏から入って来た叔父様の所に駆け寄って聞いてみた。叔父様は,少しだけ困ったように眉を下げて言った。

「用水路には卵は見当たらなかったよ。用水路に繋がっている川に流れて行ってしまったようだね。」
「孵化してない?」
「それはわからない。でも、まあ大丈夫だよ。」

叔父様はポンポンと僕の頭を撫でて微笑んだ。

「村の中は念の為に騎士が警備にあたるし、村の外については冒険者ギルドに情報を流しておけば問題ないから。」

蛙魔獣は、危険と言えば危険ではあるけど、強さとしては角狼よりは弱いらしい。
心配していた村の中での大量発生は今のところはなさそうだ。

蛙魔獣は低い声でゲロゲロと鳴くらしいので、もし声が聞こえたらすぐに知らせるようにって言われたよ。

「蛙魔獣かぁ。天敵を用意しておくのはどう?」
「蛙の天敵って何?」
「蛇じゃない?」
「レイクサーペント?」
「ダメじゃん。大騒ぎになっちゃう。」

魔獣が近くに居ないってわかっているから、冗談も言い合えるけど、用水路から蛙魔獣が飛び出て来たときは、本当に一瞬の出来事だったから怖いよね。
孵化したオタマジャクシ魔獣が実は用水路に隠れていて、油断したところを飛びかかられたりしたら本当に大変だ。オタマジャクシ魔獣の状態で飛びかかるのかどうかもわからないんだけど。
用水路は念の為接近禁止になった。

用水路の捜索を待っている間にお昼近くになっていたので、カフェでお昼を食べる事になった。
ちょうどカフェに色々な食材が入荷したばかりなんだって。

鶏と野菜のローストと野菜たっぷりのスープ。それと焼きたてのパンとチーズ。チーズは溶かしてパンにダラーっとかけてある。美味しい。

美味しくて夢中で食べていたら、ふと、叔父様がカフェのマスターと何かしゃべっているのが見えた。あ、そうだった。このカフェってエルスト商会経営なんだった。
もしかして食材を運んで来たのは叔父様達なのかな。

叔父様としても、エルスト商会経営のカフェ裏に蛙魔獣が出没するとかの事態は避けたいんだろうなぁ。
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