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第7章

第350話 捜索中

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叔父様をカフェ裏の温泉水の用水路の所に案内した。リヒャルトさんとインゴさんも一緒なのに用水路には近付かずにカフェの建物の中で待機していなさいって言われちゃったよ。

もしかして、蛙魔獣の卵が孵ってたら蛙魔獣が大量発生したりするんだろうか。あ?オタマジャクシになるのかな?
叔父様はジョスさんと、他に騎士さんを何人か連れて温泉用水路の調査をしていた。
僕はカフェの中のテーブル席でいつものメンバーと一緒。ラルフ君とロルフ君、ギルベルト君、ラオウル君と一緒に丸テーブルを囲んでおやつタイムをしていた。

危険かもしれないから宿に戻るか、カフェの裏手から外に出ないことって叔父様に言われている。。
何かできるわけじゃないけど蛙魔獣の卵の事も気になって来たから、カフェで待機することにした。

「蛙魔獣のインパクトで卵の事すっかり忘れてたよ。うっかりしてた。」
「あのとき気がついてたら良かったね。」

ラルフ君とロフル君が同時に項垂れた。うん、僕も忘れちゃってた。卵は茹だっちゃうんじゃないかとか気楽に考えてたんだよ。
時々窓から裏の用水路の様子を覗いたりして、カフェの中で落ち着かない時間を過ごしていた。

一杯目のお茶を飲み終えそうな頃にカフェの入り口のドアが開いた。あ、ヤンティス君とマイルズ君だったっけ。蛙魔獣を持って来た二人だ。

「蛙魔獣の人だ。」

僕は思わず言ってしまった。それを聞いて、二人がピクッと肩を震わせて顔を顰めた。

「なんだ?失礼だぞ。」
「ごめんなさい。あ、でも二人が持って来た蛙魔獣の卵の事で問題になってるんだよ。」
「え?」

僕達が、蛙魔獣の卵が孵化して蛙魔獣が大量に発生する可能性があるらしいと伝えると、二人はみるみる青ざめた。

「じょ、冗談だろ。そもそも蛙魔獣だって冬眠している時期だぞ。」
「それを温かい水の中に放り込んじゃったんだろ。蛙魔獣だって目覚めて襲って来たじゃないか。温かいから春を待たずに孵化するかもしれないんだよ。」

ギルベルト君がジトメで二人を睨んだ。二人は困った様子で目をキョロキョロと動かした。

「ど、どうしよう。」

ヤンティス君とマイルズ君が顔を見合わせた。

「こ、こういう時って冒険者ギルドに行くのかな?」
「村長じゃない?」
「あの爺さんが退治するの?」
「違うって。」

ボソボソと二人で話しているので、今既に調査中って説明したら、ちょっとホッとした様子になった。

「あ、焦らせるなよ。」
「調査したら安心ってわけじゃないよ。孵化する可能性がなくなったわけじゃないんだからね。」

ラルフ君が少し厳しい口調で言うと、二人は居心地悪そうな顔をした。
そしてヤンティス君が口を尖らせて言った。

「ま、まだ安心できないのは判ったさ。‥‥お前達に聞きたい事がある!」
「「はぁ?」」

ラルフ君とロルフ君が同時に思い切り不愉快そうに返事をした。ぎくっとした様子でヤンティス君とマイルズ君が縮こまった。

「ちょ‥‥ちょっと、聞きたい事があるんだ。知ってたら教えて欲しい‥‥。」
急にヤンティス君の口調が大人しくなった。

「「何だ?」」

ラルフ君とロルフ君のシンクロが続く。
ヤンティス君が困った様子で、視線を彷徨わせた後、口を開いた。

「俺の兄上を見なかったか?」
兄上?はて?

「「兄上って誰?」」
僕が覚えていないだけかなと思ったけど、ラルフ君とロルフ君も認識していなかったようだ。良かった。忘れちゃってたのかと思った。

僕達の反応が癇に障ったようでヤンティス君が不機嫌そうに眉をひそめて声を荒げて言った。

「クラウス・ヴァルガーだよ!会った事あるだろう!」
「あ、昨日の婚約破棄の?」
「な!」

思わず言ってしまったらヤンティス君の顔がカッと赤みを帯びた。

「し、失礼だろう!そういう言い方は!」
「祭りの場で婚約破棄を宣言する程ではないと思うよ。」

ヤンティス君が怒って言うと、ラルフ君が冷たい口調で返した。
カーッと更にヤンティス君の顔に血が上ったみたいだった。拳をぎゅっと握りしめてる。
もしかして喧嘩になっちゃう?ってちょっと脳裏によぎったとき、同じ様に考えたのか、ギルベルト君が話を戻した。

「それで?君の兄上を探しているの? どこにいるか判らないってこと?」
「‥‥ああ。」
ギルベルト君の言葉に、少し冷静さを取り戻したのか、ヤンティス君がボソリと返事をした。
「いつからいないの?」
「‥‥昨日の夜、出かけたらしい。」
「らしい?最後に会ったのは何時?」
「祭りの時‥‥。」

クラウスさんは、騎士達に連れて行かれて説教をされた後、一度宿に戻ってからまた出かけて、日暮れ後に再び宿に戻ったらしいけれど、ヤンティス君とは会っていなかったそうだ。そして今朝、朝食の場に居ないと思ったら、昨晩の夜に出かけたと宿の人から聞いたのだとか。
それで、心配になって探しているんだって。
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